名称:Fortifications on the Caribbean Side of Panama
住所:Portobelo, Panama
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/135
パナマ運河やパナマ文書によって、中米の国々のなかでは知名度の高いパナマ。カリブ海に浮かぶサンブラス諸島などは、外国人観光客にたいへん人気のあるリゾート地となっています。とはいえ観光となると、あまりイメージはわかないかもしれません。
ですが、実はパナマは中米でメキシコに次いで世界遺産の多い国なんですよ。そのなかでも、「パナマのカリブ海沿岸の要塞群 : ポルトベロとサン・ロレンソ」はパナマで最初の世界遺産です。パナマ運河のカリブ海側の出入り口に近い街ポルトベロの要塞群と、チャグレス川河口のサン・ロレンソ要塞が登録されています。
目次
パナマ初の世界遺産!カリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ
パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソとは?
出典: Gualberto Becerra/Shutterstock
パナマの世界遺産「カリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ」は、スペイン植民地時代にカリブ海の海賊による略奪行為から港と街を守るためにつくられた要塞の跡です。当時パナマのカリブ海沿岸地域は、南米のペルーなどから集められた金銀財宝をスペイン本国へ運び出すための積出港として機能していました。そのため、集められたお宝を狙って多くの海賊たちが略奪行為を行っていたのです。
ポルトベロの街が建設されたのは16世紀末のことでしたが、1668年には悪名高いヘンリー・モーガン船長によって要塞群は突破され、街は占領と略奪の憂き目を見ました。その後も海賊の襲撃はやまず、今に残る要塞群は18世紀に修築されたものです。しかし、それ以降は戦場となることなく、現在に遺構を残しています。
ポルトベロとサン・ロレンソへのアクセス
ポルトベロとサン・ロレンソはパナマ運河を挟んで東西に離れていますが、どちらもパナマ第2の都市コロンを経由して行くことになります。日本からは、まず首都のパナマシティを目指しましょう。直行便は飛んでいないので、アメリカの各都市やメキシコシティで乗り継ぎます。
パナマシティからコロン市までは、バスか鉄道を利用します。ともに所要時間は1~2時間程度。またサン・ロレンソ要塞とポルトベーロも、コロンのバスターミナルからそれぞれバスで1時間くらいです。コロンは香港に次いで世界第2の規模を誇る自由貿易港ですが、以前は「中米一治安の悪い都市」としても有名だったところ。近年治安は回復傾向にあるとはいわれているのですが、観光地というわけでもないので、あくまで世界遺産への中継点として足早に移動するのが無難です。
パナマのカリブ海沿岸の要塞群のおすすめポイント①:ポルトベロ
世界遺産の要塞群のある町ポルトベロは、コロンの北東30kmほどのところにあります。ポルトガル語で「美しい港」を意味するこの街は、スペインの銀の輸出港として重要視されていました。深い湾の最奥にあるポルトベロを守るため、沿岸部にはいくつもの要塞が築かれましたが、海賊やイギリス艦隊によって何度か陥落しています。
現在見学することのできる要塞は、サンティアゴ砦とサン・ヘロニモ砦の2つです。栄耀栄華の時代を過ぎて「荒城」となった砦の跡には、やや寂しげに大砲のレプリカが並べられています。目の前には、カリブ海の穏やかな入り江が静かに波打つのみ。「美しい港」の昔の光も今いずこ。そんな郷愁を覚えさせる世界遺産です。
パナマのカリブ海沿岸の要塞群のおすすめポイント②:サン・ロレンソ
もう一方のサン・ロレンソ要塞は、パナマ運河の西のチャグレス川河口に臨む丘の上にあります。1597~1601年にかけて建造されたもので、こちらも海賊ヘンリー・モーガンに幾度となく襲撃されたといわれています。
1980年に世界遺産に登録されたのですが、その後の保存状況に問題があるとして、2012年に危機遺産に指定されてしまいました。他方で、一帯の地域はサン・ロレンソ国立公園となっていて、野鳥の宝庫としても知られています。ポルトベロと違って周囲には家一軒ないので、遺跡と自然の双方が味わえる世界遺産となっています。
◎まとめ
パナマで最初の世界遺産「カリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ」をご紹介しました。危機遺産に指定されてしまっているという面もありますが、裏を返せばメジャーな観光地とはなっていないということで、ローカルな世界遺産にときめくという人にはおすすめのスポットといえるでしょう。
パナマシティからのアクセスは決して悪くないので、パナマを訪れる機会があれば、ぜひ足を延ばしてみてください。ただし、前述のとおり治安面については万全の注意を払うようにしましょう。