名称:ハバナ旧市街とその要塞群
住所: Havana, Cuba
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/204
キューバの世界遺産といえば、「カリブ海の真珠」と言われている「ハバナ旧市街とその要塞群」や19世紀のはじめに築かれた「シエンフエーゴスの都市歴史地区」などスペインの植民地だった歴史を感じる世界遺産があります。他にもハイキングやロッククライミングで人気の「ビニャーレス渓谷」や様々な動植物が生息する「アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園」など満載。文化遺産が7箇所、自然遺産が2箇所あるので、バラエティに富んだ観光が楽しめます。キューバの世界遺産9選をご紹介します。
目次
キューバの世界遺産9選!登録されている文化遺産と自然遺産をご紹介
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1. ハバナ旧市街とその要塞群
1492年、キューバを発見したコロンブスは、この島国を「世界で最も美しい島」と讃えました。1519年、スペインによって町並みは形成されていきました。20世紀後半に廃墟となってしまった建物もあり再建されたものもありますが、現在も3000もの歴史的建築物があります。この中で、高さが異なる2つの塔が印象的なバロック建築であるハバナ大聖堂と、アメリカの連邦議会議事堂を模したとされるカピトリア、キューバ国立バレエ団が拠点としているハバナ大劇場は高く評価されています。
このオールド・ハバナはフランスの海賊ジャック・ド・ソーレスに焼き討ちにあったことがあり、この経験からスペインはハバナ港の要塞化を進め、1558年のフエルサ要塞を皮切りに、モロ、プンタ、カバーニャの各要塞が造られていきました。1982年、「ハバナ旧市街とその要塞群」の名義で世界遺産に登録されました。ハバナ旧市街とその要塞群へは、ハバナの空港であるホセ・マルティ国際空港から旧市街まではタクシーで行けます。
2. トリニダとロス・インヘニオス渓谷
500年の歴史を持つこの小さなトリニダの町には、コロニアル様式とパステルカラーに彩られた建物が並びます。現在博物館になっているところは砂糖取引で財を成した邸宅を利用しており、いかにここが繁栄していたかを現在に語り継いでいます。ハバナからはバスで6~7時間かかり、長距離バスのチケットはハバナバスセンターで購入できます。
またロス・インヘニオス渓谷は、18世紀末から19世紀末まで砂糖の工場やサトウキビプランテーションがあった地域で、多くの黒人奴隷が働かされ、絶頂期には50以上の工場が稼働していました。1820年、スペインが奴隷制を廃止したため経営が難しくなり、中には放棄された工場までありました。高く聳えるイスナガの塔は、奴隷を監視し、その栄華を見せつけるために建設されたもの。ここには原住民も働いていましたが、劣悪な環境で全滅しました。1988年「トリニダとロス・インヘニオス渓谷」の名前で世界遺産に登録されました。
名称:トリニダとロス・インヘニオス渓谷
住所:trinidad,cuba
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/460
3. サンティアーゴ・デ・クーバのサン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城
出典: Inspired By Maps/shutterstock
「ペドロ・デ・ラ・ロカ城」は、1637年ジョヴァン・バッティスタ・アントネッリが設計したものです。海賊対策としてこの工事を依頼したのがペドロ・デ・ラ・ロカ・イ・ボルハだったことからこの名前がついています。1638年から工事が始められ、主要部分の完成に42年もの歳月を要し、最終的に1700年に完成しました。1662年、建設中の城塞はイギリスの海賊に襲われ、また相次ぐ地震により破壊されましたが、その都度スペイン政府はこれを修復していきました。
20世紀になり城塞は朽ち果てていましたが、1960年代にフランシスコ・プラート・プイグによって修復されます。1997年にスペイン政府がアメリカ大陸に築いた城塞の中で最も状態が良く残っているものとして、世界遺産に登録されました。ハバナからはキューバ航空国内線で約1時間30分、そこからバスで行くことになりますが、本数が少ないので、通常はタクシーかトラックバス利用になります。
名称:サンティアゴ・デ・クーバのサン・ペドロ・デ・ラ・ロカ城
住所:Provincia de Santiago de Cuba
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/841
4. ビニャーレス渓谷
出典: Lukas Bischoff Photograph/shutterstock
1999年に文化遺産に登録されたビニャーレス渓谷は、キューバにあるカルスト地形の窪地。渓谷のふもとでは、タバコが栽培され独特の景観を見せています。人気の観光スポットは、1921年メキシコ人画家のディエゴ・リベラとその15人の弟子たちが5年の歳月をかけて、高さ20m以上、幅120m以上の岩に描いた壁画。自然とは相反する色彩が逆に異彩を放ち、独特の景観を作り出しています。
インディヘナの洞窟は、かつて先住民が暮らし、植民地時代には奴隷たちの住処となり、独立戦争時には革命家の隠れ家となった場所。インディヘナ洞窟へは船で向かうことになるのですが、混み合うこともあるので早めの乗船をお勧めします。海からも近く、レストランではキューバ名物のロブスターを食べることもできます。ハバナからビニャーレスまではバスでの移動となり所要時間はおよそ4時間。ツアーに参加されることをおすすめします。
名称:ビニャーレス渓谷
住所:Province of Pinar del Rio
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/840
5. キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観
元々は、サン=ドマングで大規模プランテーションが行われていました。サン=ドマングが独立してハイチとなると、白人は黒人奴隷を引き連れてキューバに移住。ハイチと地理的に近い南東部のシエラ・マエストラは気候こそよく似ておりコーヒー栽培には向いていたものの木々が生い茂り、開墾には相当の労力が必要でした。
それでも黒人たちは見事に開墾してコーヒープランテーションをすすめましたが、ブラジルなど南米大陸の近代的農法にはかなわず衰退。コーヒー・プランテーションの初期の形態を成し、他所では見られないものであることや、森林を開墾した苦難が見て取れることなどが評価され、2000年世界遺産に登録されました。ハバナから国内便でおよそ1時間半。主な交通機関がないので、タクシーをチャーターすることになります。ホテルなどでだいたいの相場を確認しておくとよいでしょう。
名称:キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観
住所:Santiago and Guantanamo Provinces, South-Eastern Region
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1008
6. シエンフエーゴスの都市歴史地区
1819年に建設されたシエンフエーゴスは、スペインの啓蒙主義を反映した格子状に整然と並んだ建築物が見どころ。キューバ第二位の港湾都市でもあるシエンフエーゴス州の州都であり、砂糖やコーヒー、タバコや皮革の搬出拠点です。町の名前は、当時の総司令官であるシエンフエーゴスにちなんでつけられました。
中南米における近世と現代の狭間にあたる景観が評価され、2005年に「シエンフエーゴスの都市歴史地区」の名称で世界遺産に登録されました。首都ハバナからおよそ250kmに位置するシエンフエーゴスへは、バスで約4時間です。
名称:シエンフエーゴスの都市歴史地区
住所:Municipality of Cienfuegos
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1202
7. カマグエイ歴史地区
出典: Inspired By Maps/shutterstock
1515年、北岸の建設された最初のカマグエイの街は、1528年に内陸に移転しましたが、そこに出来た街は道が格子状ではなくかなり曲がりくねっています。敵が攻めて来たときの防御のためだとする説と、地元の教会の近くに住みたい住民を避けて道が無計画に作られたためだとする説が交差しています。
迷路のようなその道は、まさにカマグエイのラビリンスとも呼ぶべき景観。中心街を離れるとエメラルドグリーンやピンクにペイントされた古い建物がひしめき合い、カラフルなおもちゃ箱のようです。カマグエイ歴史地区は、2008年に世界遺産に登録されました。ハバナからはおよそ530kmあり、バスで9時間ほどかかります。
名称:カマグエイ歴史地区
住所:Camagüey Province
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1270
8. グランマ号上陸記念国立公園
出典: PHB.cz (Richard Semik)/shutterstock
1956年にフィデル・カストロらがキューバに上陸した地であることを記念して、国立公園に指定されました。世界最大級の石灰岩の段丘が海抜約360mから水深約180mにわたって広がっていることや動植物の固有種、とくに爬虫類や両生類に多く見られたことが評価され、1999年に世界自然遺産に登録されました。
絶滅危惧種に指定されているマナティもこの海で暮らし、世界の自然愛好家垂涎の場所でもあります。
名称:グランマ号上陸記念国立公園
住所: south-east corner of the the Republic of Cuba
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/889
9. アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園
ドイツの探検家フンボルトが1800年から1801年にかけて訪れたことに由来するアレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、その標高差や動植物相の多様さがあります。特に有名なのが、カラフルなポリミタスというカタツムリがいること。
自然保護のため、必ずガイドさんが同伴しなければ入ることはできません。世界最小クラスといわれる人のツメほどの大きさしかないカエルなどもいます。公園内にはカリブ諸島最大と言われる川が流れ、国立公園内はキューバで最も湿度が高く、この湿度が様々な動植物の多様性を生みました。公園の入口にはフンボルトの石造があり、いつもこの公園を見守り続けています。アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、サンチアゴデクーバから近い所にあるので、国内線でおよそ1時間半。ただしそこから国立公園までの公共交通機関がないので、ツアーに参加するかタクシをチャーターすることになります。
名称:アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園
住所:Guantánamo and Holguín Provinces
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/839
◎まとめ
キューバの魅力的な世界遺産をご紹介しました。中世ヨーロッパのような古い街並みや城塞は、スペインの植民地だった歴史を残しています。他にも美しい渓谷や広大な国立公園があり、自然もたくさんありますよ。ぜひキューバの世界遺産を見てみてくださいね。