人類はこうして進化した!イスラエルの世界遺産ナハル・メアロット

人類はこうして進化した!イスラエルの世界遺産ナハル・メアロット

イスラエルを代表する世界遺産といえば、北部ハイファに位置するカルメル山。ハイファの南北39キロに広がる丘陵地にはタブーン洞窟、スフール洞窟、エル・ワド洞窟、ジャマル洞窟があります。周辺を取り囲む遺跡とともに「人類の進化を示すカルメル山の遺跡群:ナハル・メアロット(ワディ・エル=ムガーラ)の洞窟群」として世界遺産に登録されています。

ハイファ周辺ではネアンデルタール人たちが暮らした形跡が数多く残り、いかにして人類や文明が発達していたのかを現代に伝えてくれています。今回はそんな人類の進化を示す世界遺産、カルメル山の遺跡群周辺に点在する2大洞窟、タブーンとスフールを中心にご紹介しましょう。

目次

人類はこうして進化した!イスラエルの世界遺産ナハル・メアロット

人類の進化を示すカルメル山の遺跡:ナハル・メアロット/ワディ・エルムガーラ渓谷の洞窟群とは?

世界遺産ナハル・メアロットを訪れれば、旧石器時代前期のアシュール文化が生まれた頃から、終末期のナトゥーフ文化が衰退するまでの様子がよく分かります。その歴史はなんと50万年前まで遡るのだとか。数々の歴史的な世界遺産がありますが、ここまで歴史の流れが分かる遺跡は今だかつて見つかっていません。ハイファ周辺はその長期にわたる人類の進化や文明の移り変わりを現代に伝える、非常に貴重な遺跡として世界中の考古学者から注目を集めています。

これらの遺跡から、ハイファの地にはかつてネアンデルタール人と現生人類、すなわちホモ・サピエンスが同時に生存していたことが判明。長年にわたり議論されてきた、ネアンデルタール人がホモ・サピエンスに含まれるか否かという考え方の元になったとも言われています。ハイファ周辺に点在する遺跡からは、人骨やその人物を弔うための墓、それを飾った装飾品などが多く発見されました。そしてネアンデルタール人が現生人類に近い習慣をもって生活をしていたことなど、非常に貴重な痕跡は世界を揺るがすほどの発見だったんですよ。その価値が認められ、2012年に世界遺産へ登録されました。

ナハル・メアロット/ワディ・エルムガーラ渓谷の洞窟群へのアクセス

テルアビブ・セントラル・バスステーションから、所要時間約2時間半のカルメル山行きのバスが運行しています。ハイファの中心部ホフ・カルメル中央バスステーションから15分ほど走ると、カルメル山の麓に到着します。山の麓ということもありますが、エルサレムは寒暖の差が激しい地域なので必ず上着のご用意を!

おすすめポイント①:タブーン洞窟

世界遺産に含まれるハイファの洞窟のうち最も西に位置するタブーン洞窟には、約50万年前から4万年前まで人類が暮らした痕跡が残されています。洞窟が海に面していたことから、海面の上昇など自然環境に応じて生活状況を変化させていた様子がよく分かる遺跡で、ハイファに点在する世界遺産の洞窟のうち1番最初に調査されました。

タブーン洞窟からは洞窟の住人たちがガゼルや牛、サイなどを相手に狩りをしていたことや、それに伴い徐々に道具を便利なものへと改良していったことが分かる出土品が多く見つかっています。主に火打石に使われるフリントや石灰岩を使用したことが特徴で、道具のレベルとしてはまだまだ初期の段階だったようです。同じく洞窟内からは、イスラエル最古のネアンデルタール人の女性の全身骨格と、男性の顎の骨が発見されており、まさに世界遺産にふさわしい洞窟と言えます。

おすすめポイント②:スフール洞窟

子どもを含む10体の人骨が見つかったのは、同じく世界遺産の地ハイファの最東に位置するスフール洞窟。出土の状況から、ハイファ周辺に暮らした住民たちが明らかに埋葬の文化を持っていたことが判明しており、それらは現在の研究で分かっている埋葬文化の中でも最古のものと言われています。

ナハル・メアロットと同じ世界遺産に登録され、年代にも大差のないタブーン住民とスフール住民。しかしタブーン洞窟で見つかった典型的なネアンデルタール人の骨格と比べると、スフール洞窟のものは頭蓋や顎の形状が現生人類に近いと見られているんですよ。ハイファの東西で距離もそう離れていないので、共存していた可能性もあるかもしれません。

2012年に世界遺産へ登録されたナハル・メアロットの洞窟群。さらに2006年には洞窟内で発見されていた貝殻をつなぎ合わせたビーズ飾りが再鑑定され、装身具が10万年以上も昔から製作されていたことが証明されました。

◎まとめ

いかがだったでしょうか?今回は世界遺産「人類の進化を示すカルメル山の遺跡:ナハル・メアロット/ワディ・エルムガーラ渓谷の洞窟群」について紹介しました。世界遺産であるナハル・メアロットに点在する洞窟は全部で4つ。ここで紹介していない残り2つもそれぞれ興味深く、歴史的にも非常に貴重な遺跡です。そこに暮らしたネアンデルタール人たちは、どんな暮らしをしていたのでしょう。洞窟群を歩いて、深い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

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