複雑な歴史に彩られた華麗なるチェコ共和国!世界遺産を12箇所ご紹介

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複雑な歴史に彩られた華麗なるチェコ共和国!世界遺産を12箇所ご紹介

中欧にあるチェコは、欧州人の間でも”最も美しい街”と評される、絵本の中に出てくる様な国。中世の街並みがそのまま残されている都市が沢山ある為世界遺産も多く、とても人気の高い観光地なのです。

チェコは欧州のほぼ中央に位置する為、昔から様々な民族がこの地域を行き交い、その都度色々な支配体制の下に置かれてきました。しかしながら、14世紀には神聖ローマ帝国の王都として大いに栄える等、地域としては常に繫栄を謳歌してきた歴史を持ちます。特に中世以降、名だたる建築物が国中に造られた歴史があり、これらの多くが今世界遺産に登録されています。

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複雑な歴史に彩られた華麗なるチェコ共和国!世界遺産を12箇所ご紹介

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1.プラハ歴史地区

チェコの首都プラハ。赤い屋根が続く街並みの中に多くの尖塔が立ち並ぶその美しさから「百塔の街」とも呼ばれています。中世から時間が止まったままのような佇まいを見せるチェコ、その代表的な世界遺産がこのプラハ歴史地区です。

この地区一帯は1000年以上の歴史を持つ世界遺産で、世界で最も大きい城の一つと言われる「プラハ城」、ヴルタヴァ川にかかる美しい石橋「カレル橋」「旧市庁舎」「ストラホフ修道院」「国民劇場」「旧ユダヤ人墓地」「ティーン聖堂」等が含まれています。中央ヨーロッパの代表的な世界都市プラハに来たならば、決して見逃すわけにはゆかないこの歴史地区、夕暮れ時や夜のライトアップが一段とその美しさを輝かせてくれます。

2.チェスキー・クルムロフ歴史地区

チェコとオーストリアの国境近く、南ボヘミア州にあるヴルタヴァ川沿いの町が、チェスキー・クルムロフ。人口が2万人にも満たない小さな町ですが、この町の規模にはそぐわないといわれるほど大きなお城「クルムロフ城」を中心とした歴史地区が世界遺産になっています。

交通がまだ船中心であった13~14世紀、この川沿いのチェスキー・クルムロフは東西交流の要衝として重要な場所であった為、お城を始め多くの建築物が建てられました。しかし産業革命による鉄道の発達に乗り遅れた為、次第にこの町は衰退していきました。その後チェコのあちこちで起こった戦乱に遭う事も無く今に至ったこの町は、中世の街並みををほぼ完全に保つ稀有な例として世界遺産に登録されたのです。

今では赤やオレンジの屋根瓦が連なるこの可愛らしい中世の街並みから、「眠れる森の美女」とも呼ばれるチェスキー・クルムロフ。チェコを代表する必見の世界遺産です。

3.テルチ歴史地区

出典: Jerzy Strzelecki (CC BY 3.0)

チェコの東部モラビア地方のヴィソチナ州にある小さな町、テルチ。ここにも中世の美しい建築物がそのままの姿で残されており、1992年にプラハ歴史地区及びチェスキー・クルムロフ歴史地区と共にチェコ初の世界遺産に登録されました。

この地に町が建設されたのは14世紀頃といわれていますが、当初造られた木造建築物の大部分が大火事で焼失した為、その後15世紀にかけて全て石造りに建て替えられました。その頃の建物の多くが残っているこのテルチ歴史地区には、ルネッサンス様式のお城や城壁、教会、市場、大邸宅、住宅等中世の街並みそのものがほぼ完全な形で残されています。

中でも聖ジェイコブス教会は、内部にこそ損傷の進んだ部分も有りますが、その外観の美しさから歴史的・美的価値が高く認められており専門家の間でもチェコを代表する世界遺産と評価されています。

4.ゼレナー・ホラの聖ヤン・ネポムツキー巡礼教会

出典: Anna Prokopová (CC BY 2.0)

「ゼレナー・ホラの聖ヤン・ネポムツキー巡礼教会」はチェコのボヘミア地方とモラヴィア地方の境界近く、ジュヂャール・ナト・サーザヴォウにある教会堂。殉教者ヤン・ネポムツキーを記念して18世紀に造られましたが、プラハを中心に活躍したイタリア系の建築家ヤン・サンティーニ=アイヘルの傑作と言われる美しい建物で、チェコ4番目の世界遺産として1994年に登録されました。

