歴史とグルメと現代アートの街!リールのおすすめ観光スポット8選

歴史とグルメと現代アートの街!リールのおすすめ観光スポット8選

ベルギー国境に近い、フランス北部フランドル地方の観光都市リール。日本人にはあまり馴染みがないかも知れませんが、観光だけでなく商業や学問の街としても発展しています。パリやブリュッセル、ロンドン、アムステルダムといった周辺諸国の首都から鉄道でアクセスできるという交通の便の良さも魅力です。

大国に囲まれ複雑な歴史をもつリールには、今も多様な建築様式が見られます。リール市内には宮殿美術館や近代美術館があり、郊外にルーブル美術館の分館もできるなど、アートの街としても人気。ここでは、リールのおすすめ観光スポットを8選にまとめてご紹介します。

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歴史とグルメと現代アートの街!リールのおすすめ観光スポット8選

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1. リール市庁舎の時計塔

リール市庁舎の時計塔

まずは、リール市内にある世界遺産からご紹介します。1999年、ベルギーとフランス北部に点在する32の鐘楼群がユネスコの世界文化遺産に登録されました。建設された時期はそれぞれ11~17世紀と長きにわたっているので、ゴシックやルネッサンス、バロックなど町ごとに違った建築様式の塔が見られるのも特徴です。

リール市庁舎の高さ104mの時計塔は、1924年に着工し、1932年完成された比較的新しい建築物。ですが、その伝統的な造りと装飾にはフランドル地方の繁栄の歴史がしっかり凝縮されています。リールの時計塔は、2005年に他の23の鐘楼と共に世界遺産に追加登録されました。

市庁舎、時計塔ともに入場できるので、市内観光の際はまずこの時計塔に登ってみてください。塔の上からは、眼下のパリ門やリールの市街が一望できます。

2. グラン・プラス

グラン・プラス(リール)

「グラン・プラス」は、リールの街の中心といえる場所。フランドル地方や北フランス地方、ネーデルラント地方などでは中心的な広場をグラン・プラス(大広場の意)と呼んでいて、リールとブリュッセルのグラン・プラスが有名です。

ここリールのグラン・プラスは、別名を「ド・ゴール将軍広場」といいます。フランス革命の際に旧ドイツ帝国軍とオーストリア軍がここを通過しようとした際、彼らはお互いに戦いはしないようリールに提案。しかし、リール市民は「我々はフランス人だ!この国に足を踏み入れることはならない!」と拒み、戦闘を始めたといわれています。

その時の象徴として1845年に建てられたのが、グランプラスの真ん中にある女神像。その右手には大砲に点火するためのトーチ、その左手は、「リール市民はここから動かない」とする意志を示すかのように、人差し指を地面に向けています。

3. リール宮殿美術館

リール宮殿美術館(ドイツ)

1782年に創設された「リール宮殿美術館」は、質・量ともにパリのルーブル美術館に次ぐ規模を誇る、フランス第2の美術館です。新古典主義様式の優雅な外観が印象的で、広大な22,000平方メートルの展示スペースには、中世から20世紀までの陶磁器、デッサン、彫刻、絵画など、多岐にわたるコレクションを展示。日本人観光客にはあまり知られていないものの、フランス国内では有名な美術館です。

特に見どころは2階の絵画コーナーで、ルノワール、モネ、ピカソといった日本でもお馴染みの画家の作品を含む、16~20世紀の画家による500点以上の絵画が展示されています。さらに、リールという土地柄を反映し、ルーベンスやファン・ダイクなどのフランドル絵画のコレクションが充実。特にルーベンスの『キリスト降架』は必見です。

美術館は広大で見どころが多いため、じっくりと時間をかけて見学することをおすすめします。ヨーロッパ美術を幅広く楽しめる贅沢な観光スポットです。

4. ノートルダム・ド・ラ・トレイユ大聖堂(リール大聖堂)

ノートルダム・ド・ラ・トレイユ大聖堂

「リール大聖堂」こと、「ノートルダム・ド・ラ・トレイユ大聖堂」は、あまりにもモダンな外観で、一般的な教会のイメージとは大きくかけ離れています。フランス革命時にオーストリア軍の攻撃によってダメージを受け、後に崩壊してしまったため、1854年から再建がスタート。最後の改装は1999年で、現在のようなフォルムが完成しました。

教会の側面を見ると、正面との時代の違いが良くわかります。教会内には8つのチャペルがあり、そのうちの1つはジャンヌ・ダルクのもの。チャペル内のステンドグラスも、ジャンヌ・ダルクにまつわるデザインになっています。

教会正面の壁は28mmという薄い大理石で作られていて、重みに耐えるためにたくさんの金具で押さえるといった工夫が施されています。遠くから見ると今も修復工事でもしているかのように見えますが、それもデザインというわけです。教会正面に日が当たると、内部にまでその光が通って美しいと評判!大きなパイプオルガンや美しいステンドグラスを眺めながら、椅子に座って静かな時間を過ごすのもおすすめですよ。

5. 旧証券取引所

旧証券取引所(リール)

