大航海時代の面影を残す貿易都市コーチの今と昔を感じられる観光スポット

大航海時代の面影を残す貿易都市コーチの今と昔を感じられる観光スポット

コーチはインド南西部ケーララ州を代表する都市の1つで、古くは香辛料の輸出港として、現在は製造業や製油業、造船業などを中心とする産業貿易都市として発展しています。

フォート・コーチと呼ばれる旧市街には、大航海時代の面影が色濃く残っていて、近世ヨーロッパの影響を強く受けた街並みを観光できます。それでは、今と昔を行き来できる独特の街、コーチの魅力的な観光スポットをご紹介しましょう。

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大航海時代の面影を残す貿易都市コーチの今と昔を感じられる観光スポット

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1.サンタ・クルーズ大聖堂

サンタ・クルーズ大聖堂は、観光スポットが多く集まっているコーチの旧市街地、フォート・コーチの中心にあります。旧市街めぐりの途中で立ち寄れるので、多くの観光客が集まる場所になっています。コーチはインド航路を開拓したバスコ・ダ・ガマが病死したところでもあり、サンタ・クルーズ大聖堂は彼のお墓があることでも有名です。

サンタ・クルーズ大聖堂の特徴は2本の尖塔!大きく伸びた塔を持つ、荘厳なゴシック様式の白い教会です。現在でもコーチの地元の人たちの信仰の場として機能していて、ミサには多くの人が集まります。教会の前の広場も常に人で賑わっていますし、空の色が変化するごとに教会の印象も変わり、いつ見ても新鮮です。中に入ると、そのカラフルな内装に驚きます。パステルカラーと、全体的に丸みを帯びたデザインで、なんだか可愛らしい雰囲気ですよ。

2.チョッタニッカラ寺院

出典: RoninMax

コーチで最も有名なヒンドゥー教の寺院です。観光の中心となるフォート・コーチからは10キロくらい離れていますが、観光客でもタクシーやバス一本で行けるので、アクセスも容易です。

ここに祀られている「バガヴァティ」は、コーチのあるケーララ州でとても人気のある女神!地母神であり、戦いの神でもあります。もともとは土着の女神が、ヒンドゥーの女神として取り込まれたものといわれています。毎日早朝には、このバガヴァティ女神に捧げられる儀式が行われますよ。建物内には多くの人が集まりとても混雑しますが、南インドらしい華やかな礼拝は、観光客にとっても見所となっています。

礼拝以外の時間帯は、静かで落ち着いているお寺です。南インドに特有の派手な装飾は見られませんが、中庭も建物内もところどころに捧げ物が置かれていて、真面目に祈られている様子が伝わってくる寺院です。

3.ケーララ・カタカリ・センター

カタカリというのは、コーチを中心としたケーララ州の伝統芸能で、インド四大舞踊の1つにも数えられています。日本の歌舞伎にも似たような派手なメイクをして、音楽に合わせて力強く足踏みをするようにダンスをしながら演じるお芝居で、コーチ観光のハイライトにもなっています。

このケーララ・カタカリ・センターは、一流の劇団によるカタカリが見られる常設の劇場です。コーチには常設の劇場からホテルの特設舞台まで、いくつかの場所でカタカリを観覧することができますが、ここは特に厳しく伝統を守り、レベルが最も高い劇場の1つです。また、開演前に演者がメイクをするところも舞台で見られるので、演者が神や悪魔などの芝居上のキャラクターに変貌していくさまを楽しむこともできますよ。観光エリアであるフォート・コーチから少し住宅街のような地区に入ったところにあり、歩いて行けます。

4.ルル・モール

出典: commons.wikimedia.org

コーチは人口200万を超える大都市圏を形成しています。そのため経済発展も目覚ましく、多くの近代的なショッピングモールがオープンしています。なかでもコーチの新市街中心部にあるルル・モールは、コーチで最大級のショッピングモールです。

このモールの特徴は、高級なお店だけが集まっているわけではないこと。日本人にも馴染みのある食材が買える輸入スーパーから、インドらしい地元のお惣菜が売られているお店まで、幅広くそろっています。日本へのお土産にもなるお菓子やスパイス類もありますので、コーチ観光の締めくくりにもいいでしょう。

5.エダパリーの聖ジョージ教会

出典: commons.wikimedia.org

ルル・モールからほど近いエダパリー地区にある聖ジョージ協会は、インドで最も古いキリスト教会の1つです。コーチはポルトガルの直轄地だったことから、他の地域よりもキリスト教が浸透しています。そのため、街なかにも有名な教会がいくつかあるのですが、とくにここは圧巻で観光のしがいがあります。

