名称:サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路:カミーノ・フランセスとスペイン北部の巡礼路
住所:スペイン、フランスの一部
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/669
エルサレム、ローマとともにキリスト教の三大聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路。1993年、スペイン国内の巡礼路(「フランスの道」と「アンゴラの道」)が世界遺産に、また1998年にはフランス国内の巡礼路(「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」)が世界遺産登録されました。毎年、約10万人の巡礼者がフランス側からピレネー山脈を越えてやってきます。
宗教、国籍を問わず、世界中から人々がこの巡礼路を歩くなんてすごいですよね。今回はスペイン国内の巡礼路ついて紹介したいと思います。
目次
【世界遺産】サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の観光情報
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とは?
一般的にはカミーノ・デ・サンティアゴ(サンティアゴへの道)と呼ばれているこの巡礼路は、世界でも珍しい「道」が世界遺産に登録されたものです。千年以上続く歴史的かつ宗教的にも重要な巡礼路。その経由地には巡礼の歴史にまつわる素晴らしい宗教建築物や絵画などがり、芸術・文化の発展にも大きく貢献しました。
また巡礼者に無料でワインと水を提供する「ワインの泉」や、格安の値段で泊まれる公営、もしくは民営の宿泊所「アルベルゲ」などがあります。
これらは他に類を見ない独特な風習です。巡礼者はホタテ貝を身に着け、巡礼手帳を持つことで一般人と区別され、「ペレグリーノ」と呼ばれます。そして約780kmの長い巡礼路(カミーノ・フランセスルートの場合)を歩きます。
聖地であるサンティアゴ大聖堂にたどり着くと、巡礼証明書「コンポステーラ」が貰え、毎日、昼12時に行われる巡礼者用のミサで称えられるのです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路へのアクセス
複数の巡礼ルートの中で人気があるカミーノ・フランセス(フランスの道)。道の大部分がスペイン国内なのですが起点はフランスのサン・ジャン・ピエド・デ・ポルになります。
日本からパリまでは空路直行便で13時間弱。パリ・モンパルナス駅からバイヨンヌまでTGV で最短5時間。バイヨンヌでローカル線に乗り換えサン・ジャン・ピエド・デ・ポルまで約1時間で到着します。
または日本からパリ経由でビアリッツへ。約17時間。ビアリッツから電車で乗り換えをして約2時間です。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路のおすすめポイント
サン・ジャン・ピエド・デ・ポルからブルゴス
フランスの町サン・ジャン・ピエド・デ・ポルはカミーノ・フランセス(フランスの道)の起点。ここから手続き、検査など無く国境を通過し、ピレネー山脈を越えるまで長い登り坂が続く。最初の宿場町、ロンセスバージェスまでは約25kmの道のり。その後、牛追い祭りで有名なパンプローナまでは緑豊かで比較的楽な道です。
プエンテ・ラ・レイナは、巡礼のもう1つのルート「アラゴンの道」からの合流点です。町の名前にもなったロマネスク様式の「王妃の橋」は11世紀にかけられました。エステージャを過ぎると有名な「ワインの泉」がある町、イラーチェ。修道院前のワイン醸造所が巡礼者へのお接待として、24時間、無料でワインと水が出る蛇口を巡礼路のわきに設置しています。
このあたりからログローニョ付近までブドウ畑が広がり平穏なナバーラ地方の風景が続き、ブルゴスへ続きます。
ブルゴス大聖堂はトレド、セビージャとともにスペイン3カテドラルのひとつであり、その美しさは巡礼者の疲れを癒してくれることでしょう。
ブルゴスからセブレイロ峠
ブルゴスからレオンまで約180km、平坦な台地で小麦畑が延々と続いています。この区間は歩行が楽なので、早く歩いて時間を稼ぐ巡礼者も多くいますよ。レオンにはスペイン一のステンドグラスを誇るゴシック様式の大聖堂や、ここでリタイヤしたい巡礼者が贖罪してもらえるサン・イシドロ教会などがあります。
レオンを出るとだんだん登り坂になっていき、針葉樹なども見え始えます。アストルガには、あのガウディの作品「アストルガ司教館」があり、カタルーニャ地方以外にある数少ない作品も。ポンフェラーダは比較的大きな町で、見ごたえがあるテンプル騎士団の立派な城も見ものです。
ラ・ラグーナ・デ・カスティージャを過ぎると聖地サンチャゴがあるガリシア州に入り、ここからは「フランスの道」で最後の難所になるセブレイロ峠が。そこにはアルベルゲがあるオ・セブレイロの村がありますよ。
セブレイロ峠からサンティアゴ・デ・コンポステーラ
オ・セブレイロは、なだらかな円錐形で石造り、藁ぶき屋根の家屋がある美しい村。サリアからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは残り113kmの道のりです。巡礼証明書をもらうには最低100km以上歩くことが決められています。サリアの町は大きく交通の便も良いので、ここを出発点にしている人も多いようです。そんな事情もあり、ここからは巡礼者の数が一気に増えます。
大聖堂から約5km手前にあるモンテ・デル・ゴソ(歓喜の丘)からは目的地の大聖堂が見え、巡礼者は初めて見る「聖なる地」に感動のあまり、歓喜の声を上げます。そしていよいよサンティアゴ大聖堂に到達。「栄光の門」をくぐると石柱があります。そこには千年以上も前から何千万人という巡礼者たちが触れたことによりすり減った、手の形をした窪みを見ることができますよ。
◎まとめ
いかがでしたでしょうか?カミーノ・フランセス(フランスの道)は数ある巡礼ルートの中でも一番人気で、多くの巡礼者が使うルート。経由地には歴史的な古い町がいっぱいです。巡礼路の全行程は無理にしろ、サリアからの最後の113kmなら何とか歩けそうですよね。
あなたも巡礼者たちと「歓喜の丘」で一緒に歓声を上げ、大聖堂の石柱に触れれば、千年以上続くサンティアゴ巡礼というその歴史の一部になることが出来るのです。