リール市の中心にあるグラン・プラスの正面右手に見えるのが、「旧証券取引所」です。1653年に建てられたこの建物は、豪華な装飾が施されたファサードを持つフランドル建築の傑作で、リール市内で最も美しい建物の一つとされています。建物は回廊を囲む形で、同じデザインの24軒の家から構成されており、その鐘楼の上には、リール証券取引所のシンボルである商業の神マーキュリー(ヘルメス)の像が立っています。

中庭では、花市場や古本市、レコード市、蚤の市などが開催され、観光客にも人気のスポットとなっています。リールでは毎年9月の第1週に大規模な蚤の市が行われ、このイベントにはプロの買い手も集まり、街中に約1万軒もの露店が立ち並びます。訪れる人は200万人にも上り、旧証券取引所の蚤の市でも思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。

6. LaM(リール・ヴィルヌーヴ=ダスク・アウトサイダーアート近現代美術館)

LaM(リール・ヴィルヌーヴ=ダスク・アウトサイダーアート近現代美術館)

出典: By Jamain - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=108683747 (CC BY-SA 4.0)

リールの東郊外に位置するリールの近現代美術館は、フランス語の名称「Musée d'Art Moderne, d'Art Contemporain et d'Art Brut」の頭文字をとって「LaM(ラメ)」と呼ばれています。

ピカソ、ミロ、モディリアーニ、ブラック、ユトリロなど、近現代の巨匠たちの作品が豊富に揃っているのが特徴です。しかし、この美術館にはもう一つの珍しい側面があります。

「アール・ブリュット(art brut)」とは、英語で「アウトサイダーアート」を意味します。これは、正式な美術教育を受けていない人々による自由な創作活動を指し、近年注目されている分野です。中には、障害を持つ人々による芸術作品も含まれています。

2010年に新設された新館では、このアール・ブリュットの作品が特に充実しており、アラシンヌ財団から寄贈されたヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、日本などから集められた3,500点以上の作品が展示されています。LaMは、このユニークなコレクションを誇る貴重な美術館として、国内外で注目を集めています。

7. リール城塞

リール城塞(フランス)

リール旧市街の西に位置する「リール城塞」は、17世紀後半にルイ14世の命で築かれました。設計を担当したのは、著名な軍事建築家ヴォーバンで、彼の特徴である五角形の構造が取り入れられています。

リール城塞(フランス)

出典: By Piocrr - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14661768 (CC BY-SA 3.0)

ヴォーバンは生涯に150を超える要塞を設計しており、リール城塞もその一つ。彼が手がけた要塞の中には、世界遺産に登録されたアラスの要塞も含まれています。ちなみに、函館の五稜郭もヴォーバン式の星型要塞をモデルにしています。

現在、リール城塞の内部は軍事施設として使用されているため観光できませんが、城塞周辺は公園として整備され、市民の憩いの場となっています。周囲の濠は約2kmあり、ジョギングやウォーキングを楽しむ人が多くいます。敷地内にあるリール動物園は、小規模ながらもアットホームな雰囲気で、無料で入場できるのが魅力。子ども向けの公園もあるリール城塞は、家族連れにも人気のスポットです。

8. シャルル・ド・ゴール生家博物館

シャルル・ド・ゴール生家博物館(リール)

出典: By Velvet - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19090394 (CC BY-SA 3.0)

第18代フランス共和国大統領であるシャルル・ド・ゴールは、リール旧市街に位置する母方の祖父母の家で生まれました。彼はフランスのために戦い続けた功績を称えられ、その名前はパリの国際空港(シャルル・ド・ゴール空港)、原子力空母、凱旋門前の広場、バラの品種、橋や通りなど、国内の様々な公共施設や道路に冠されています。

シャルル・ド・ゴールの生家は2階建ての建物。フランス国旗を掲げ、博物館として公開されています。館内では、第二次世界大戦におけるフランス解放や戦後の復興に尽力したド・ゴール将軍の業績を紹介する映像が上映。また、寝室や居間が当時の様子そのままに再現されており、幼少期や軍人時代の家族写真などの展示も見ることができます。お土産コーナーでは、ド・ゴールの顔写真がデザインされたグッズなども販売されています。

◎フランス「リール」のおすすめ観光スポットまとめ

リールの凱旋門(パリ門)

ツアー旅行ではあまり訪れる機会のないリールですが、パリからはフランス新幹線「TGV」で約1時間と、日帰り観光が出来る距離にあります。そのためパリっ子たちの間では、小旅行に人気。海を挟んだイギリスのロンドンからも、ドーバートンネルを通るユーロスターで2時間以内という便利さです。

リールに着いたら、まずは観光案内所に行って、24時間利用できるシティパスを購入しましょう!美術館などの入場料が割引になったり、無料ツアーに参加できるというお得なカードです。老舗パティスリーの「メール」は外装も美しく、鉄板型で手作りしているゴーフルの焼きたてはここでしか食べられません。シャルル・ド・ゴールも愛したというできたてのゴーフルを頬張りながら、リールの街を観光してみませんか?

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