世界遺産にもなった炭鉱の街、大牟田の観光スポットはここ!

画像出典:シュート / PIXTA(ピクスタ)

世界遺産にもなった炭鉱の街、大牟田の観光スポットはここ!

福岡県の最南端、熊本県との県境に位置する大牟田市。福岡県で5番目に人口が多く、福岡南部の中心的な役割を担っています。江戸時代からの炭鉱の街で、隣接する熊本県荒尾市と併せて「三井三池炭鉱」として日本の産業の発展を支えてきました。2015年には明治産業革命遺産の一部として世界遺産に登録され、注目を集めています。そんな大牟田市には、やはり炭鉱にちなんだ観光スポットがたくさんありますが、もちろんそれだけじゃありません!大牟田市の魅力的な観光スポットをご紹介します。

目次

世界遺産にもなった炭鉱の街、大牟田の観光スポットはここ!

目次を閉じる

1.大牟田の産業遺産

2015年に登録された世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一部として、大牟田の三池炭鉱とその関連施設が選ばれました。江戸時代以前、一人の農民が山で「燃ゆる石」を発見したことから始まり、江戸時代に入ってから本格的に炭鉱として石炭の採掘がはじまります。明治時代に入ると政府の官営事業となり、大規模に囚人を使役しての採掘が開始され、その後は三井財閥が経営権を落札。三井三池炭鉱となり、三井財閥の基で鉱山の周辺も含めて一大炭鉱施設として開発されていきます。

当時は石炭が主要なエネルギー源で、火力発電や鉄道・船舶、製鉄所や工場などの燃料として、経済発展の重要な役割を担っていました。三池炭鉱は日本一の出炭量を誇り、明治産業革命の日本を強く支え、文明の近代化に大きな影響を与えていきます。燃料の主流が石油に代わっていく時代の中、1997年の閉山。現在は当時の貴重な資料として、幾つかの施設が公開されています。

◆宮原坑跡≪世界遺産≫

出典: road / PIXTA(ピクスタ)

三池炭鉱で一番初めに開かれ、閉鉱するまで主力坑として活躍していた宮原坑。世界遺産に指定され、多くの観光客を集めています。当時としては最新鋭の設備を導入し、地下水の排水や掘削した石炭の運搬、採掘人員の輸送など様々な問題に対応でき、年間40万トンもの出炭量を維持しました。採掘用のやぐらが現在も残っていて、明治時代の採掘方法などを知ることができます。

宮原坑の特徴は、「囚人労働」が行われていたことです。かなり大規模であった三池炭鉱では、労働力の不足が常に課題でした。そこで、1873年に周辺の監獄から囚人を集め、坑内外での作業員として働かせ始めます。1883年には囚人を本格的に集めるために三池集治監を作り、全国的にも早い段階で刑務所が設置されることにもなりました。

◆三池炭鉱専用鉄道敷跡≪世界遺産≫

三池炭鉱の各坑口や三池港を結び、石炭や作業員を運んだ鉄道。線路が敷かれていた跡が今でも残っています。重い石炭を運ぶためのこの鉄道は、急こう配な路面は登り切れない可能性があるため、高低差をできるだけ少なくしなければなりません。そこで、高い場所は地形を切って低くし、低い場所は盛り土をして高くし、平坦な地形を人為的に作りました。線路が引かれていた場所は一部立ち入り禁止区域を除いて歩いて辿ることができるので、実際にこの地形を確認できます。

線路の途中には明治時代の面影を残すレンガ造りの建物や関連施設があったり、当時の駅跡地には看板が建っていたりと、ここを歩くだけで産業革命が始まった場所の歴史を感じることができます。大牟田の三池炭鉱関連世界遺産を観光するなら、この線路跡を少し歩いてみましょう。

◆三池港≪世界遺産≫

出典: ja.wikipedia.org

三池炭鉱から出炭された石炭を船で運ぶために利用された港。潮位の差が激しいため、船の停泊が難しかった海岸を工事し、1908年に本格的に港として開かれました。水位を調整するための閘門(こうもん)という設備があり、観音開きの巨大な水門が目を引きます。当時としては思い切った工事で、かなり大規模な設備投資でした。

三井が下したこの大きな決断の陰には、当時の三池炭鉱の事務長で後の三井財閥総帥、團琢磨の理念がありました。石炭は永久に採掘できるわけではなく、いつかは炭鉱も野となり、そうなればやがて街は衰退してしまう。しかし港を開いておけば、石炭産業が終わった後でも新たな産業を築くための地盤となり、向こう100年の財産となるだろう、という考えが團にはありました。現に三池炭鉱が閉抗された後も、福岡の重要な貿易港として利用され、大牟田市の経済を支えています。日本では珍しい閘門式の港は一見の価値アリ。大牟田に来たらぜひ観光してみましょう。

