【世界遺産】サラン=レ=バンとアル=ケ=スナンとは?◎歴史的製塩施設をご紹介

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【世界遺産】サラン=レ=バンとアル=ケ=スナンとは?◎歴史的製塩施設をご紹介

観光大国フランスには、実にたくさんの世界遺産があります。まだ日本ではあまり知られていませんが、製塩所の歴史と都市計画の歴史を現在に語り継ぐ文化・産業世界遺産として、「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」という名称で2つの製塩所が世界遺産に登録されています。かつてフランスでは、食料を保存するための材料として塩が重宝されていました。塩は「白い黄金」とも呼ばれており、なんとその管理を国が直接行っていたのだとか。今回は、そんなフランスの世界遺産「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」の見どころや魅力についてご紹介していきます。

目次

【世界遺産】サラン=レ=バンとアル=ケ=スナンとは?◎歴史的製塩施設をご紹介

1.「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」とは?

出典: Philippe PATERNOLLI/Shutterstock

「製塩」には、太陽熱や風を利用して塩田の水分を蒸発させる「天日(てんぴ)製塩」と、塩水を金属の釜で熱して塩を生産する「煎熬(せんごう)製塩」の2種類があります。サラン=レ=バンの大製塩所やアル=ケ=スナンの王立製塩所は「天日製塩施設」として世界遺産に登録されていますが、実はどちらも「煎熬製塩施設」なんですよ。

食料保存のためだけでなく、それに課せられる税金が国の大きな収入源となっていたという塩。中世のフランスで建てられた製塩所は、外部からの侵入や盗難を防ぐため高い壁で囲われていました。その姿は「サラン=レ=バンの大製塩所」で見ることができます。

一方「アル=ケ=スナンの王立製塩所」は、製塩所としてだけでなく都市計画の一つとして建設された施設です。まるで宮殿のような造りになっており、敷地内には研究所や住居、浴場など様々な施設が備わっているほか、緑豊かな大きな庭園もあります。

このように、製塩の歴史と当時の都市計画を象徴する施設として高く評価されたサラン=レ=バンの大製塩所とアル=ケ=スナンの王立製塩所。1982年にアル=ケ=スナンの王立製塩所が世界遺産に登録され、その17年後の1999年にサラン=レ=バンの大製塩所も含めて拡大登録されました。

2.「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」へのアクセス

<サラン=レ=バン大製塩所へのアクセス>
パリのリヨン駅からTGVに乗ってまずはドール(Dole)駅へ。その後、電車TERに乗り換えて40分程のところにあるムシャール(Mouchard)駅を目指します。ムシャール駅からサラン=レ=バン大製塩所まではバスでおよそ15分。バス停を降りたらすぐに建物が見えるので、迷うことはないでしょう。パリからサラン=レ=バン大製塩所までの所要時間は、片道で約3時間です。

<アル=ケ=スナン王立製塩所へのアクセス>
パリのリヨン駅からTGVに乗ってドール(Dole)駅へ行き、TERに乗り換えてアル=ケ=スナン(Arc-et-Senans)駅で下車します。駅から製塩所までは徒歩で約2分。パリからアル=ケ=スナン王立製塩所までは、片道2時間半の道のりです。

3.「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」のおすすめスポット

◆サラン=レ=バンの大製塩所

出典: Pierre Jean Durieu/Shutterstock

1999年に拡大登録された「サラン=レ=バンの大製塩所」では、地下からの塩水を金属製の平釜で煮詰める煎熬(せんごう)という方法で大量の塩が生産されていました。その設備は今も残されており、塩水を煮ていた大きな釜や煙をもくもくとはいていた高い煙突、大貯蔵庫など巨大な設備を見ることができます。

煎熬に必要な木材が不足したことにより生産量が減少し、また、アル=ケ=スナンの王立製塩所の建設によって徐々に衰退してしまったサラン=レ=バンの大製塩所。工場が稼働しなくなってからは寂れていましたが、世界遺産に登録されたことにより再び脚光を浴び、今ではたくさんの観光客に親しまれています。

◆アル=ケ=スナンの王立製塩所

出典: Pierre Jean Durieu/Shutterstock

塩を大量生産するべくフル稼働していたサラン=レ=バンの大製塩所でしたが、釜の加熱に不可欠な木材不足が深刻となったため、新たに森の近くに製塩所を建設することになりました。その時に建築された製塩所が、1982年に世界遺産登録された「アル=ケ=スナンの王立製塩所」です。

製塩所と関連施設を兼ね備えた理想的な工業都市にすべく、建築家クロード・ニコラ・ルドゥーの設計のもと様々な施設が建てられました。当初は高い壁に囲まれた広大な土地にパン屋や厩舎、樽工場、庭園などが幾何学的に配置される予定でしたが、資金難により最終的には半円状の建物群で終了しています。

建物が整然と半円状に建ち並ぶ様子は、フランスの現代建築でもなかなか見られない光景で、そんな珍しい工業都市計画もまた世界遺産登録において評価の対象となっています。建物のいくつかは展示館となっており、当時の製塩の様子や都市計画の設計図を見ることができますよ。

◎まとめ

フランスの製塩の歴史を現在に語り継ぐ世界遺産「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」についてご紹介しましたが、いかがでしたか?「サラン=レ=バン」や「アル=ケ=スナン」という地名を初めて聞いたという方も多いはず。塩を煎熬する際に用いた設備を目の当たりにすると、煌びやかなお城や聖堂から想像するフランス王国の優雅さとは、また一味違った堅実的な面が見えてきそうですよね。製塩所があるフランシュ=コンテ地方は自然豊かなエリアで、世界遺産の周辺にはハイキングスポットなども点在しています。ぜひ、都会の喧騒を離れてサラン=レ=バンやとアル=ケ=スナンの製塩所を訪れてみてくださいね。

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