【世界遺産】タラゴナの遺跡群とは？｜ローマ時代にタイムスリップ！

バルセロナから南西へおよそ100km、カタルーニャ州タラゴナ県の県都のタラゴナは、地中海に面した港湾都市で、昔も今も物流の要所として知られています。ローマ時代にイベリア半島の中心地として栄えた歴史があり、紀元前1世紀には人口が100万人を超えていたといいます。

その時代から円形競技場、大聖堂、水道橋、凱旋門、長官公邸などの建物が次々と建てられました。今回はそんな2000年に世界遺産に登録された「タラゴナの考古遺跡群」をご紹介します。

タラゴナの遺跡群とは？

タラゴナは、ユリウス・カエサルによる都市整備と後の歴代ローマ皇帝が好んで在留する皇帝直属の都市になったことから多くの建物が建てられ、発展を遂げました。ローマ帝国は紀元前218年にタラゴナを植民地にしましたが、イベリア半島全体では三つの行政地区に分けられて統治していました。

後にはスペインの多くの都市と同じように、西ゴート族、イスラム勢力のウマイヤ王朝、レコンキスタによるキリスト教化、という歴史を辿りますが、ローマ時代にこれだけ発展した都市はあまり類を見ません。その名残で、毎年5月の後半の2週間には「タラコ・ビバ」というローマ時代にちなんだお祭りがあります。この期間は町中がローマ時代にタイムスリップ。円形競技場ではグラディエーター（剣闘士）たちが衣装をつけて戦うイベントがあり人気があります。

タラゴナの考古遺跡群へのアクセス

タラゴナへはバルセロナから高速列車で1時間から1時間半ほどで、1時間に2.3便が運行しています。またマドリードからはサラゴサ経由の高速列車AVEが3時間で結んでいます。タラゴナの駅から遺跡群までは徒歩10分程度です。

タラゴナの考古遺跡群おすすめポイント

円形競技場

タラゴナの代表的な風景として名高い地中海に面した高台に建つ円形競技場。1世紀後半から2世紀初めにかけて作られた14,000人が収容できる大きな競技場です。ローマ時代には剣闘士対剣闘士、剣闘士対猛獣という戦いが見世物として流行していました。

海から近いので、海外から動物を運びこみ、見世物にもしていたそうです。地下室には剣闘士の休憩室や猛獣の檻、地下から競技場まで動物を滑車を使って引き揚げる手動エレベーターもありました。また4世紀にローマの国教がキリスト教になるまでは、キリスト教徒を処刑する公開処刑場の役割もあったと言われています。

ラス・ファレラス水道橋

ラス・ファレラス水道橋は紀元前1 世紀頃、アウグストゥス帝の命によりタラゴナの北15kmにあるフランコリ川から街まで水を供給するために造られました。全長217m、高さ27m、幅は2mで二層のアーチ構造になっています。上のアーチは25あり、下は11のアーチで支えられています。これはスペインで現存する橋の中ではセゴビアの水道橋に次ぐ規模になります。

実はこの水道橋は、悪魔の橋と呼ばれてきました。セメントもなく重機もない時代に、こんな素晴らしい水道橋が短期間で完成した事から悪魔の仕業に違いないと噂が流れたと言います。この水道橋の上には幅1mの水路が残されていて、そこを歩いて渡ることができます。高さもあり少し怖いかもしれませんが、せっかくのチャンスなので世界遺産の水道橋の上を自分の足で歩いてみてくださいね。

プレトリ

タラゴナと言えば円形競技場と水道橋の名前ばかりがあがりますが、実はとても興味深いローマ遺跡があるんですよ。それはプレトリです。紀元前1世紀に建てられたローマ時代のプレトリとは、長官の公邸で、中世の時代には王の居城としても利用されていました。今は修復されて歴史博物館になっています。プレトリでは、ローマ時代の壁画や大理石像などが展示され、ジオラマもあります。

見学が終わったらテラスに上がってみましょう。ここから見えるタラゴナの街と地中海の眺めはまさに絶景です。隣にある1世紀に作られた楕円型の競技場へは地下通路で繋がっています。また、この地下通路はライトアップされていて幻想的な雰囲気を味わえますよ。

◎まとめ

いかがでしたか？タラゴナの世界遺産のおすすめがもう1ヵ所あります。それは「考古学の道」と呼ばれる、タラゴナの旧市街の周囲をぐるりと囲む城壁に沿って作られた遊歩道です。この道自体は何度も修復されていますが、城壁は紀元前3世紀というとても古い物。タラゴナの郊外の景色を眺めながらゆっくり歩く散歩道です。

バルセロナから片道およそ1時間半と日帰りができる距離ですが、地中海沿いに宿をとって1日ゆっくりと世界遺産の遺跡巡りをするのもいいですね。ローマ時代のお祭り「タラコ・ビバ」祭りの期間は殆どの施設が無料になるので、この時期に訪れることができたらベストですね！

【世界遺産】タラゴナの遺跡群とは？｜ローマ時代にタイムスリップ！