名称:カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林
住所:Campeche, Mexico
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1061/
メキシコからコスタリカにかけては「メソ・アメリカ」と呼ばれ、多数の遺跡が存在することから突出した世界遺産の登録数を誇るエリアとして有名です。6世紀頃に繁栄を極めたカラクムルの遺跡は、ジャングルに埋もれた状態で1931年に発見され、本格的な調査が開始したのは1982年になってからのこと。2002年に世界文化遺産として登録された後、2014年に自然保護区に拡大する形で世界複合遺産となりました。
カラクムルの都市遺跡は、東京ドーム約641個分の面積に大小合わせて6250もの遺跡が分布する、メキシコ・ユカタン半島南部では最大級の都市遺跡。調査があまり進んでおらず、今後の新しい発見が大いに期待されます。ジャングルに埋もれた世界遺産「カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林」をご紹介します。
目次
密林に潜むマヤ遺跡!カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林
カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林とは?
統一王朝という存在が無かったマヤ文明では、小王国がいくつも共存して文明を築いていました。カラクムル王朝の始まりは5世紀頃といわれ、造られた石碑から西暦652年から752年頃がカラクムルの繁栄の絶頂期であったといわれています。その後10世紀末に放棄されるまで700年にわたって周辺地域政治・文化の中心として栄えた都市でした。
現在、世界遺産カラクムル遺跡では発掘作業が進められており、100を超える石碑や建造物、土器や仮面などが発見されています。発見された建造物には「建造物I」「建造物II」という名前が付けられています。カラクムルという名前は「隣り合う二つのマウンド(丘)」という意味があり、シンボル的な建物の「建造物I」「建造物II」を指して付けられました。
カラクムル遺跡は、世界複合遺産に含まれる自然保護区に囲まれ、メキシコ最大級ともいわれる広大なエリアに800種以上のメキシコ固有の動植物が生息しています。周囲のジャングルに住むジャガーは、カラクムル遺跡の建造物のレリーフにも刻まれています。
カラクムル遺跡へのアクセス
現在、カラクムル遺跡行きの公共交通機関はありません。車で行く場合でも、自然保護区域を通るには許可のある専用車しか入ることが出来ないため遺跡近くの駐車場まで自分で運転して行くことは出来ません。
カラクムル遺跡の観光には、カンペチェ市またはチェトマル市から出発するツアーに参加するか、カンペチェからバスで5時間ほどの場所にあるシュプヒル(Xpujil)の町からタクシーを用意して行く方法になります。
カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林のおすすめポイント2
建造物群
1982年から始まった調査で、多くの建造物が発見されていますが、そのほとんどはジャングルの高い木々に覆われ、空からも確認することは出来ません。世界遺産カラクムル遺跡のシンボルといえば「建造物I」と「建造物II」です。
「建造物II」は、神殿ピラミッドではユカタン半島一の高さで55m!基盤の長さは、縦横ともに140mで正面部分はきれいに補修され、頂上へのぼることが可能です。頂上からは見渡す限りのジャングルの中、ポツンポツンとカラクムル遺跡のてっぺんが見えます。遺跡の正面以外は、石段にもガッチリと木の根がからまり、かつて全てが木に覆われていた頃の様子が想像できます。
1997年に封印された地下通路の奥に埋葬されていた、ユクノーム・イチャーク・カック王が発見されました。翡翠の仮面や巨大なジャガー神の彫刻、20mにわたるレリーフなど貴重な資料も見つかり、これからのカラクムル遺跡の調査にますます期待が高まります。
生物圏保護区
カラクムル遺跡は、世界複合遺産の登録名が「カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林」というだけあり、カラクムル生物圏保護区の中に遺跡が点在しています。カラクムル生物圏保護区の入り口から遺跡まで、60kmほど距離があります。保護区の中は車の制限速度が時速30km、到着までには2時間ほどかかります。
運が良ければこの2時間の間に、様々な珍しい動物が見られるかもしれません。やはり一番は、遺跡にも刻まれているジャガー。カラクムル遺跡の建造物IIで見つかったジャガーの彫刻はとても大きなもので、そこに埋葬されていた王は別名「燃え上がる鉤爪」や「ジャガーの足」という名前も残っています。ユカタン半島で一番の高さを誇る神殿ピラミッドに眠っていたのは、ジャガーと縁の深い王様だったのでしょう。
また世界複合遺産カラクムルでは、他にも独特な鳴き声のホエザルやピューマ、絶滅危惧種のベアードバク、様々な鳥類、爬虫類なども見られますよ。
カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林についての注意事項
世界遺産カラクムル遺跡はジャングルの中にあります。広大なエリアに点在するカラクムル遺跡は急いでまわっても2時間ほどかかり、そのうえ標識などの案内も少ないのでガイドと共に観光することをお勧めします。
またジャングルの中は蒸し暑く、蚊も多いので虫除けは必須。遺跡観光では、歩きやすい靴と動きやすい服装で行くことをおすすめします。
◎まとめ
世界遺産カラクムル遺跡は自然保護区域に囲まれているため、遺跡からの出土品を展示する資料館を建築することができません。出土品は、これも世界遺産に登録されている歴史的城塞都市カンペチェ市内のサン・ミゲル砦考古学博物館に展示してあります。
埋葬されていた王の遺体と共に出土した翡翠の仮面や、翡翠の胸飾り、様々な副葬品なども多数展示してあるので、遺跡とあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。まだ手つかずの世界遺産カラクムル遺跡、次は何が発見されるのかワクワクしますね。