名称:古代都市ウシュマル
住所:Yucatán, Mexico
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/791
メキシコにたくさん存在する遺跡の中でも、世界遺産ウシュマルは少し変わったマヤ遺跡です。スカートを広げたような形で四隅が丸いピラミッドや、レリーフや幾何学模様のブロックを沢山はめ込んだ大きな建物など独創的。歴史的にもマヤ文明後半に発展したウシュマルは、マヤ建築の最終節の技術を見学することができます。
またこの遺跡はとても保存状態が良いため、その時代をより身近に体験することもできますよ。今回はそんな世界遺産「古代都市ウシュマル」をご紹介します。
目次
魔法使いのピラミッド!メキシコの世界遺産「古代都市ウシュマル」
「古代都市ウシュマル」とは?
世界遺産「古代都市ウシュマル」はマヤ遺跡の宝庫、メキシコのユカタン半島北部に位置します。1996年に世界遺産に登録されたこの遺跡は、マヤ文明の最盛期、7~8世紀ころから栄え始めました。ウシュマルは、当時のマヤ建築の技術をさらに改良し、美しいプウク様式の都市を建設。プウク様式とは、壁一面に彫刻した石をはめ込んだり、大小を混ぜた切り石ブロックを使い、幾何学模様のように装飾した建築様式のことです。
ほとんどの建造物は、7~10世紀に建てられました。最盛期には2万5千人が住んでいたこの都市は、雨の神「チャック」を崇拝する文化で、「チャック」のレリーフがあちこちの建物にはめ込まれています。またマヤの遺跡なのに文字がほとんど発見されておらず、歴史については不明なことが多い遺跡でもあります。
古代都市ウシュマルには「魔法使いのピラミッド」や、美しいプウク様式の「尼僧院」、長さが96mもある「総督の館」、古代のサッカー場など見どころ満載。一年を通して世界中から観光客が訪れる世界遺産です。
「古代都市ウシュマル」へのアクセス
ウシュマルは、メキシコのユカタン半島のメリダにあります。日本からメリダへは、メキシコシティで乗り継ぎ、メリダ国際空港まで行きます。メキシコシティまではノンストップ便で約12時間半で、そこからメリダへは2時間弱。メリダからウシュマルへは、およそ100kmなので、バスで1時間半~2時間ぐらいです。本数が少ないため、時間を確認してくださいね。
「古代都市ウシュマル」のおすすめポイント3
魔法使いのピラミッド
世界遺産ウシュマルには他の遺跡ではちょっとお目にかかれない、底辺が楕円形の様なピラミッドがあります。この貴婦人がスカートを広げたような形のピラミッドはその昔、魔法使いの老婆が小人からもらった卵を温め、生まれてきた小人がたった一晩で造ったという伝説があり、魔法使いのピラミッドと呼ばれてます。高さ36.5mのピラミッドで、楕円形の底辺は長さが約73m、幅が約36.5m。
そして急傾斜で有名な118段の階段を登ると神殿があります。階段の両脇にはいくつもの雨の神「チャック」が階段に沿ってはめ込まれており、頂上の神殿入口も大きな「チャック」の顔になっていますよ。このピラミッドの急な階段では以前、観光客が滑落事故で亡くなり、それ以来登頂禁止になっているのでご注意を。また庭を挟んで向かいに立っている建物上部には、小鳥のレリーフが数個はめ込んであり、「小鳥の庭」と呼ばれています。
尼僧院
出典: Tengiz Chantladze/shutterstock
世界遺産ウシュマルでも見どころの一つになっているのが、尼僧院。魔法使いのピラミッドに隣接し、約45m×約65mの中庭を囲むように東西南北の方向に四つの細長い建物が建っています。スペイン人が母国にある尼僧院に似てることから付けた名前で、実際には神官など身分の高い人の住居だったと考えられてます。
この建物群では、プウク様式の特徴である多くのレリーフ、モザイク状の壁など見どころ満載。雨の神「チャック」を始め、双頭の蛇やジャガー、フクロウや小鳥などのレリーフがふんだんに使われており、見学者の目を楽しませてくれますよ。マヤ建築でよく使われるマヤアーチなども使われており、そこを通して見る風景は古代と同じように見えるかもしれません。
総督の館
出典: Vadim Petrakov/shutterstock
ウシュマルの建造物で一番大きな建物の総督の館。180m×150mの基壇の上に奥行き12m、高さ8m、そして幅が100m近くもあるこの巨大な建物の中には、26もの部屋があります。ここには大広間が3つもあり、建物全体の間取りから見てウシュマルの行政庁だったと推測されています。
「尼僧院」と同様、プウク様式で装飾された外壁には多くの動物とチャックのレリーフが見られますよ。建物正面の広場には、お尻どうしをくっつけたような格好の2頭のジャガーの置物があり、人と神を表してるとの説があるので、ぜひ見てみてくださいね。
注意事項
メキシコ政府は古代遺跡の保存とともに、安全にも徹底して取り組んでおり、数か所の立ち入り禁止区域を設けています。しかし心無い旅行者が興味本位や写真を撮ろうとしたりしてそこに立ち入り、滑落して負傷や死亡した事例がありました。マナーとルールを守って観光してくださいね。
◎まとめ
ウシュマルの建造物は、マヤ遺跡の中でも美しいので、見どころ満載です。また夜には遺跡をライトアップしているので、近くのホテルで一泊して訪れたい遺跡ですよ。また、このユカタン半島には、有名な世界遺産「古代都市チチェン・イッツァ」や「シアン・カアン」、カリブ海リゾートのカンクンなど盛りだくさんなので、ぜひウシュマルと合わせて訪れてください。