クルド人の古都、トルコの世界遺産ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園

画像出典:steve estvanik

クルド人の古都、トルコの世界遺産ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園

トルコ南東部に位置するディヤルバクルは、黒海と地中海を結ぶ重要な交易地でした。約9000年もの歴史があると言われているディヤルバクルは、国家を持たない最大の民族であるクルド人の地でもあります。古代ローマ時代に主要都市であったこの地に城塞が造られ、この城塞はイスラム勢力圏になった後にも改修が進み、現在の姿になりました。この城塞とティグリス川と町を結ぶヘヴセル庭園は、2015年に世界遺産へ登録されます。今回はこちらの世界遺産「ディヤルバクル城塞と
ヘヴセル庭園の文化的景観」をご紹介しましょう。

目次

クルド人の古都、トルコの世界遺産ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園

目次を閉じる

ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園とは

ディヤルバクルは古来からイランやイラク、黒海、地中海を結ぶ道が集まるところにあり、まさに交通の要所。「ディヤルバクル」という名は20世紀になって付けられたもので、古代ローマ時代にアミダ、後にアーミドと呼ばれていたそうです。古代ローマ時代には都市を囲むように城塞が作られ、時代ごとに修復がされてきました。世界遺産に登録されているのはこの城塞で、中国の万里の長城に次いで世界で2番目に長い城塞でもあるんですよ。

ヘヴセル庭園はヘウセル庭園、エヴセル庭園とも呼ばれ、世界遺産のディヤルバクル城塞とティグリス川の間にあります。肥沃な土地で古代都市ディヤルバクルへの食糧供給地としての役目を果たしていました。そしてこのディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園は、「ディヤルバクルの城塞とヘヴセル庭園の文化的景観」として世界遺産に登録されています。

ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園へのアクセス

世界遺産のディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園があるディヤルバクルへは、イスタンブールより空路で1時間50分です。市内はバスが走っていますが、旧市街は徒歩で回ることができます。

おすすめポイント① : ディヤルバクルの城塞

出典: www.istockphoto.com

肥沃な三日月地帯と呼ばれる、ティグリス川とユーフラテス川からパレスチナやエジプトに跨る三日月型の地域に、ディヤルバクルは位置しています。9000年以上の歴史を持つと言われ、数多くの文明が通り過ぎていきました。ローマ帝国、ビザンツ帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国など、名立たる文明がこのディヤルバクルを重要な場所として支配していたんですよ。

ローマ帝国支配下であった3世紀頃に世界遺産であるディヤルバクルの城塞の基礎が造られ、以降整備し続けていきます。特に11世紀に大規模な改修工事が行われ、その際に多くの碑文が城塞に残されました。この世界遺産はディヤルバクルの旧市街を取り囲み、ディシュカレと呼ばれる外城と、更に古いイチカレと呼ばれる内城があります。城塞の上は散策することができ、さらに城塞の南からはユーフラテス川を望むこともできますよ。

おすすめポイント② : ヘヴセル庭園

出典: www.istockphoto.com

ヘヴセル庭園は城塞の南東に広がる庭園で、古代都市ディヤルバクルが成立した時からあったと言われています。ローマ時代には都市へ食糧を供給していましたが、オスマン帝国時代には一面クワ畑となり、養蚕業に活用されました。現在も果樹園や農園として利用されていますが、ティグリス川の湖畔に位置するこちらの世界遺産は多くの渡り鳥も集まる場所。さらに100種類以上の鳥類を見られるんですよ。ここは貴重な動植物のサンクチュアリでもあり、人類にとっても動植物にとっても重要な世界遺産です。

おすすめポイント③ : ディヤルバクル市街

出典: sunriseOdyssey

世界遺産のディヤルバクル城塞がある古都ディヤルバクルは、シルクロードを行き交う商人たちが集まる場所でした。16世紀前半にオスマン帝国の都市になるとさらに大きく発展します。イスラム教のモスクはもちろんキリスト教の教会が共存する町は、古くから様々な人々が交流していた事がわかります。

預言者のモスクという意味をもつネビ・ジャーミィは、15世紀後半に建てられたモスク。黒い玄武岩と白い砂岩がストライプの模様を描いているのが特徴です。さらにウル・ジャーミィはかつて教会だった建物を改築して造られたもので、他の町のモスクとは趣が異なります。モスクの入口にはライオンや雄牛などのレリーフがあり、初期ローマ・ビザンツ時代の円柱なども残されています。そしてここはアナトリアで最初の大学となり、現在はコーラン学校となっています。

「4本の足のミナレット」と呼ばれるミナレットをもつシェイク・ムタハール・ジャーミィや紀元後教会に改築されたセント・ジョージ教会なども見どころです。世界遺産に登録されているのは城塞と庭園ですが、ディヤルバクルの街並みも歴史深く散策におすすめです。

◎まとめ

古都ディヤルバクルはクルド人の町であり、人々の服装も街並みも他のトルコの都市とはがらりと変わります。しかし悲しいことにクルド人とトルコの衝突は続き、外務省の海外安全情報でレベル3に分類されています。渡航することはできないので、いつか治安が回復することが望まれる世界遺産でもあります。

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

トルコでおすすめの記事

トルコのアクセスランキング