名称:リートフェルト設計のシュレーテル邸(Rietveld Schroderhuis)
住所:Prins Hendriklaan 50, 3583 EP Utrecht
公式・関連サイトURL:http://centraalmuseum.nl/bezoeken/locaties/rietveld-schroederhuis/
モダンデザインを語る上で欠かすことのできないオランダの建築家リートフェルト。彼の代表作ともいえる建築物が「シュレーテル邸」です。この古さを全く感じさせないモダンな建物は、1924年に建てられたものなんです。世界遺産にもなっている「リートフェルト設計のシュレーテル邸」についてご紹介します。
目次
早すぎた現代建築!オランダの世界遺産「リートフェルト設計のシュレーテル邸」
シュレーテル邸とは?
首都アムステルダムから南に約50km、オランダ第4の都市ユトレヒトに世界遺産「シュレーテル邸」はあります。オランダが誇るモダン建築の巨匠ヘリット・トーマス・リートフェルトの作で、シュレーテル夫人の為に設計された邸宅です。
リートフェルトはユトレヒト出身。水平・垂直・直線や原色をメインとした配色が特徴的なデザインで、このシュレーテル邸の他にも「赤と青の椅子」という有名なデザインの家具があります。
驚くべきことにリートフェルトがこのシュレーテル邸を世に送り出したのはなんと1924年。1924年というとヨーロッパでは今でいうアンティーク的な装飾芸術全盛期であり、いかにリートフェルトの作品が前衛的な作品だったかがわかります。それだけにこの作品の完成時は賛否両論、大きな議論を巻き起こしました。
このシュレーテル邸は芸術運動「デ・ステイル(De Stijl)」の現存する唯一の建築作品です。デ・ステイルとは建築を重視した新造形主義のこと。水平・垂直や原色を使用するデザインが特徴的で、このシュレーテル邸はデ・ステイルを代表する作品のうちの一つとなっています。
それまでオランダは自然的な表現や、曲線を基調としたアール・ヌーヴォーが芸術の主流。その思想とは正反対の幾何学的で直線的なデ・ステイルは、新しい芸術として19世紀初頭から大きなムーヴメントを起こすことになっていきます。現代でも色褪せないその斬新なデザインは、数多くの有名な芸術家やデザイナーに影響を与え現在に至ります。
シュレーテル邸へのアクセス
ユトレヒト中央駅からバス4番に乗車。De Hooghstraatで下車し、徒歩約2分で到着です。
シュレーテル邸のおすすめポイント
出典: andrés arias / shutterstock
もちろん建物そのものが素晴らしい作品ですが、なかでもポイントなのが「赤と青の椅子(Red and blue chair) 」です。幾何学的なフォルムと斬新な色使いは、リートフェルトの作風を象徴するような家具です。
リートフェルトが所属していたデ・ステイルの中心人物ピエト・モンドリアンの絵画からインスピレーションを受けてデザインしたといわれており、新造形主義を三次元へと具現化した最初の作品でもあります。芸術作品としてだけでなく、安価に生産できることまで考慮されてデザインされた無駄のない家具。世界に大きなインパクトを与えることになった、歴史的にも重要な逸品です。
リートフェルトのバックグラウンド
彼のキャリアのスタートは家具職人の父親の元で修行した時代にまで遡ります。その後、1911年に彼は自分でデザインしたキャビネットを作る会社を設立します。家具を作る一方で建築にも興味を抱いていた彼は家具の作成と並行して建築の勉強をするようになります。
その建築の勉強を通し、「デ・ステイル」の創始者たちと運命的な出会いを果たします。そして1917年に「赤と青の椅子」を発表。彼のデザインは自由に変化する空間を用い、それまで誰も考えなかった空間としての家具という新しい概念を生み出します。極めて芸術的でありながら生産性やコストに使いやすさなどまで考慮されているのは、彼がデザイナーであると同時に家具職人としての素養を持ち合わせていたことが大きく影響しているといえますね。
シュレーテル邸のデザインも、これらのアイディアから発展した建築作品といえます。
◎まとめ
「リートフェルト設計のシュレーテル邸」は現代オランダのモダン建築を代表する作品です。今見ても新鮮な驚きを感じさせてくれるデザインは、つくられてから一世紀近い時間が経過しているとはとても思えません。オランダを訪れたのなら、ぜひシュレーテル邸を鑑賞しに訪れてくださいね。