【世界遺産】ミディ運河をご紹介◎大西洋と地中海を結ぶ世界最古の運河とは?

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【世界遺産】ミディ運河をご紹介◎大西洋と地中海を結ぶ世界最古の運河とは?

フランスの世界遺産「ミディ運河(Canal du Midi)」は、大西洋と地中海を結ぶ世界最古の運河です。
17世紀にこの運河が建設されたことにより、フランスの物流が急激に発展し、フランス経済に大いなる利益をもたらしたと言われています。その後、鉄道や飛行機などの発展により次第に利用されなくなりましたが、現在は遊覧船が運航し、たくさんの観光客で賑わいを見せています。

そんなミディ運河の注目ポイントは利便性だけではありません。全長約240Kmにも及ぶ運河には閘門や橋、トンネルなど計348もの建築物が点在しており、両脇に植えられたプラタナスの並木と共に美しい景観を造り上げています。まるで絵画のように美しい景色は一見の価値がありますよ!
それでは、世界遺産「ミディ運河」の魅力をご紹介していきましょう。

目次

【世界遺産】ミディ運河をご紹介◎大西洋と地中海を結ぶ世界最古の運河とは?

ミディ運河とは?

出典: pase4

1996年に世界遺産に登録されたフランスの「ミディ運河(Canal du Midi)」は、大西洋に河口を持つガロンヌ川と地中海の港町セート間を結ぶ世界最古の運河です。かつてフランスの人々はイベリア半島を迂回するという輸送ルートを利用していたのですが、まだエンジンもなかった頃でとても不便でした。しかも、大西洋と地中海を行き来するには、スペインにジブラルタル海峡の通行税を払う義務もあったのです。

「ここに運河が通れば…」と考えたルイ14世の下、塩税徴収請負人を務めていたラングドック州のピエール=ポール・リケが運河造りを計画。1666年ついに工事が始まります。全長240Km(総延長約360Km)を有するミディ運河の完成までには約15年もの歳月がかかったため、残念ながらリケはその姿を見ることなく亡くなってしまいますが、彼の死後7ヶ月経った1681年についに完成しました。

途中、水害などで改修工事を要したため、最終的に全ルートが使用できるようになったのは1694年のこと。それから鉄道に移行する19世紀までミディ運河は大活躍し、南仏経済発展の基礎となる物流の歴史に大いなる功績を残したのです。南仏産のワインがヨーロッパ中に広まったのもミディ運河のおかげなんですよ。

17世紀の土木技術を結集して造られたミディ運河は、技術的に素晴らしいのはもちろんのこと、その景観美も注目ポイントとなっています。運河の両脇に並ぶ約45,000本のプラタナスと糸杉は、かつて往来する船舶や人に日差しが当たらないようにとの思いから植えられたもの。心地よい風が吹く緑の遊歩道は、周辺住民の憩いの場として、また、観光スポットとして人々に愛されています。

ミディ運河へのアクセス

ミディ運河の観光拠点は各地に点在していますが、比較的行きやすいトゥールーズ(Toulouse)またはカルカッソンヌ(Carcassonne)がおすすめです。パリのモンパルナス駅からトゥールーズまではTGVで約5時間30分。空路を利用すれば80分で到着です。

カルカッソンヌはトゥールーズからさらにTGVで約40分のところに位置します。パリからの直通列車はなく、TGVと在来線、またはTGVとTGVを乗り継ぐ必要があります。所要時間はルートによりますが、最短でも6時間。最大で8時間近くかかりますので、スケジュールを組む際は注意しましょう。

ミディ運河の人気スポット「フォンセランヌの閘門」は、ベジエ(Béziers)という街にあります。
カルカッソンヌから車で30分程ですので、のんびりドライブしながら訪れるのがおすすめ。パリからは、TGVの直通便を利用すれば4時間30分で到着することができますよ。

ミディ運河のおすすめポイント

◆フォンセランヌの7段の閘門

出典: IMAGEART/PIXTA(ピクスタ)

ミディ運河が造られた17世紀当時は背の高い水門を作る技術がなかったため、1ヶ所の水門に段を造って水位調整をするという方法が主でした。全部で130あるミディ運河の水門の中でも、観光スポットとして最も高い人気を誇っているのがこの「フォンセランヌの7段の閘門」。約21mの高低差を乗り越えるために造られた7段式の閘門(ロック)です。

門の前に来ると船員が岸に降り、船が動かないようロープをポールに固定。閘門を閉めて水位を満たし前へ進むという方法が、今もなお用いられています。1ヶ所の閘門を通る毎に30分程要するため、7つの閘門すべてを通過するには3時間以上もかかるのだとか。そのため、観光にあまり時間をかけられない方は水門側から観察するのがおすすめです。

現在はミディ運河観光のハイライトとなっている9段の閘門ですが、エンジンのない時代に船を漕いでいた人にとっては最大の難関だったはず。それでも、約3千Kmもの海を航行してスペインに税金を払うことを考えたら、きっと苦ではなかったんでしょうね。

◆遊覧船

出典: therry

世界遺産「ミディ運河」の夏といえば遊覧船は外せません。別名「バラ色の街」と呼ばれるトゥールーズ発のクルージングでは、船の上から究極の景色を堪能することができます。

日中の風景も素敵ですが、おすすめは日没時の夕景。オレンジ色に輝く夕陽や日没後にライトアップされた街並みは、心が洗われるほど美しく魅力的です。

水門やトンネルをくぐる運河ならではのクルーズを楽しみたい方は、カルカッソンヌから出航する遊覧船を利用しましょう。

高低差のある運河を通る際に水位調整をする閘門(ロック)があるのですが、轟々と音を立てながら水が満ち引きする様子は圧巻の一言。これは見逃せませんよ!同じく世界遺産に登録されている「歴史的城塞都市カルカッソンヌ」の街並みもあわせてお楽しみくださいね。

◎まとめ

元々はフランスの物流発展のために造られた「ミディ運河」でしたが、人々の希望と夢を実現した素晴らしい世界遺産でもあるんですね。昔と変わらす姿の運河沿いを散策しながら、その歴史に思いを馳せてみるのも良いでしょう。

総延長360Kmを誇るミディ運河沿いには、約200ものサイクリングコースが存在します。フランスはレンタサイクルも充実していますので、ぜひ運河の風を切りながら爽快な観光を楽しんでみてくださいね!

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