名称:バターリャ修道院(Monastery of Batalha)
住所:Largo Infante Dom Henrique, 2440 Batalha, Portugal
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/264/
ポルトガル中部の都市バターリャに、カトリックの修道会ドミニコ会の修道院があります。それが1983年に登録されたポルトガルの世界遺産バターリャ修道院です。12世紀後半から開花したゴシック建築の傑作で、装飾手法の一つマヌエル様式を用いたもの。
荘厳な修道院は、1386年から約2世紀の歳月をかけて、15人の建築家によって建てられました。スケールの大きさはもちろん、息を呑むような装飾と建築技術は必見。バターリャ修道院の魅力をたっぷりご紹介しましょう。
目次
【ポルトガル世界遺産】バターリャ修道院|ゴシック建築の傑作!
バターリャ修道院とは?
聖母マリア修道院という名前が正式名称であるバターリャの修道院は、ジョアン1世が戦いの結果を聖母マリアへ感謝する目的で建設されました。修道院建築の目的はそのマリアへ感謝するだけでは終わらず、新しい王朝の象徴にもなります。
ジョアン1世は、アルジュバロータの戦いが終った1385年の8月に建築現場を選び、1386年から建設を始めました。最初の建築家は、アフォソン・ドミンゲスで、建設開始から1402年にかけて活動。アフォソン・ドミンゲスは、修道院と城壁、教会や寮、食堂を建築しました。
1402年からはフュゲットに引き継がれ、建築主として36年間担当。フェゲットは、建築と装飾において革新的な要素を取り入れました。そのうちの1棟をカバーする大胆な丸天井が、彼の建築技術を最も明白に表しています。その後、建築家フェルニヤーオ・エヴォラはアフォソン王5世の回廊建築を担当し、構造の単純さと厳格な装飾が特徴的な建築物を建てました。
長きにわたったこの壮大な建設プロジェクトの中で、1490年から1555年の間に担当したマテウス・フェルナンデスの作品に注目が集まっています。それは、彼が未完の礼拝堂の入り口にマヌエル様式の彫刻を導入したため。これはマヌエル様式としては最初の作品なので、希少価値が高いのです。
長い年月をかけて、15人もの建築家が歴史に残る修道院を建築したにもかかわらず、1755年にリスボン大地震で甚大な被害にあってしまいました。
また、それだけではなく1810年にはフランス軍によって攻撃され、19世紀には記念碑の修復中に完全に破壊されます。その後は修復作業が行われ、1980年から博物館になりました。
バターリャ修道院へのアクセス
ポルトガルの首都リスボンからはおよそ120kmあり、車で行くと1時間40分ほどかかります。また、第2の都市ポルトから世界遺産のあるバターリャの町までは車で約2時間です。
バターリャ修道院のおすすめポイント①:未完の礼拝堂
世界遺産バターリャ修道院は見所がたくさんありますが、一番のおすすめは未完の礼拝堂。2世紀もの歳月をかけながら、世界遺産バターリャ修道院が完成せずに今もあることを象徴する場所です。ここにドゥアルテ1世と妻のレオール・デ・レオンが埋葬されています。1437年の着工時にはドュアルテ1世が子孫を埋葬する目的でした。
この礼拝堂はフュゲットが設計しましたが、その後に担当したフェルナンデスがマヌエル様式の彫刻を施したことで注目されています。その礼拝堂の入り口は15mもの高さがあり、1509年に完成。天球や天使、ロープなどがアーチに施されており、美しい装飾はバターリャ修道院の目玉ですよ。
バターリャ修道院のおすすめポイント②:身廊
ロマネスク様式やゴシック様式の教会には、身廊というホール部分が設けられているのが特徴です。主祭壇に向かう中央の通路から翼廊までがその部分。ヴォールト建築で最高の身廊を持つのは、フランスのボーヴェオ大聖堂が高さ48mで有名ですが、この世界遺産バターリャ修道院の身廊は32mあります。
バターリャ修道院の特徴は幅が狭いことで、これは均等を保つために設計された高さと幅のバランスです。この身廊には、彫刻や装飾物があまり施されていないため、シンプルで落ち着きのある雰囲気。10枚あるステンドグラスから差し込む光は、荘厳でこのステンドグラスはポルトガルにおいては最初のもの。ドイツ人の芸術家がバターリャに持ち込んだと考えられており、最も古いものは1430年代後半のものです。
◎ポルトガルの世界遺産「バターリャ修道院」まとめ
ポルトガルの世界遺産バターリャ修道院をご紹介しました。2世紀という長い歳月をかけて建築されたこの修道院は、芸術性の高さと建築技術の高さを誇るもの。後に戦争によって破壊されますが、未完成でも美しい世界遺産です。ぜひ訪れてみてくださいね。