名称:Harar Jugol, the Fortified Historic Town
住所:Harar, Ethiopia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1189/
アフリカ東部のエチオピアは、現存する世界最古の独立国の1つといわれています。エチオピアの人口は約1億200万人で、サハラ砂漠以南ではナイジェリアに次いで2番目に人口の多い国なんですよ。エチオピア国内には、大迫力のブルーナイルの滝や大自然を満喫できるシミエン国立公園、小さな島が点在している湖のタナ湖、世界的にも有名なエチオピア国立博物館など、魅力的な観光スポットがたくさんあります。
また世界遺産も9つあり、そのなかの1つ「歴史的城塞都市ハラール・ジュゴル」は観光地としても人気です。362もの袋小路をもつといわれる旧市街は、高さ4メートルの城壁にすっぽり囲まれています。そんな魅力あふれる都市ハラールの見どころについてご紹介しましょう。
目次
高さ4mの城壁に囲まれた世界遺産!歴史的城塞都市ハラール・ジュゴル
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歴史的城塞都市ハラール・ジュゴルとは?
世界遺産ハラールの街は、7~11世紀ごろにハラリ人によって築かれたとみられています。当初から東アフリカ地域のイスラームの中心地という性格を帯びていて、15世紀にはアダル・スルタン国の都となりました。ハラールにジュゴルと呼ばれる城壁が築かれたのは、16世紀のこととされています。城塞都市として独立性を確保したハラールでは、交易が盛んになり、人々の交流を通じて独自の文化が華開いたといわれています。
しかし、1875年にはエジプトに征服され、1887年にはエチオピア帝国に併合されます。現在では、城壁のほか100を超えるモスクや寺院が残る歴史的な観光都市として、エチオピア国内でも重要な街として位置付けられています。
歴史的城塞都市ハラール・ジュゴルへのアクセス
世界遺産の城塞都市ハラールは、エチオピアの首都アディスアベバから東へ約500キロメートル、最寄りの空港のある都市ディレ・ダワからは40kmほど離れています。
アディスアベバのマスカルスクエアからスカイバスという長距離バスを利用すれば、ハラールまではおよそ10時間です。バスは満席になることもよくありますので、事前にタイトゥーホテルなどにあるチケットオフィスで予約しておくことをおすすめします。
アディスアベバから飛行機に乗れば、ディレ・ダワまで約1時間。そこからバスでハラールまで1時間半でハラールに到着します。
ハラール・ジュゴルのおすすめポイント①:城壁と寺院
世界遺産の登録名にも入っている「ジュゴル」とは、城壁を意味するといわれています。今でも、ハラールの旧市街を囲む城壁の大部分が残っています。壁の上を歩くことはできませんが、外周をたどることは可能。ですが、あまりに長大なうえにハラールは海抜1900mの高地にあるので、すぐに息が切れてしまうでしょう。
西のアスマディン門や東のアルゴバ門など、ハラール旧市街の出入り口となる門がところどころに設けられているので、これらをくぐって周囲を眺めるのがおすすめ!門にもそれぞれ特徴と雰囲気があるので、お好きなポイントを探しながら歩くと、より楽しめますよ。
また、旧市街の中心のフェレス・マガラ広場を中心に、100以上あるというモスクや寺院を見て回るのもハラール観光の定番。とくに八角形のメドハネ・アレム聖堂や16世紀に建てられたジャミ・モスクなどが有名です。宗教には比較的寛容で、モスクやキリスト教会、土着信仰の祭祀場などが混在しているのもハラールの特徴です。
ハラール・ジュゴルのおすすめポイント②:ハイエナの餌付け
街灯などないハラールの夜は真っ暗。その闇の中を、驚くことに毎夜たくさんのハイエナが闊歩します。とはいえ、ハラールの住民はまったく恐れていません。というのも、ハイエナマンと呼ばれるハイエナの餌付けを仕事とする人たちが彼らを手なずけているからです。
ハラールでは古くから、ハイエナは邪を追い払う生き物と考えられてきました。そのため、ハイエナの群れが街中を歩きまわるのは、むしろありがたいこととされているのです。ハイエナの餌付けは、もともとは1年に1晩のみの行事でしたが、今では観光用に毎晩行われています。
ハイエナマンのガイドに参加すれば、ハイエナに生肉を与えるようすを間近で見ることもできますよ。勇気のある人は、自分で餌付けにチャレンジすることも!世界遺産の古都ハラールならではの伝統を体感してみて下さい。
ハラール・ジュゴルのおすすめポイント③:ランボーハウス
ハラールの観光名所の1つに、「早熟の天才」と呼ばれた詩人アルチュール・ランボーが晩年を過ごした「ランボーハウス」があります。故国フランスを出てアラビアを流浪していたランボーは、アビシニア(現在のエチオピア)とアデン湾を結ぶ通商路上に位置するハラールで武器商人になりました。その当時の屋敷が、今は記念館となっています。
ヨーロッパとアラビアの建築が融合した独特の建物で、内部は楕円形の吹き抜けやステンドグラスの窓がたいへん優雅です。日本の詩人にも多大な影響を与えたランボーの軌跡をたどることができる観光スポット。エチオピアとヨーロッパの繋がりも実感できてとても興味深い歴史的建造物ですよ。
◎まとめ
エチオピア東部の世界遺産都市ハラールについてご紹介しました。建設以来さまざまな民族や国を行き来してきたハラールには、イスラーム地域には珍しい寛容で鷹揚な雰囲気が根付いています。
カラフルな家々の立ち並ぶ袋小路を歩けば、明るく親しみやすいハラールの人々との交流が楽しめるでしょう。ハラールは歴史と伝統が息づく古都ですが、一番の見どころは、そうした地元の人たちとの触れ合いにあるといえるかもしれません。