イタリア - ヴェローナについて

ヴェローナ（ベロナ）はイタリアのヴェネト州西部にある都市で、ヴェローナ県の県都です。シェイクスピアの傑作と名高い「ロミオとジュリエット」の舞台になったことでも知られています。ヴェローナ（ベロナ）は温暖湿潤気候に属しており、冬は寒冷で夏は比較的涼しいものの30℃を越える暑い日も少なくありません。冬は氷点下を記録することもあり、日照時間も少ない地域です。ヴェローナ（ベロナ）には、ローマ遺跡や中世の街並みが色濃く残る旧市街が存在しています。ヴェローナ（ベロナ）市街としてユネスコの世界遺産にも登録されており、観光スポットとしても人気が高くイタリア国内外から多くの人が訪れています。ヴェローナ（ベロナ）市街で最も有名な遺跡といえば、古代ローマ時代に造られたアレーナ・ディ・ヴェローナ（ベロナ）という円形闘技場です。市街地の中心部に位置しており、非常に歴史を感じさせる遺跡になります。古代ローマ帝国の初代皇帝であるアウグストゥスが統治していた時代に造られたと考えられていますが、正確な年代は分かっていません。アレーナ・ディ・ヴェローナ（ベロナ）では古代ローマ時代、闘技士による人間同士の闘技が行われていました。2世紀頃になると、狩りという意味があるヴェナティオが行われています。ヴェナティオは人間対猛獣による競技です。しかし、こういった競技は徐々に廃れていき、西ローマ帝国初代皇帝のホノリウスの時代には残忍な闘技として禁止されました。近世以降は、貴族による騎馬試合や芸人によるパフォーマンスが行われる場になっています。1822年には、ヴェローナ（ベロナ）会議が開催されたこともよく知られます。ロシア・プロイセン・オーストリア・フランス・イギリスといった五国同盟参加国が開催した国際会議で、スペインの革命に対する対応が話し合われました。アレーナ・ディ・ヴェローナ（ベロナ）は現在、野外オペラ場として利用されています。音響にも優れており、屋内のオペラハウスとは違った雰囲気が味わえます。オペラ公演は6月から8月にかけて行われるので、古代ローマの遺跡で本場のオペラを楽しみたいという人はこの時期に訪れるのがおすすめです。近年はバレエ公演なども行われています。それからヴェローナ（ベロナ）市街には、エルベ広場やシニョーリ広場もあります。どちらも古代ローマ時代に造られた公共広場フォルムが起源となっており、歴史的な建築物やモニュメントが多数残されている地です。エルベ広場で最も有名なモニュメントには、ヴェローナ（ベロナ）のマドンナと呼ばれる噴水があります。この噴水には古代ローマ時代の彫像が用いられています。また、サンマルコの有翼の獅子像を頂いた円柱も有名です。サンマルコの有翼の獅子は、かつてこの街を支配したヴェネツィア共和国のシンボルです。トリブーナやベルリラといった歴史を感じさせるモニュメントもあります。建築物には1172年に建築が始まったランベルティの塔や17世紀に建てられたバロック様式のパラッツォ・マッフェイ等があり、壁面にフレスコ画なども残されているのが特徴です。シニョーリ広場には、パラッツォ・ラジョーネやパラッツォ・ディ・カンシニョリオ、ロッジア・デル・コンシリオ等の歴史的建築物が多数あります。パラッツォ・ラジョーネは12世紀に市庁舎として建てられた建物です。パラッツォ・ディ・カンシニョリオはスカラ家の邸宅として建てられたもので、ヴェネツィア共和国が統治していた時代には総督の宮殿としても使われました。ロッジア・デル・コンシリオは15世紀末に完成した行政庁舎兼議事堂です。シニョーリ広場に面している建物の回廊には絵画が描かれ、彫像も置かれています。そのため観光スポットとして人気です。シニョーリ広場には、詩人で哲学家として知られる・ダンテ・アリギエーリの像もあります。その他にもヴェローナにはジュリエットの家やローマ劇場、考古学博物館などがあり人気の観光名所です。ジュリエットの家にはシェイクスピアのロミオとジュリエットに登場するバルコニーがあり、大勢の観光客で賑わっています。ローマ劇場は古代ローマ時代に造られた劇場で、紀元前1世紀末に造られたとされる非常に古い劇場として有名です。アレーナ・ディヴェローナ（ベロナ）よりも古く、19世紀に入ってから遺跡調査を続けた結果、現在のような状態になりました。