【世界遺産】ムゼウムスインゼル(博物館島)とは?|ベルリンの芸術と科学の中心!

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【世界遺産】ムゼウムスインゼル(博物館島)とは?|ベルリンの芸術と科学の中心!

ベルリンのシンボルともいえるブランデンブルク門から『舞姫』にも登場するウンター・デン・リンデンを東に進むと、シュプレー川の中洲エリアに出ます。このあたり一帯が、世界遺産「ムゼウムスインゼル(博物館島)」。旧博物館やペルガモン博物館をはじめ、計5つの博物館が世界遺産に登録されています。

それぞれ収蔵品ももちろん興味深いものばかりですが、建物の設計もそれぞれ当代一流の建築家が請け負っていて、大きな見どころとなっています。すべてをじっくり見て回ると1日ではとても足りないので、あらかじめ博物館ごとのテーマを把握し、自分の興味に即して訪ねるのが賢明でしょう。

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【世界遺産】ムゼウムスインゼル(博物館島)とは?|ベルリンの芸術と科学の中心!

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ムゼウムスインゼル(博物館島)とは?

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ムゼウムスインゼル(博物館島)は、「島」といってもベルリン市内を流れるシュプレー川に浮かぶ中洲のことを指します。もともと首都ベルリンの歴史は、この中洲からスタートしました。この島に建っていたプロイセン王宮のすぐ向かいに旧博物館が建設されたのが、1830年のこと。プロイセン王室が蒐集した美術品を公開するためのものでした。以来100年の間に、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世が「芸術と科学」のエリアとしたこの小さな島に、合計5つの博物館が開設されたのです。

第二次世界大戦により一部の建物は破壊され、その後のベルリン分断もあって数々の収蔵品が散ってしまっていましたが、現在、改修工事や美術品の再収集が進められています。また、かつての収蔵品の一部については、ティーアガルテン地区の新国立美術館に移されています。

ムゼウムスインゼル(博物館島)へのアクセス

ベルリンの空の玄関口はテーゲル空港とシェーネフェルト空港の2つですが、いずれも先進国の首都の空港としては規模が小さく、日本からの直行便はありません。ヨーロッパの他のハブ空港を経由する必要があります。2020年には新しくベルリン・ブランデンブルク国際空港が開港し、2空港は閉鎖される予定です。

テーゲル空港には鉄道は乗り入れていないので、バスで市街へ向かいます。ウンター・デン・リンデンかアレクサンダー広場で下車し、いずれも博物館島までは一本道です。前者からなら左手にフンボルト大学やツォイクハウスを見ながら、後者からならテレビ塔や赤の市庁舎といった観光名所を脇目に、どちらも徒歩で10分ほどです。

シェーネフェルト空港からは、鉄道でアレクサンダー広場駅を目指すのが効率的。一応、最寄りはひとつ隣のハッケシャー・マルクト駅で、ここからは歩いて5分ほどで旧国立博物館にたどり着けます。

また、博物館島の建築を楽しむなら、シュプレー川のクルーズもおすすめ!ハッケシャー・マルクト駅のさらに隣のフリードリヒシュトラーセ駅北の船着き場から発着しています。

ムゼウムスインゼル(博物館島)のおすすめポイント①:ペルガモン博物館

出典: Stephan A.

ムゼウムスインゼルにある博物館のなかでも最も新しく、かつ最も来館者数が多いといわれているのが、ペルガモン博物館です。トルコ・アナトリア半島の古代都市ペルガモンの遺跡から「ペルガモンの大祭壇」と呼ばれる発掘品を移築したことが、名前の由来となっています。

その他の展示も、ギリシャやローマ、オリエントなど、古代遺跡の発掘品が中心。また、古代から中世にかけての工芸品や絵画などもあり、世界遺産の5つの博物館のなかでも、オリエンタルで異色な雰囲気を放っています。

ペルガモン博物館でもう1つ有名な展示品といえば、古代バビロニアの遺跡の一部を精巧に復元した「イシュタル門」。深い青を基調とし、細かな装飾やレリーフが散りばめられた美しく大きな門は、来館者を古代都市の世界へ誘ってくれます。

ムゼウムスインゼル(博物館島)おすすめポイント②:旧国立美術館

出典: やなぎ / PIXTA(ピクスタ)

1876年に開館した旧国立美術館は、ギリシャ神殿のような古典的な外観とは裏腹に、ロマン主義を中心とする近現代の絵画や彫刻が数多く収蔵されています。この建物とコレクションの不一致は、もともと美術館の計画自体は1815年に上がっていたものの、長らく塩漬けになっていたことに端を発します。50年近くが経ったところに銀行家のヨアヒム・ハインリヒ・ヴァーゲナーが自身の蒐集した絵画262点を寄贈したことで再び計画がようやく動いたのです。

今でもヴァーゲナーのコレクションが美術館の中核を成していて、とくにカスパー・ダーヴィト・フリードリヒの『海辺の僧侶』は有名!アドルフ・メンツェルの『鉄鋼圧延工場(Eisenwalzwerk)』やカール・フリードリヒ・シンケルの『川辺の中世都市(Mittelalterliche Stadt am Fluss)』、ヨハン・ゴットフリート・シャドウの彫刻『ひと組の王女(Prinzessinnengruppe )』などもおすすめですよ。

第二展示室には、モネやマネ、ルノワール、ドガ、セザンヌといった印象派の巨匠たちの作品が集められています。ムゼウムインゼルで最後に開館したのはペルガモン博物館ですが、もっとも新しい時代の美術品を扱っているのは、この旧国立美術館です。

ムゼウムスインゼル(博物館島)おすすめポイント③:ボーデ博物館

出典: commons.wikimedia.org

ムゼウムスインゼルにある博物館・美術館のうち、北端にあるのがボーデ博物館です。1904年の開館で、ギリシャ正教会系の彫刻やビザンティン美術、そしてコインやメダルが主な収蔵品となっています。とくにエジプトのコプト正教会関連の貴重な彫刻の数々は、世界遺産の博物館のコレクションとして一見の価値がありますよ。

また、ボーデ博物館の見どころの1つは建物そのもの!ドーム天井やホール、階段など、展示品を見て回っている間の内装も楽しめるデザインとなっています。シュプレー川に突き出たような外観も印象的で、先述のクルーズにおけるハイライトでもあるんですよ。

ムゼウムスインゼル(博物館島)の注意事項

ムゼウムスインゼル(博物館島)にある建物や展示品の一部は、現在でも改装や修復が続けられています。そのため、時期によっては見学できないエリアや展示品がある可能性もあります。お目当ての展示品がある場合は、事前にホームページなどで情報を確認するようにしましょう。

また、時期や時間帯によっては入場待ちの列ができることもあるので、時間には余裕をもって訪れた方が良いでしょう。

◎まとめ

「博物館が世界遺産になるの?」と思った人も、こうして開館の経緯や収蔵品の内容について知れば、博物館島全体としての価値に納得してもらえるのではないでしょうか。

ヨーロッパの歴史のなかでは比較的後代になって表舞台に登場したプロイセンにとって、「芸術と科学」の中心たる博物館島の整備は、国家の威信にかかわる事業でした。そうした歴史の上に築かれ、続いてきた世界遺産ムゼウムインゼルの博物館や美術館は、ベルリンの分断と再統合を経て新たな段階へと足を踏み入れています。

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