この教会はヤン・ネポムツキーの没年53歳に因んだともいわれる5と3をモチーフにデザインされており、5つの角を有する星形聖堂や、5つの門、五角形の礼拝堂など、テーマに沿って大変美しく仕上げられています。また美的価値以外にも、昔からチェコ国内に留まらず東欧のクリスチャンの聖なる礼拝地として大切にされ、多くの巡礼者が集まる場所としても有名でした。ぜひ皆さんも、この美しき世界遺産の地を訪れてみて下さい!

5.クトナー・ホラの聖バルボラ教会のある歴史地区とセドレツの聖母マリア大聖堂

出典: Jerzy Strzelecki (CC BY 3.0)

「クトナー・ホラの聖バルボラ教会のある歴史地区とセドレツの聖母マリア大聖堂」はチェコの首都プラハから東に60キロメートル、中央ボヘミア州のクトナ―・ホラとセドレツにあるユネスコの世界遺産です。

クトナ―・ホラは13世紀に銀の採掘がはじまり、そこから急速に発展した町。中世においては一時期チェコはおろかヨーロッパでも1、2を争う豊かな町となり、プラハをも凌ぐ勢いだったといわれています。その往時の栄華を今に残す町並みが保存されている事から、バルボラ教会を中心とした歴史地区一帯が世界遺産に登録されたわけです。この時、クトナ―・ホラの郊外約1.5kmにあるセドレツの聖母マリア大聖堂も同時に世界遺産となりました。

6.レドニツェとヴァルチツェの文化的景観

出典: Original uploader (CC BY-SA 3.0)

「レドニツェとヴァルチツェの文化的景観」はチェコのモラヴィア地方南部のレドニツェからヴァルチツェにかけての文化的景観の呼称。チェコにおける6番目の世界遺産となりました。

13世紀に入ってこの地を支配することになったリヒテンシュタイン家は、13世紀半ばにレドニツェ城を、14世紀末までにヴァルチツェ城を建設しました。その後18世紀に両城を繋ぐ道が作られ、19世紀初めにはヨハンヨーゼフ1世により有名なイギリス式庭園が造られるに至ったのです。この世界遺産における特徴は、2つのお城の文化芸術的価値もさることながら、周辺を取り巻く風景式庭園の評価が高い事。ただの庭園ではなく本物の川や樹木、池などを利用した風景は、人類が作った景観の中でも最高傑作の一つといわれています。

7.クロムニェジーシュの庭園と城

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クロムニェジーシュは、13世紀にオロモウツの司教都市として創建された町。チェコ共和国の中で最も美しい街の一つともいわれており、中心にある大司教の宮殿と周辺の庭園が世界遺産に登録されています。

世界遺産の対象である宮殿は15世紀末にゴシック様式を基調に造られたものですが、17世紀頃に当時チェコで権勢を振るっていたリヒテンシュタイン家の意向でバロック様式に改築されました。美しい外観を持つこの城は内装も又素晴らしく、モーツァルトの生涯を描いた映画「アマデウス」の撮影に使用された事でも有名です。また同時に世界遺産に組み込まれた周辺の庭園は、美しさばかりではなく歴史的価値も非常に高く評価されており、チェコ有数の庭園として多くの観光客を集める場所となっています。

8.ホラショヴィツェ歴史地区

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風光明媚な南ボヘミア地方の真ん中に位置する、チェコで最も可愛らしい村ホラショヴィツェ。広場を前にして並ぶバロック調の民家の妻壁が美しい景観を作り出す歴史地区は、1998年ユネスコの世界遺産に登録されました。

この村ができたのはおよそ13世紀といわれていますが、信じ難い事にホラショヴィツェにある建物の数は、村が存続しているこの800年間変わっていないそうです。第2次大戦の戦火を運よく免れたものの、その後村は放棄され一時期住人が誰もいなくなりました。1990年代になって修復され、再び人が住むように。ここでは当時のままの民家や鍛冶屋、居酒屋、礼拝堂など、昔ながらのチェコの農村の姿を見ることができます。近くにはもう一つのチェコの世界遺産「チェスキー・クルムロフ」がありますので、これら2つを組み合わせて観光するのがオススメですよ。