◆三池集治監跡

地方にある監獄とは違い、主に重犯罪者を収監する大規模な監獄を集治監と呼びます。三池集治監には2000人の収容力があり、刑期の長い囚人が多く収容されていました。

三池炭鉱では、囚人労働が禁止となる1930年まで、約60年にわたり囚人労働が行われました。1931年には三池集治監も解体され、以後は一般の作業員たちの手によって採掘が続いていきますが、当時の囚人たちが三池炭鉱の発展に大きく貢献したことは間違いありません。現在は外塀や石垣が残っているのみで、建物はすべて解体され、跡地には三池工業高校が建っています。

◆三川坑跡

三川坑は、1931年に宮原坑が閉坑した後、新たな主力坑として1940年に開坑し、1997年の三池炭鉱閉鎖まで操業され続けました。三川坑にある2つの坑口は斜めに掘り進められていて、それぞれ第一斜坑、第二斜坑と呼びます。第一斜坑は閉鎖されていますが、第二斜坑の一部が見学可能です。その他にも守衛室や浴場などの設備が残っていて、まるで最近まで操業されていたかのようなリアルさを感じることができるでしょう。

ここ三川坑は、三池炭鉱の歴史を語る上で重要な2つの出来事の舞台でもあります。1つは、1960年の超大規模な労組争議である三池争議。大幅な人員整理計画に反発した労働組合の約1年間に渡るストライキの末、最終的に組合側は強制的な指名解雇に屈することになります。また、人員整理とコスト削減による労働環境悪化の影響もあり、1963年には粉塵爆発事故が発生。約1400人の労働者が被災し、死者458名、一酸化炭素中毒者839名を出し、戦後最大の労災事故となりました。この事故により、第一斜坑は閉鎖となりました。比較的新しい坑口のため世界遺産には登録されていませんが、見学できる場所が多いので観光にはおすすめです。

◆大牟田市石炭産業科学館

出典: ja.wikipedia.org

大牟田市石炭産業科学館は、三池炭鉱で栄えた大牟田の歴史や、石炭産業について勉強できる施設。石炭、炭鉱と聞いてなんとなくイメージが湧く方は多いかもしれませんが、どんな方法で採掘しているのか、石炭とは実際どんなものなのかを詳しく知る機会はそうそうないと思います。ここではそんな石炭産業に関することをわかりやすい展示物で解説し、子どもたちは楽しく、詳しく知りたい大人たちは深く学ぶことができるんです。

大牟田市石炭産業科学館の目玉展示物が「ダイナミックトンネル」です。実際に炭鉱で使われていたものを再現したエレベーターに乗り、地下400メートルの採掘現場まで降下。石炭を運ぶ電車、採掘用の巨大なカッターなど、三池炭鉱で使われていた迫力ある機材が音声ガイダンス付きで展示されています。本物の採掘トンネルに入ったような気分になれる、リアルでダイナミックな人気展示です。付近には大型ショッピングモールもあるので、家族連れで大変賑わう観光スポットです。大牟田の世界遺産をさらに深く知ることができます。

2.大牟田市動物園

1941年開園の動物園。戦中から営業しているこの動物園は、大牟田市民からはおなじみの観光スポットです。約80種類の動物が飼育されており、動物園に来たら見ておきたい人気動物はもちろん、ふれあいを楽しめる小動物など、充実したラインナップです。兵庫県宝塚市の動物園からホワイトタイガーを引き取り、九州で唯一飼育している動物園としても知られています。

老カンホームという高年齢のカンガルーを飼育する施設もあり、引退したカンガルーを飼育員が「介護」として世話しています。体育館やプールもある延命公園の敷地内にあり、大牟田駅から徒歩約20分。入園料もリーズナブルで気軽に入れるので、大牟田観光に来たら立ち寄ってみましょう。

3.道の駅 おおむた 花ぷらす館

大牟田市にある道の駅。九州自動車道南関インターの近くにある観光スポットです。ガラス張りのモダンな建物で、一般的な道の駅のイメージとは違う外観ですが、特産品の直売所やご当地グルメなど、しっかり道の駅として楽しめます。

大牟田市の特産品は何といっても、みかんです!スーパーでは高級なみかんとして売られていますが、ここで買えばかなり安い価格で手に入ります。花屋、魚屋もあるので、地元の方々もよく訪れる道の駅です。高速に乗る前に大牟田観光のお土産や名産品を買ったり、腹ごしらえをしたり、旅の帰りに立ち寄ってみましょう。