あまり他に類を見ない六角形を基本としたデザインで、白い壁とオレンジの屋根が特徴的。アーチの連なる外観もとても美しいのですが、中に入ると今度は豪華さに目を奪われます。金を基調とした壁に、美しい宗教画のレリーフがびっしりと並んでいます。教会のほかにも、博物館なども併設されています。礼拝の時間以外はとても静かなので、観光客でも席に座ってゆったりと見学できるでしょう。

6.コーチ司教館

出典: commons.wikimedia.org

コーチの旧市街、フォート・コーチにあります。ここは1506年に建てられた、いわゆるコロニアル様式の建築です。建物自体は、周辺の教会などと比べると豪華な観光名所とは言えませんが、白い壁とオレンジの屋根のつくりは綺麗で、ところどころ装飾されたステンドグラスなどがあります。庭には池と像があり、一見キリスト教関連のように思えますが、構図がインドの伝統的なリンガとヨーニそのままという興味深いところです。

また、「インドーポルトガル博物館」が併設されていて、ポルトガル統治時代やインドにおけるキリスト教の布教活動などについての資料を見ることもできますよ。

7.ケーララ民俗博物館

出典: prateekb

コーチのあるケーララ州の歴史と民俗について見ることができる博物館です。この博物館は観光スポットの多いフォート・コーチではなく、海を渡ったコーチの新市街側にあります。

まず目を引くのが、伝統的な木造の建物。内部の壁や天井の装飾もコーチで古くから使われてきたもので、素朴ながら見入ってしまうものがあります。展示品は、1階がケーララ州古来の民芸品やレリーフ、神像など。いわゆるインド風のものとしてイメージする北インドの様式とは異なっているので、もしインドの他の博物館に行ったことがあるとしても楽しめます。

2階はヨーロッパ統治時代の展示。キリスト教をテーマにした絵画や彫刻などには、どこかインドらしさも感じられて興味深い作品が少なくありません。そして3階は、カタカリ劇場になっています。カタカリの衣装や装飾品が展示されていて、観光客向けの実演もありますよ。

8.スリップニスラ宮殿

出典: commons.wikimedia.org

観光の中心であるコーチの旧市街から、内陸に15キロ入った丘の上。かつてこの地方を治めていた王族が使っていた宮殿があります。丘の上の宮殿とも呼ばれるスリップニスラ宮殿は、現在ではコーチの歴史や風俗など様々なものに触れることができる観光スポットとなっています。

宮殿の建物は大きく威厳があり、考古学博物館としてコーチでの出土品が数多く展示されています。また王族の所蔵品の展示コーナーでは、宝石類やアンティークの工芸品、ドレスなどを通じて、王族の暮らしを垣間見ることができます。広大な敷地は植物公園として整備されていて、鹿などの野生生物にも出会うこともありますよ。

さらに、丘の上に位置するこの宮殿は、海に沈む夕日が美しく見られるサンセットポイントとしても有名です。観光スポットとしてはそれほどメジャーではありませんが、ぜひ日暮れの時間に合わせて訪れてください。

9.ビーピン島

観光スポットの多いフォート・コーチは半島状になっていますが、その北側の対岸がビーピン島です。間違いなく四方を水に囲まれた島なのですが、南北に細長いのでやはり半島のように感じるところです。フォート・コーチから対岸のフォート・ビーピンまでボートですぐに渡れるので、簡単に足を延ばすことができますよ。

ビーピン島は、フォート・コーチ側に比べると、少し観光客向けの派手さがなくなった雰囲気。ボート乗り場の近くには要塞の跡が残っていて、大きな教会もあります。漁村の様子を覗いたり、別の対岸に大きなコンテナターミナルを眺めたりと、のんびりとした観光が楽しめます。

また西岸にはビーチもあり、水平線に沈む夕日が美しい場所としても有名です。ビーチにはシーフードレストランも並んでいて、取れたての魚介が食べられます。ビーチでゆっくりとくつろいで、夕暮れと食事を楽しんでからでも悠々と旧市街側に戻れますよ。地元の人たちが多いところですが、観光客にもフレンドリーなので安心です。

10.バラーパダム教会

出典: commons.wikimedia.org

フォート・コーチとビーピン島、そしてコーチ新市街のエルナクラムに囲まれた湾内に、バラーパダム島があります。貿易港コーチのコンテナターミナルがあることでも有名ですが、観光客にとっての一番のみどころは、島の中ほどにあるバラーパダム教会です。バラーパダム島へは、ボートを利用するかゴッシュリー・ロードを通っていくことができます。

