マレーシア - マラッカについて

マラッカはマレーシアのマレー半島南部に位置しているマラッカ州の州都です。マラッカは歴史的価値の高い建造物や文化を保持しており1989年に世界遺産に登録されています。街は東西交通の要所であるマラッカ海峡に面しておりマレーシア有数の港湾都市として重要な役割を果たしていると同時に、その美しい街並みは毎年多くの旅行者を惹きつけ、マレーシアを代表する観光地の一つになっています。
マラッカは14世紀末にスマトラ島のシュリーヴィジャヤ王国王子によって、王国として建国されました。王国は周辺大国の明やシャム国との国交に力を入れ、15世紀初頭には香辛料貿易によって大きく繁栄することになります。しかし16世紀に入るとポルトガル人の侵略を受け、マラッカは同国の海上拠点となりポルトガル領マラッカとして改められました。フランシスコ・ザビエルもマラッカを拠点に東アジアへの布教活動へ出かけたと言われています。
その後歴史に翻弄され続けたマラッカは17世紀半ばにはオランダ領に、19世紀初頭にはイギリス領に、第二次世界大戦中は日本領として各国の占領を受けました。終戦後には独立運動が高まりを見せ、1957年にマラヤ連邦として独立を遂げました。
マラッカは熱帯雨林気候に属しており、年間を通して温暖で雨が多く湿度が高い傾向があります。最も暑くなるのは3月から4月頃で、平均最高気温は35℃程度まで上がります。最も気温がさあるのは12月頃ですが、それでも最高気温は33℃程度、最低気温は24℃ほどです。比較的雨が少なく安定した天気が続く1月から2月頃が最も観光に適したシーズンです。

世界各国からの影響を多大に受けながら発展をしてきたマラッカでは、様々な国の文化と歴史が共存し、美しい景観を造り出しています。市内には様々な人気スポットがあり、徒歩や自転車で散策することができますので、名所をいくつかご紹介します。
・オランダ広場
オランダ統治時代に建てられた建造物が集まるエリアで、街の中心部に位置しています。広場の周りは教会や時計台などでぐるっと囲まれた形になっており、これらの建造物は建設当初、白色の建物でしたが現在は赤く塗装され印象的で独特なものに変貌を遂げています。マラッカを象徴するスポットで、観光の拠点にもなっています。
・サンチャゴ砦
ポルトガル軍占領時に建てられた砦の遺跡です。建設当時はこの砦の直前まで海が広がっており、領地を守る最前線として使われていました。海岸線に4か所建てられたといわれる砦ですが、現在残っているのはこのサンチャゴ砦だけになっています。砦には威風堂々とした力強く美しい彫刻が施されていますが、これは後にマラッカを占領したオランダ軍によって追加制作されたものだと言われています。
・聖フランシスコザビエル教会
その名の通り東アジアでの布教活動で多大なる功績を残したフランシスコ・ザビエルを称え建設された教会です。左右対称に天に向かって伸びる塔とクリーム色が美しい建造物で、中に入って見学をすることもできます。室内は極めてシンプルな造りですが真っ白の壁の中央に色とりどりに輝くステンドグラスが美しく、思わず目を閉じて祈りを捧げてしまうような静寂な空気に包まれています。
・スルタンパレス
サンチャゴ砦のすぐ近くにあるマラッカ王国時代の王宮が再現された建造物で、現在は博物館として利用されています。王国当時に使われていたものと同じ建材と建設方法を使い当時の様式を忠実に再現しており、王国時代の生活様式を垣間見ることができる貴重な建物になっています。博物館内では蝋人形でマラッカの歴史的出来事を再現した展示を見学することができます。

マラッカ市街地周辺には比較的安価なゲストハウスからグレードの高いホテルまで、様々なタイプの宿泊施設が用意されています。周辺にはレストランや商店が点在していますので、滞在や観光にも大変便利なエリアです。空港からは車で15分ほどの距離がありますが、タクシーでスムーズに移動することができます。空港からは路線バスが運行されていますが、市内のバスターミナルから市街地まで3-4kmほど離れているため注意が必要です。
マラッカはマレーシアの中でも最も治安の良いエリアの一つで、一人旅や家族連れの旅行者も安心して滞在することができます。夜間も人通りが多く、マラッカの美しい夜景を落ち着いて楽しむことができるでしょう。ただし観光地以外の人気が少ないエリアには、なるべく夜間出歩かないようにするのが賢明です。