4. 大牟田温泉「満月の湯」

大牟田で唯一の天然温泉施設。規模も大きく、連日たくさんのお客さんで賑わう人気スポットです。浴場には16種類ものお風呂があり、すべてのお湯が天然温泉です。大きな露天風呂は開放感があり、四季折々の魅力を感じながら温泉を愉しむことができます。

お食事処では風呂上がりのビールと美味しい料理をいただきましょう。定食や麺類など豊富なメニューから選べるのもうれしいですね。宴会場も大小複数あり、会社の宴会から家族の集まりなど、様々な用途に対応。入浴券もセットになるお得な宴会プランが人気です。他にもゲームコーナーや売店もあるので、日帰り温泉施設としてかなり充実しています。大牟田温泉「満月の湯」へのアクセスは、大牟田駅から車で約10分。大牟田観光の1日の終わりは、大牟田温泉で疲れを癒しましょう。

5.諏訪公園

諏訪公園は、大牟田市で一番大きい公園です。イオンモール大牟田があり、大牟田の中心的な場所にあります。テニスコートや野球場などの運動施設と、子どもから大人まで遊べるアスレチックのような大きい遊具コーナー、健康促進や運動不足の解消に役立つ運動器具のコーナーがある複合公園です。

非常にきれいに整備された公園で、芝生が植えられた敷地内には小川が流れ、夏場は子どもたちが水遊びをしています。園道を歩いて公園内を周れば良い散歩になるでしょう。道沿いには季節ごとに花が咲き、桜のシーズンには花見の観光スポットとして賑わいます。大牟田駅から車で約10分。専用駐車場もあるので、車で観光するのがいいですね。

6.普光寺

大牟田市三池山にある普光寺は、823年に建立された大変古い天台宗のお寺です。本尊は千手観音菩薩。地元では古くから三池観音として親しまれています。

普光寺は季節ごとに変わる景色が魅力です。初春には臥龍梅と呼ばれる特徴的な形をした梅の木が咲き、臥龍梅を目当てに多くの観光客が訪れます。春には桜、梅雨時にはアジサイ、秋には紅葉も楽しめ、大牟田を一望できる三池山からの眺めとあわせて、大牟田の絶景観光スポットとして人気です。山の中腹にあり、市街地からは離れているので、車かバスで行くのがオススメ。

7.大牟田神社

七福神の一人、毘沙門像を祀った大牟田神社。大牟田市民からは、毘沙門さんとして親しまれています。大牟田神社の創立は1538年。村人の一人が、漁の途中にご神体が海に浮いているのを発見したことから始まります。甲冑を付け、左手に水の玉、右手に魔除けの棒を持った荘厳な姿の毘沙門天として、観音堂の隣に祀ったと伝えられています。

福の神、五穀豊穣の神など様々なご利益がある神社ですが、産業の神とも言われています。大牟田の石炭産業が発展した歴史を見ると、これもうなずけますね。大牟田神社は銀座通り商店街に入口があり、最寄りの新栄町駅から徒歩約7分の場所にあります。

◆大牟田大蛇山祭り

出典: tabbycat

毎年7月下旬に開催される夏祭り。大牟田を代表するイベントで、県外からも観光客が訪れ、来場者数は35万人以上にも上ります。この祭りの特色は、なんといっても大蛇山(だいじゃやま)。大蛇山は他のどこでも見られない、大牟田の夏の風物詩です。その起源は300年も前と伝えられており、伝統を受け継ぎながら時代とともに発展してきました。それぞれ特色豊かな6つの大蛇の山車が、火を吹きながら大牟田市内を練り歩きます。大蛇の口に赤ちゃんを乗せる「かませ」という風習があり、1年間の無病息災を願います。赤ちゃんが泣けば泣くほどご利益があるそうですよ。

その他にも1万人の総踊りという恒例行事もあり、1万人の市民が2キロにも及ぶ列をなし、「炭坑節」や「大蛇山ばやし」に合わせて踊る姿は圧巻です!祭り開催中は歩行者天国の区画もあり、多くの人で賑わいます。大牟田を観光するなら、大蛇山祭りの時期に合わせるのがベストです!

◎まとめ

大牟田の観光スポットについてご紹介しました。三池炭鉱の世界遺産ばかり注目されがちですが、他にも見どころいっぱいですね!また、大牟田市自体も福岡の観光地として一番に上がることは少ないため、福岡へ観光に行く場合は他の代表的な都市で検討する方が多いと思います。大都市ではないですが、歴史と伝統文化にあふれた大牟田も、観光地としての魅力に欠けることはありません。
福岡県を観光する予定があるなら、ぜひ大牟田を候補に入れてください!

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

大牟田でおすすめの記事

大牟田のアクセスランキング