バラーパダム教会は、大航海時代の1524年にポルトガルによって建設されました。1676年の洪水で倒壊してしまいましたが、すぐに再建。大きな2本の塔を持つ、荘厳な白亜のゴシック様式の大聖堂です。教会の建築自体も大変美しいのですが、ヴァスコ・ダ・ガマをはじめとする多くの航海士たちも立ち寄ったとされる歴史ある教会で、大航海時代のようすを想像してみるのも面白い観光スポットです。

11.ユダヤ人地区とシナゴーク

フォート・コーチにはキリスト教会だけでなく、ユダヤ人地区と、その中心となる礼拝所シナゴーグもあります。フォート・コーチの旧市街の東端。観光地区から歩いて行くと少し距離がありますが、海沿いを散歩しながら行くのも悪くないところです。

シナゴーグは、16世紀に造られたものといわれています。それほど大きな建物ではなく、どちらかというと簡素な施設。今でも礼拝に使われているということで、観光名所としてではない神聖さを感じます。

シナゴーグの周辺はコーチのユダヤ人街とされ、その雰囲気を残しつつ、観光客向けのお土産物屋の集まる通りになっています。現在ここに住んでいるユダヤ人は数世帯のみで、実際にお店を営んでいるのは地元のインド人たち。ユダヤ様式の民芸品や装飾品、骨董品などもありますが、パシュミナやインドの工芸品など一般的なお土産ものもたくさんあるので、見て回るだけでも楽しいですよ。

12.チャイニーズ・フィッシング・ネット

チャイニーズ・フィッシング・ネットは、なぜかこのコーチ周辺のみで見られる、魚を獲るための仕掛け網です。中国から伝わったとされているので、この名前で呼ばれています。イメージとしては、魚をすくう大きな網。丸太を何本も使って組み上げられ、網を海中に沈め、魚が集まったころを見計らってすくい上げるという漁法です。

フォート・コーチやフォート・ビーイピンの海沿いを歩いていると、いろいろな場所で見かけます。もっとも有名なのは、フォート・コーチの北側の海岸に並んでいるもの。このあたりは観光地区ということもあり、ここのチャイニーズ・フィッシング・ネットも、真面目に漁をしているというよりは、どちらかというと観光用に動かしているという感じです。

大漁という場面にはなかなか出会えないようですが、独特のデザインの大きな道具が動いているだけでも、とても面白い風景の観光スポットです。要塞の城壁跡をバックに、ちょっと珍しい景色を写真に収めてみましょう。

13.プリンセス・ストリート

出典: commons.wikimedia.org

プリンセス・ストリートは、コーチの旧市街を貫くメインストリートです。コーチの見どころは旧市街に多いので、どの観光スポットへ行くにも便利です。観光客にとって必要なものが揃っているお店が並んだ通りといった雰囲気で、食事もでき、お土産物も手に入り、電気機器やスマホ用品なども探すことができます。日用品を扱うスーパーマーケットもあるので、ホテルに戻る前に立ち寄っても便利でしょう。

また、プリンセス・ストリートは、コーチの歴史的な様式の建物が多い通りとしても知られています。昔ながらの長屋造りで、オレンジ色の屋根の建築が並んでいるようすはとても美しく、かつて交易港として栄えた時代の姿をうかがい知ることができるでしょう。

14.マリン・ドライブ

コーチの新市街エルナコラムの海岸沿いは、マリン・ドライブと呼ばれ、コーチの地元の人たちの憩いの場となっています。ドライブとは付きますが、道路ではなく地区の名称です。観光の中心である旧市街からは、ボートで島を渡ってエルナコラムで降りてすぐのところで、新市街側に宿泊するなら海に向かえば迷わず行くことができます。

現代的なアパレルショップやカフェ、レストランなどが並んでいて、コーチの流行の中心といった雰囲気。観光客はまだ少なく、たくさんの若者や家族連れで賑わっています。夜になると屋台も出て、日本の縁日のような雰囲気になり、観光客でも問題なく馴染んで散策を楽しめます。海辺からは行き交う大型船やコンテナ・ターミナル、橋や宮殿などが見渡せ、海岸沿いの気持ちのいい風を受けながら夕涼みをするのに最適なところです。

◎まとめ

コーチは産業の発展した大都市ですが、たくさんの歴史・文化的な観光スポットも多く、とても魅力的な都市です。

また、南インドは北インドに比べて地元の人の観光客に対する接し方が優しいといわれますが、コーチはさらに落ち着いている印象です。激しい客引きや、しつこい勧誘に会うことはあまりなく、ぼったくりなどの被害も少ないようです。インドの他の地域に行ったことがある人も、インドが初めてという人も、どちらも楽しめる街ですよ。

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