名称:Ferrara, City of the Renaissance, and its Po Delta
公式・関連サイトURL:https://goo.gl/mty3Vz
イタリア北部を東に横断し、アドリア海へと注ぐ大河ポー川。その下流域にあるフェラーラは、イタリアの有力貴族エステ家によって整備された都市です。エステ家は芸術を重んじていたことで知られ、ルネサンス期には文化活動の中心地の1つとして栄えました。
現在も、初期ルネサンス様式のテラコッタ装飾が施された宮殿や邸宅が数多く残っています。西洋美術史において重要な役割を果たした文化的資産を有する都市として、フェラーラは1995年に世界遺産に登録されました。この華やかな観光都市を訪れれば、およそ400年にわたってフェラーラを治めてきたエステ家の隆盛ぶりをうかがうことができるでしょう。
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【世界遺産】フェラーラ:ルネサンス期の市街とは?|ポー川デルタ地帯についてもご紹介
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フェラーラ:ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯とは
エステ家はもともとパドヴァ南西のエステを治めるゲルマン系ランゴバルド族の貴族でした。1196年にフェラーラ侯爵に叙任されたことからフェラーラに居を移し、13世紀に入って街が整備されます。
以後、エステ家は約400年にわたって半ば独立した封建領主としてフェラーラを統治し、ルネサンスを代表する宮廷文化が花開きました。
しかし、16世紀末に嫡流が途絶えたことで、フェラーラはローマ教皇に奪われてしまいました。再びエステ家がフェラーラを取り戻すことはなく、現在に至っています。
フェラーラへのアクセス
フェラーラへは、ボローニャかパドヴァから鉄道で行くことができます。所要時間はだいたい40分~1時間です。
ボローニャにはボローニャ・ボルゴ・パニゴーレ空港がありますが、日本からの直行便はありません。モスクワやドバイ、イスタンブールなどを経由することになります。
フェラーラのおすすめポイント①:エステンセ城
出典: Leonid Andronov / PIXTA(ピクスタ)
フェラーラは中世ヨーロッパの都市としては珍しく、旧市街の中心に堀ですっぽり囲まれた城があります。このエステンセ城は、14世紀後半に増税に反発した市民からエステ家が身を守るために建造されました。やがて普段の居所として利用されるようになり、4つの塔をもつ重厚な宮殿となりました。。
もともと実戦用の城だったので無骨な感じも受けますが、館内に入るとエステ家の優美な宮廷文化に彩られています。ルネサンス期にはフェッラーラ派といわれる画家達が活躍し、その優れた作品が今もなお残されています。
現在では多くの部屋が公開され、貴重なフレスコ画や地下牢なども見ることができますよ。また、4隅の塔にも登れるので、華やかな宮廷と戦う城の2つの面が味わえるフェラーラの定番観光スポットです。
フェラーラのおすすめポイント➁:フェラーラ大聖堂
正式にはサン・ジョルジョ大聖堂というフェラーラの大聖堂は、12世紀前半にロマネスク様式で創建されました。フェラーラの守護聖人サン・ジョルジョを祀っています。
この建物で注目すべきは、ファサードの3層の装飾。上から最後の審判・天国・地獄を表していて、ロマネスク彫刻を代表する作品といわれています。堂内には、今なお信仰を集めている15世紀のフレスコ画『恩寵のマリア』が飾られています。
大聖堂の博物館には、こうした彫刻や初期ルネサンス様式のテラコッタ装飾などが保存されています。また、大聖堂に付属する鐘楼は、フェラーラで唯一の石造建築物。ローマ古典主義と14世紀の彫刻を基盤としたデザインが特徴的で、こちらも見ごたえがありますよ。
フェラーラのおすすめポイント③:スキファノイア宮殿
フェラーラ旧市街南東部にあるスキファノイア宮殿は、14世紀のエステ家当主アルベルト・デステが建てたものです。エステ家がフェラーラ―を失って以降、近世に兵舎やタバコ工場にされたこともあるため外観は宮殿らしく見えませんが、館内にはエステ家の栄光の香りが残っています。
現在は美術館となっていて、エステ家にまつわる美術品や資料が展示されています。なかでも、「12ヶ月の間」と呼ばれる部屋は必見!四季の移り変わりが描かれたフレスコ画の数々で有名です。
まとめ
フェラーラ、ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯は、創建当時から変わらない文化的景観です。また、圧倒的なエステ家の力により、この歴史的な街が造られたことは言うまでもありません。
また、ポー川の広大な土地では自然と触れ合いながら、街巡りもできるので、アクティブ派も満足できるのではないでしょうか。
宮廷文化が随所に見ることができ、また、修復や保存ということも継続して行われてきています。世界遺産ならではの迫力を体感できる街に違いありません。