9.リトミシュル城

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古くからチェコの東西を繋ぐ交通の要衝にあったパルドゥビツェ州のリトミシュル。この町の中心にあるのが1999年に世界遺産に登録された「リトミシュル城」です。何度も大火事に遭うも、その都度優秀な建築家によって修復がなされたルネサンスとゴシックがほどよく共存した建築は、歴史的な価値と共に芸術性の高さを評価されたものです。

もうひとつこの世界遺産が有名なのはチェコの音楽の祖と呼ばれるあのスメタナとの関わり。ベドルジハ・スメタナは1924年3月2日このリトミシュル城内にあるビール醸造所で生まれたといわれているんです。このスメタナの生地を記念して始まったのが、毎年6月に城内のオペラ劇場で開催される「スメタナ国際オペラ・フェスティバル」。チェコの大統領も鑑賞するというチェコで2番目に歴史のあるこの音楽祭、世界遺産を舞台に行われるというのが豪華ですね。

10.オロモウツの聖三位一体柱

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オロモウツの聖三位一体柱は、チェコの東部モラヴィア地方のオロモウツ市にあるモニュメント。中央ヨーロッパ最大のバロック様式彫刻として、その歴史的・芸術的価値が評価され2000年に世界遺産に登録されました。

もともとこの建造物は、18世紀初めにチェコ東部を襲ったペストの流行が収束したことを記念して建てられたもの。高さが35メートル、最上部には銅に金メッキをほどこした三位一体の像、その下には聖母の被昇天の像、そしてその他聖人像やレリーフなどで飾られ、最下層には礼拝堂があります。

オロモウツにはかつてこの三位一体柱と合わせて世界遺産申請したものの却下された文化遺産「オロモウツの噴水群」もあります。併せてチェックしてみてくださいね。

11.ブルノのトゥーゲントハット邸

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チェコ第2の都市ブルノにあるトゥーゲントハット邸は、現代住宅建築の原点となる傑作として、2001年世界遺産に登録されました。チェコで11番目の世界遺産となるこの邸宅は、ドイツの偉大な建築家ミース・ファン・デル・ローエの手になる作品で、世界四大邸宅建築のひとつに数えられています。

この邸宅は1930年に、ブルノの資産家トゥーゲントハット夫妻の依頼で建設されたもの。傾斜を利用して建てられた3階建てですが、通りから見ると平屋のように見えます。外に面した壁一面がガラス張りで、メインフロアには壁が無く仕切りと家具によって区分けされている等、当時としては大変モダンな設計でした。

1992年にはここで、「ビロード離婚」と呼ばれるチェコスロバキアを解体する調印式が行われた歴史的な場所でもあります。

12.トシェビーチのユダヤ人地区と聖プロコピウスのバシリカ

チェコのヴィソチナ州にあるトシェビーチのユダヤ人地区は、ヨーロッパ最大の最も保存状態の良いユダヤ人街として、2003年、近隣の聖プロコピウスのバシリカと共に世界遺産に登録されました。

チェコの地にユダヤ人が定住し始めたのは12世紀の頃。当時ユダヤ人はキリスト教徒居住区には住めなかったため、イフラヴァ川左岸のこの地区に住居を構え、以来何世紀にも渡りキリスト系住民と隣り合って生活してきました。その後、ナチスの強制収容によってこのユダヤ人社会は完全に消滅しましたが、二つのシナゴーグやユダヤ人集会所、ラビの家、墓地、ユダヤ人学校、それに病院等100軒以上の建物が今もそのまま現存しています。

聖プロコピウスのバシリカは、この地にユダヤ人集落ができる動機付けとなったとの解釈から、世界遺産の構成資産として位置づけられています。

◎まとめ

チェコの世界遺産12箇所をご紹介しました。世界遺産の数が12というのは絶対数としては多くはないものの、国の大きさ(面積は日本の1/5程度で人口はおよそ1千万人)を考えるとものすごい数です。欧州の中央に位置するという地政学的な理由から複雑な歴史をたどったチェコ。世界遺産の多さはその歴史の表れかもしれません。
チェコの世界遺産、美しい場所が多いのには驚きです。近年可愛らしい雑貨や雰囲気のあるアニメーションで注目を集めているチェコ。世界遺産観光も外せませんね。

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