名称:Archaeological Zone of Paquimé, Casas Grandes
住所:Juan Escutia, Esperanza, Nuevo Casas Grandes, Chih., メキシコ
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/560
メキシコの世界遺産、カサス・グランデスのパキメの遺跡。それはメキシコ北部チワワ州の砂漠地帯にあります。
カサス・グランデスはアメリカとの国境近くに位置し、北米と南米の先住民が交流しあう商業都市として14世紀頃最盛期を迎えたとされています。北米のプエブロ文化とメソアメリカの先進文明との交易と文化交流の場として、重要な役割を果たしていたことが評価されました。
また北中米における日干しレンガ造りの建築の発展を示す重要な文化遺産であるとされ、パキメの遺跡は1998年に世界遺産に登録されました。
メキシコの他の世界遺産とは違う趣を持つ、カサス・グランデスのパキメの遺跡をご紹介しましょう!
目次
砂漠の大商業都市!メキシコ世界遺産カサス・グランデスのパキメの遺跡
カサス・グランデスのパキメの遺跡とは?
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パキメ遺跡は数あるメキシコの世界遺産の中でも独特な遺跡とされているのは、土でできた巨大な迷路のような遺構だからです。交易・文化の中心として栄えたパキメは、敵の襲来から身を守るために複雑な作りの集合住宅になったと考えられており、その住宅の壁だけが残ったため、迷路のような姿になっています。
パキメ遺跡があるカサス・グランデスはスペイン語で「大きな家」という意味で、先住民スマ族の住居などが残る遺跡です。下水道や水路などが確認されていることから、その住宅には水道設備が完備されており、離れたところにある温泉から水路が引かれてセントラル・ヒーティングの設備もあったと考えられているとは、驚きです。
水脈は「命の水」として人々の生活を支えるわけで、豊かな水のある土地が繁栄するということを、このような世界遺産が明らかにしています。
出土品により、パキメにははるか遠方からの物や文化がもちこまれたことがわかっています。特に、南米グアテマラに生息するコンゴウインコの羽や骨が埋葬されていた跡からは、神の使いとされ大切に飼われていたことを伺い知ることができます。先住民の交易範囲の広さがわかりますね。
カサス・グランデスのパキメの遺跡へのアクセス
世界遺産カサス・グランデスのパキメの遺跡へ行くには、メキシコシティから北西部の町チワワへ空路で。
チワワからヌエボ・カサス・グランデスまでバスで約4時間半。バスターミナルからタクシーでパキメの遺跡まで約15分です。
カサス・グランデスのパキメの遺跡おすすめポイント①:住居跡
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カサス・グランデスのパキメの遺跡は謎多き世界遺産でいまだ詳細は分かっていませんが、アメリカのニューメキシコ州をまたぐモゴヨン文化またはパキメ文化が建築した都市だとされています。その建築技術は近代社会でも通用するほど高いレベルであり世界遺産に認められた一因です。
パキメの遺跡は建物は崩壊し現在壁の部分のみの姿ですが、本来都市の中心部で地下1階から最高5階建てにもなる大きな建物が建っていました。その時代に5階建ての建築というだけで高い技術だとわかりますね。
11世紀半ばから12世紀半ば頃まで、アドベ(日干しレンガ)を使った草葺屋根の竪穴住居でしたが、その後14世紀頃までに集落は拡大し建築様式も大きく変わり、アドベを使ったアパートのような区画割の住居群になりました。また、屋根の素材は松の板や泥、壁は白か彩色での仕上げでした。
人の歴史を映し出す住居は、世界遺産としてとても重要ですね。
カサス・グランデスのパキメの遺跡おすすめポイント②:北の文化博物館
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カサス・グランデスのパキメの遺跡に行く前に、隣接している「北部文化博物館」を先に見学するといいかもしれません。
この博物館にはパキメ様式の陶器や数百万年前の動物の化石など、世界遺産パキメの遺跡、カサス・グランデスの発掘品の展示や、パキメが交易の中心都市だったとされるメキシコ北部からアメリカ南西部に広がる文化圏についての説明があり、興味深い予備知識になると思います。
また、現在は壁だけが残っているパキメの遺跡、カサス・グランデスの全容再現模型がありますので、それを見てから実際に遺跡を目の前にしたら、その当時の人々が生活していた住居の姿を想像しやすいかもしれません。遺跡の世界遺産とは、時空を超えて想いを馳せるという意味で、完全な形で残っていないところにこそ価値があるのではないでしょうか。
◎まとめ
カサス・グランデスのパキメの遺跡をご紹介しましたが、いかがでしたか?パキメの遺跡は実はまだ一部しか発掘されていない謎に満ちた世界遺産なんです。14世紀頃に最盛期を迎え、15世紀半ばには衰退したと考えられていますが、なぜ?どのように?ということは諸説あるものの明らかにはなっていません。そんなミステリアスなパキメの遺跡を、当時に想いを馳せて観光してみてはいかがでしょうか。