名称:Tipasa
住所:Rue piétonnière, Tipaza, Algeria
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/193/
アルジェリアの首都アルジェの西方沿岸の街ティパザ。地中海を見下ろす砂丘の上には、古代ローマ時代の都市遺跡が残っています。ティパザ(Tipaza)とはそもそもアラビア語で「荒廃した都市」という意味。世界遺産ティパサ(Tipasa)の遺跡がその語源です。
ティパザ自体は今もティパザ県の県庁所在地として多くの人が住んでいますが、世界遺産のティパサの遺跡は6世紀に放棄されて以降、廃墟のまま今日に至っています。今では地中海リゾートと併せて、この町の重要な観光資源となっています。アフリカ北岸のローマ都市の盛衰を語る世界遺産ティパサについてご紹介しましょう。
目次
地中海を見下ろす古代ローマの遺跡群!アルジェリアの世界遺産ティパサ
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ティパサとは?
紀元前7世紀にフェニキア人によって建設されたのがはじまりとされています。紀元後1世紀にローマ皇帝クラウディウスによって町は拡張され、3つの丘にまたがる都市となりました。このとき町はコロニア・アエリア・ティパセンシス(Colonia Aelia Tipasensis)と名付けられ、のちにティパサ(Tipasa)となりました。ちなみに、現在の都市名はティパザ(Tipaza)です。3世紀にはティパサにキリスト教の司教座がおかれ、その名残は遺跡に点在する3つの教会堂に見ることができます。
しかし、5世紀前半に東欧に出自をもつヴァンダル族がスペイン経由で北アフリカに侵入。カルタゴを都とするヴァンダル王国を打ち立てると、ティパサはその支配下に入ります。477年にヴァンダル王となったフネリックは、ヴァンダル王国内で大なり小なり存在していたキリスト教カトリックへの迫害を、最も苛烈に行ったことで知られています。フネリックが484年にヴァンダル族の間で信仰されていたキリスト教アリウス派の司教をティパサに送り込むと、ティパサの住民のほとんどはスペインへと逃亡しました。残った市民も激しい迫害にさらされ、いつしかティパサは廃墟となったのです。
ティパサで世界遺産に登録されているのは、ティパサ西部考古公園・ティパサ東部考古公園・死者記念塔の3つ。全長およそ2300メートルにもおよぶ城壁に囲まれた遺跡には、広大な範囲にわたってさまざまな建物跡が残っています。
ティパサへのアクセス
世界遺産ティパサへ行くには、まずはアルジェリアの首都アルジェを目指しましょう。アルジェのハブ空港であるウアリ・ブーメディアン空港までは、日本からの直行便はありません。ドバイやイスタンブール、北京などを経由するのが一般的です。
アルジェからティパサまでは、バスかタクシーでおよそ1時間です。ティパサにはリゾートホテルをはじめ宿泊施設も整備されていますが、アルジェから日帰りできる距離なのでツアーに参加するのもオススメです。
ティパサのおすすめポイント①:ティパサ考古公園
世界遺産ティパサの遺跡は、大部分が考古公園として観光客に開放されています。東部と西部に分かれた公園にはそれぞれに見どころがあり、その規模の大きさを実感できるでしょう。遺跡群の周囲は城壁に囲まれていて、今でもその跡をたどることができます。東側にある丘の麓にはかつての港の痕跡もあるので、ぜひ美しい地中海の水辺まで足を延ばしてみてください。
ほかにも教会堂や浴場、劇場、広場など、当時の人びとの生活が思い浮かぶような建物も多く、散策しているだけで十分な見ごたえ!なかでも大衆浴場として使われていたローマ風呂は、建築技術の高さに驚かされますよ。また、3つの教会堂のうち聖サルサ大聖堂には、モザイク画の名残を見ることもできます。
ティパサのおすすめポイント②:死者記念塔
ティパサでもう1つ世界遺産に登録されているのが、死者記念塔です。円筒状に造られた基礎から成る、丸い形が特徴的な巨大な円石墳墓。考古公園のほど近くにあるこの建造物は破損している個所も多いのですが、それがかえって歴史を感じさせます。クレオパトラの娘が眠っているという説もあるそうですが、実際のところ誰の物かは不明です。
一見したところでは霊廟とは思えないユニークな死者記念塔は、世界遺産ティパサの遺跡群のなかでもひと際目立ちます。ティパザの街からは少々離れているので、ツアーで行くかタクシーを利用しましょう。
注意事項
アルジェリアは衛生環境が良くないので、飲料水や食事には注意しましょう。また、マラリアが発生する可能性もあるので、虫よけスプレーなどで蚊に刺されない工夫が必要です。サソリも生息しているので、靴の中や物陰などに潜んでないか確認しましょう。
年間通して日差しが強いので、帽子やサングラスなどの服装に気を付けて、日焼け止めクリームを使うと良いですよ。治安が良い国とはいえないので、安全には十分留意が必要です。
◎まとめ
アルジェリアの世界遺産のひとつティパサをご紹介しました。美しい地中海の岸にほど近い古代ローマの遺跡は、歴史だけでなく神秘的な雰囲気も感じさせます。ティパサに残る世界遺産の遺跡群は、かつてのローマの栄華を今に伝える光景。ほかの世界遺産の遺跡と比べてみるのも楽しいですよ。
アルジェリアへ訪れる際には安全の注意が必要ですが、世界遺産ティパサの遺跡群は一見の価値あり!事前のしっかり情報収集をしてから、足を運んでみてくださいね。