名称:Fasil Ghebbi, Gondar Region
住所:Fasil Ghebbi, Gondar
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/19/
エチオピア北西のゴンダールにあるファジル・ゲビは、世界遺産の宮殿が小高い丘に建ち並ぶ世界遺産。歴史的に貴重な石造の宮殿がいくつも建っている光景はとても独特で、観光客にも人気のスポットです。17~19世紀にかけてのエチオピア帝国の首都で、歴代皇帝たちが築いた居城や聖堂などのさまざまな建造物が残っています。
エチオピア帝国はその成立過程でポルトガルと深いかかわりをもち、ゴンダール様式という独自の建築を生み出しました。アフリカの伝統的な建築様式とは明らかに違うものの、さりとてヨーロッパ風というわけでもないエチオピア・オリジナルの王宮群。エチオピアを代表する観光スポットの1つともなっている世界遺産ファジル・ゲビについてご紹介します。
目次
ヨーロッパの影響を受けたエチオピア帝国の都!世界遺産ファジル・ゲビ
ファジル・ゲビとは?
エチオピアは、世界最古の独立国の1つといわれています。ファジル・ゲビは13世紀に成立したエチオピア帝国の首都として、1632年に皇帝ファシリダスによって建設が開始されます。王宮の造営には、ポルトガル人やインド人の建築家や技術者が携わりました。その建築は、ヨーロッパのバロックやインド様式のほか、イスラームの様式も混在。そのエチオピア独特の建築はゴンダール様式と呼ばれています。
18世紀には内乱によって一時衰えたものの、皇帝テオドロス2世が19世紀に入って再び帝国を統一。しかし、都はデブラ・マルコスに遷されたため、ゴンダールのファジル・ゲビは荒廃していきました。
現在では、ヨハンネス1世の図書館やイヤス帝の宮殿、皇妃メントゥワブの宮殿などが残っています。なかでもファシリデス帝の宮殿はファジル・ゲビのランドマーク的な存在です。1979年に、「ファジル・ゲビ、ゴンダール地域」として世界遺産に登録されました。
ファジル・ゲビ、ゴンダール地域へのアクセス
日本からエチオピアへの直行便はないため、イスタンブールを経由して行くのが一般的です。ゴンダールにはゴンダール空港があり、アジスアベバとの間に定期便が就航しています。
空港からゴンダール市街へは、タクシーを利用します。世界遺産ファジル・ゲビはゴンダール市街のど真ん中にあるので、観光はとっても便利。ファジル・ゲビ周辺には宿泊施設や飲食店も整っているので、滞在も容易です。
ファジル・ゲビのおすすめポイント①:王宮および遺跡群
エチオピアを代表する世界遺産のファジル・ゲビ。草や木が生い茂る中に突如現れる、中世のヨーロッパを思わせるようなデザインの遺跡群に驚くことでしょう。なかでも存在感があるのがファシリデス帝の宮殿!高さ32メートルほどの宮殿からは、眼下にかつての都ゴンダールの町並みを一望できます。
ファシリデス帝の宮殿の近くには、ヨハンネス1世の図書館やイヤス1世の宮殿など、世界遺産にふさわしい美しい遺跡が建ち並んでいます。保存状態がとても良いので、当時の暮らしぶりが目に浮かぶようです。随所で修復作業が進められているので、当時の街並みが再現される日が来るかもしれませんね。
ファジル・ゲビのおすすめポイント②:ファシリデス帝のプール
歴史的にも貴重なプールの遺跡は、ファジル・ゲビの丘からおよそ2キロメートル離れた場所にあります。ファシリデス帝と孫のイヤス1世のために造られたといわれていて、こちらも世界遺産の構成資産として観光客に人気のスポットです。
プールとはいいつつも城壁のような石造りの壁に囲まれていて、入り口部分から中に入ることができます。壁の内側は緑に覆われた広場のようになっていて、中心部にはひっそりと佇む建物が。建物の周りは水が溜められるようになっています。この建物は、ファシリデス帝が別荘として使っていたといわれています。
木々に覆われた世界遺産の別荘とプールからは、当時の帝国の繁栄ぶりが垣間見ええるでしょう。たくさんの興味深い遺跡が残るファジル・ゲビでも、とくに特殊な歴史的建造物といえます。周りは階段状の観客席のようになっていて、上ってみることもできますよ。
◎まとめ
2018年現在、ゴンダールのあるアムハラ州には外務省の危険情報レベル2が発令されています。これは、政府の政策に反対するデモが多発していて、警官隊との衝突で死者も出ているためです。
ただし、ファジル・ゲビ自体はエチオピア有数の観光スポットであることもあり、常に危険な状態にあるというわけではありません。渡航される際は人混みや人の集まる広場などにはなるべく近づかないようにし、トラブルを避けるよう注意してください。