名称:パパハナウモクアケア(Papahanaumokuakea)
住所:Papahanaumokuakea, Hawaii USA
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1326
生き物の楽園!世界最大級の海洋保護区、世界遺産パパハナウモクアケア
世界屈指のリゾート観光地であるハワイ諸島の北西に、広大な海洋保護区の世界遺産があるのをご存知でしょうか?環礁や小さな島が約1900kmにもわたって細長く連なる北西ハワイ諸島と周辺一帯は、「パパハナウモクアケア」という海洋保護区。ハワイ火山国立公園に次いで2010年に登録された、ハワイで2つ目の世界遺産です。
パパハナウモクアケア?と初耳の方が多いと思いますが、それは当然のこと。ここは観光で行くことができないのはもちろん、船舶の通過でさえ許可が必要な特別な海域で、ハワイアン・モンクシールやアホウドリなど絶滅危惧種や多くの固有種が生息しています。ここでは、どこで区切って読めばよいかわからない「パパハナウモクアケア」という名称とその由来、世界遺産に登録された理由、魅力などに迫ってみましょう。
目次
生き物の楽園!世界最大級の海洋保護区、世界遺産パパハナウモクアケア
パパハナウモクアケアとは?
「パパハナウモクアケア」というユニークな名前は、「パパ(母であるサンゴ礁)ハナウ(出産)モク(島)アケア(父である天の神)」というハワイ語を合わせた造語です。北西ハワイ諸島の保護区は、ルーズベルト大統領からクリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領と段階的に拡大され、世界遺産登録されたときには約151万平方キロメートルにも及ぶ世界最大級の海洋保護区が対象になりました。
北西ハワイ諸島とは、ハワイ先住民の考古遺跡が残るニホア島やマクマナマナ島、海抜が低い島々を巨大なサンゴ礁が囲むパール・アンド・ハーミーズ環礁、かつての太平洋戦争の激戦地として知られるミッドウェイ環礁などが細長く連なった諸島群。ハワイアン・モンクシールという絶滅危惧種のアザラシやアオウミガメなど貴重な生物の保全と、考古遺跡などの文化的価値も評価され、パパハナウモクアケアは自然・文化の複合遺産として2010年に世界遺産登録されました。
世界遺産パパハナウモクアケア周辺の海は1年を通して穏やかで、ほとんど波の影響を受けません。そんな環境が独特の生態系をつくり、世界が注目する多種多様な生物の繁殖地になっているのです。パパハナウモクアケアは関係者以外の立ち入りが厳しく規制されていて、残念ながら観光することはできません。しかし、それもかけがえのない自然を守るため、世界遺産を後世に残すため。機会があれば、世界遺産パパハナウモクアケアを映像で楽しんでくださいね。
パパハナウモクアケアのおすすめポイント①:ニホア島
出典: USFWS - Pacific Region (CC BY 2.0)
カウアイ島からさらに約240km北西に浮かぶニホア島(Nihoa)は、パパハナウモクアケアの東端に位置する断崖絶壁の火山島。島内には住居や祭祀場など人が暮らしていた遺構がそのまま残っています。最近の研究で古代ポリネシア人が暮らしていたと考えられている、貴重な文化資料が残る島です。
ニホア島は希少なアホウドリの繁殖地として知られており、アメリカ国立自然保護区にも指定されています。
パパハナウモクアケアのおすすめポイント②:マクマナマナ島
ニホア島からさらに西にあるマクマナマナ島(Mokumanamana)からも、50を越える保存状態の良い遺跡が確認されています。
ハワイの先住民にとって世界遺産パパハナウモクアケアは、死後に魂が戻る神聖な場所と捉えられていました。大きな石を建てた祭壇や、そこへ続く階段などが今も良好な状態で保存されています。ハワイに暮らす人々が、昔から宗教と密に接して暮らしていた様子が想像できますね。ニホア島とマクマナマナ島からこうした貴重な遺跡が確認されたことも、パパハナウモクアケアが世界遺産に登録された理由の1つとなっています。
パパハナウモクアケアのおすすめポイント③:ミッドウェイ環礁
ハワイの世界遺産パパハナウモクアケアで唯一、最近まで人が入ることが許可されていた場所があります。ミッドウェイ環礁は、太平洋戦争において、ハワイからの給油地を兼ねてアメリカ軍事基地が造られた島々。対日本とのミッドウェイ海戦は映画になるほど有名で、世界遺産に登録された時に思い出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
戦後、ミッドウェイ環礁はアホウドリをはじめとする鳥類や動物たちの楽園となり、自然保護区に制定されたのと同時に軍事基地を閉鎖。島内には当時使用された大砲や滑走路が残されており、2002年までは島の歴史や自然を学ぶためのエコツアーを催行、2012年まではボランティアも受け入れていました。しかし人が入れば入るほど世界遺産としての価値が危ぶまれることから、ボランティアやツアーの再開は未定となっています。
◎まとめ
観光地であるハワイの近くにありながら、訪れることが許されない世界遺産パパハナウモクアケアをご紹介しました。この海洋保護区に棲息するクジラやアザラシなど大型の哺乳類、珍しい鳥類やカメなどの絶滅危惧種や固有種が、危険の少ないこの世界遺産のエリアに身を寄せている現状があります。パパハナウモクアケアは、暮らし方や自然環境について考える機会を与えてくれる素晴らしい世界遺産。私たちが守るべき自然がここにもあります。