屋久島「宮之浦岳」ユニークな奇岩が楽しい九州最高峰への登山コース

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屋久島「宮之浦岳」ユニークな奇岩が楽しい九州最高峰への登山コース

標高1936mの宮之浦岳は、日本百名山の1つであり、屋久島のみならず九州の最高峰です。そんな宮之浦岳への登山コースは、花崗岩の奇岩とパノラマ絶景を楽しめて、ヤクシマシャクナゲや高山植物を観賞できます。ヤクシカなど野生動物に出会えて、雲海も望める...。この記事では、そのほぼ全域が世界遺産地域であり、多彩な見どころにあふれる宮之浦岳登山コースの魅力に迫ります。

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屋久島「宮之浦岳」ユニークな奇岩が楽しい九州最高峰への登山コース

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宮之浦岳登山コース

淀川登山口から宮之浦岳コースを往復するには、約16㎞もの長い道のりとなります。起伏が多く、決して楽な道ではありません。それでも人々が訪れる理由は、その特徴的な景観と雄大な景色!晴天で空気が澄んでいれば、桜島や薩摩半島、トカラ列島を望むこともできます。

宮之浦岳の登山コースでは、日本最南端の湿原などを超え、栗生岳山頂などを縦走。宮之浦岳の頂上を目指します。屋久島最高地点からの360度大パノラマはまさに絶景!往復10時間以上かけても訪れる価値のある景色が広がっています。

高盤岳展望所:高盤岳の「トーフ岩」を眺望!

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高盤岳(こうばんだけ)展望所からは、天気が良ければ、白骨化している屋久杉の横から標高1711mの高盤岳が見え、その上にある通称「トーフ岩」が眺望できます。

トーフ岩は、屋久島にある岩の中で最も写真を撮られている岩でしょう。まるで豆腐を等分に切ったようなユニークな形をしていることからそう呼ばれているのですが、巨大な花崗岩が水によって切れて豆腐のような形になりました。

高盤岳展望所からだけでなく、コースの色々な場所から見ることができ、遠目から見てもかなり存在感があります。

日本最南端の湿原:「花之江河」「小花之江河」

出典: tsuda

小花之江河(こはなえのご)、花之江河(はなえのご)、は、ミズゴケやスギゴケ、コケスミレなどの植物が見られる湿原地帯。国内最南端の貴重な高層湿原で、どちらも約2800年前にできたと推定されています。

淀川登山口からは約4㎞、標高1600m付近に広がっています。まず、オアシスのような小花之江河に到着。

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そのあとに現れる花之江河は、小花之江河よりもスケールが大きく壮大な湿原地帯です。とくにミズゴケが生えている一帯は、日本庭園のような風情さえ感じられます。

開放感のある場所なので、清らかに流れる水や美しい植物に癒されながら、休憩するのもいいかもしれません。

投石平

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標高約1700mの投石平(なげいしだいら)は、人の何倍もある巨大な花崗岩が地面から多く露出している場所。屋久島の花崗岩は独特で、表面には白い生長石(せいちょうせき)が見られるのが特徴です。

5月の終わりごろ、一帯にはヤクシマシャクナゲが美しく咲き誇ります。投石岳や黒味岳に囲まれて、晴れていれば遠くに永田岳なども見渡すことができる、とても景色のいい場所。ここで初めて、このコースのゴールである宮之浦岳の姿を見ることができます。

稜線と花崗岩の巨石

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宮之浦岳付近まで行くと、稜線を見渡せます。稜線とは、山の頂上と頂上とを結ぶ線のこと。

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宮之浦岳付近に広がる稜線部には、花崗岩が風化してできた多くの奇岩が点在しています。この景色こそが宮之浦岳登山の醍醐味。開放的で見晴らしが良く、晴れていると遠くの山岳までよく見渡せます。宮之浦岳特有のダイナミックな稜線歩きをぜひ満喫してください。

宮之浦岳の山頂へ

宮之浦岳山頂は、標高1936m。雲海が広がる壮大な景色は感動もの!

