イタリア - トリエステについて

トリエステはイタリア北東部にある港湾都市で、スロベニアとの国境に位置しています。アドリア海に面しているので温暖湿潤気候に属していて、地中海性気候の国内のほかの地域よりも降雨量が多いのが特徴です。真夏は最高気温が30度を超え、真冬は氷点下になる日もありますが全体的に暑すぎず寒すぎない過ごしやすい気候だと言えます。トリエステは湾岸都市で湿度もある程度高いので、ヨーロッパでよくある乾燥した空気とは違って肌も潤い、日本人にも馴染みやすく快適です。トリエステの中心市街地は急な崖の麓に形成されているため、年間を通して強風が吹くことがあるので、思わぬ突風に見舞われないように注意をしておくとよいでしょう。トリエステは歴史上長い間オーストリア・ハンガリー帝国の統治下にあったので、文化や建築もその影響を大きく受けています。第一次大戦後にイタリア王国領となり、国の統一を記念した広場は「イタリア統一広場」としてトリエステのランドマークになっています。中央駅から海沿いに10分程度行った街の中心部にあり、市庁舎や州庁舎、旧ローイド・トリエスティーノ宮殿などの建物が広場をぐるりと囲んでいて、華やかな雰囲気です。市庁舎正面のバルコニーではかつてムッソリーニが演説をしたこともあり、歴史的な意味合いも持っています。現在もこの広場で多くのイベントが開催され、夜になると全体がライトアップされて別の顔が見られます。トリエステの観光では、歴史が感じられる教会やお城などがたくさんあるのでオーストリアやハンガリーの雰囲気がイタリアの文化と入り混じって不思議な気分になれます。北西の海岸部にあるミラマーレ城はロマンチックでおすすめな観光スポットで、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の実弟マクシミリアンの家臣によって19世紀に建てられました。外壁が白いので別名を白亜の城と言い、海の青さとのコントラストが美しくて快晴の日は絶景です。内部は赤を基調にした壁の装飾や金色の豪華な飾りが優雅で、中庭の庭園や温室も見学することができます。トリエステのランドマークの一つにもなっているサン・ジュスト大聖堂は、横にあるサン・ジュスト城と共に観光したいスポットです。6世紀に原形が作られて、現在の姿になったのは13世紀のことだと言われています。ロマネスク様式の2つの建物が合体してできた大聖堂は珍しい形をしていて、内部には古いモザイク画やフレスコ画があります。上に登ると市内を一望できるので、アドリア海のほうまで見渡せる絶景が楽しめます。サン・ジュスト城の丘の麓にはトリエステがローマ都市テルゲストゥムだった時代に作られたローマ劇場があります。紀元前33年に建てられた歴史ある建造物で、当時は木製の舞台だったと想定されています。半円形の石段や舞台、柱がきれいに残っていて、夜は観客席や舞台がライトアップされるので光と影の演出が美しく、古代ローマ人のような気分になれます。劇場を飾っていた彫刻は、市立博物館内に展示されています。オペラや演劇が好きなら、ヴェルディ劇場がおすすめです。オーストリア統治下の1801年に建てられた歴史の長い劇場で、現在もヴェルディをはじめイタリアの作家のオペラや世界中のバレエ、室内楽やオーケストラなどの公演があってクラシックファンが詰めかけます。ピンクと白の石の外観や数々の彫刻が施された外壁を見ているだけでも美しく、劇場の内部のホールは豪華なシャンデリアや金箔で飾られていて当時の貴族の優雅な生活を思わせます。天井のフレスコ画やボックス席の内装も必見で、音楽鑑賞以外でも訪れてみたい劇場です。トリエステはウィーン文化の影響を強く受けた都市なので、カフェ文化の歴史も古くてカフェの街と呼ばれているほどです。中央駅から10分ほどの場所にある運河はカナル・グランデと呼ばれ、まるでヴェネツィアのような雰囲気があるおしゃれな界隈です。ここには運河に沿ってカフェやレストラン、ショップが並んでいて本場のコーヒーを飲んだり食事をするのにぴったりで、当時の様子を思わせる装飾が美しい貴族の館のような建物が並んでいるので写真撮影にも最適です。夜になると建物がライトアップされると同時に運河に沿った街灯も点灯されて、水に映る風景が幻想的に見えます。トリエステは文化が入り混じっていて昼と夜で違った顔が見られるので、ゆっくり時間をかけて観光したい街です。