九州最高峰を制覇した達成感と、山頂からの360度パノラマ絶景を堪能してください♪

◆益枚神社(やくじんじゃ)奥宮

宮之浦岳山頂下の岩屋には、屋久島の守護神「一品宝珠大権現」を祀った祠(ほこら)があります。ここは、益救神社(やくじんじゃ)の奥宮。

宮之浦岳・永田岳・栗生岳を祀った益救神社は、救いの宮として山岳信仰と深い関わりがあり、屋久島と山を愛する登山客の安全を見守ってくれている神社です。

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「益救」という漢字の読みについて、かつては「やく」と読まず、「ますくひ」「すくひ」などと呼ばれていました。

益救神社はこぢんまりしていますが、歴史ある延喜式内社です。宮之浦川の河口北側にあるので、登山の前に安全を祈願して、御朱印を授かってはいかがでしょうか。

ヤクシカ・ヤクザル

屋久島は古くから「人2万、シカ2万、サル2万」といわれるほど、シカとサルが多い島です。山岳地帯や湿原など、宮之浦岳の登山コースでも、ヤクザルやヤクシカと遭遇することが稀ではありません。

登山のおすすめシーズンは、春か秋

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屋久島での登山におすすめのシーズンは、一般的に4月・5月・10月・11月ごろ。屋久島でしか出会うことのできない高山植物も見ることができます。春にはヤクシマシャクナゲが、秋にはヤクシマリンドウなど多くの高山植物が見頃を迎えますよ。

屋久島の山岳地帯は亜寒帯に属することから、屋久島固有の高山植物の見ごろは9月頃と全体的に開花時期は遅め。花之江河を過ぎたあたりから、モウセンコウゲやヤクシマカラマツ、ヤクシマショウマなど、高山植物が多く見られます。高山の厳しい環境下においてはどれも小さいため、注意して探してみてください。

食事、携帯トイレは持参しよう

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宮之浦岳への往復コースは、約10時間という長い道のりです。水場はありますが、食料品を購入できるお店や自動販売機はありません。

トイレがあるのは、淀川登山口と淀川小屋。ほかは、花之江河などに簡易トイレブースがあるのみです。携帯トイレや食料品など事前にしっかりと準備をして持参しておきましょう。

山小屋は無人の避難小屋。泊まるなら早めに到着しよう

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宮之浦岳のトレッキングは長丁場。ご案内してきたように、早朝スタートで淀川登山口から日帰りで往復することが可能です。

でも、コース的におすすめなのは、2日かけて荒川登山口へ縦走するコース。いろんな景観が楽しめて、時間や体力的に無理がありません。ですが、後述するように、宿泊場所は山小屋、または持参するテントになります。

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山小屋はいずれも無人の避難小屋です。予約などできませんし、早い者勝ちで場所取りされているのが実情。とくに夏休みや連休に利用を考えている場合は、相当な混雑を覚悟する必要があります。快適に過ごせるよう早めの到着を心掛け、譲り合いしながら気持ち良く滞在できるよう配慮し合ってくださいね。

また、山小屋で注意したいのがヒメネズミ。床やザックの中に食糧を置いておくとネズミに食べられてしまいます。軽くて密閉できるタッパーなどを活用しましょう。

雨対策は必須!3月頃まで残雪アリ

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屋久島の年間降水量は日本一。「月に35日雨が降る」といわれるほど、とにかく雨が降る日が多いのが特徴です。ですから、登山におすすめのシーズンであっても、雨対策は必須です!

6~7月の梅雨の時期は、特に雨量が多いので注意してください。また、屋久島中央の山岳部では冬に雪が積もるほどで、3月頃まで残雪があります。

アクセス

ここでは、健脚の方なら日帰り登山も可能な淀川登山口から往復するコースをサンプルに、コースの見どころや注意ポイントなどをご紹介しましたが、宮之浦岳への登山は、3か所からアタックできます。

①【淀川登山口】ヤクスギランド、紀元杉から、さらに奥。
②【荒川登山口】縄文杉トレッキングのスタート地点。
③【白谷雲水峡】白谷雲水峡の最奥から「楠川別れ」へ。荒川登山口からの登山道と合流。

南側のスタート地点となる【淀川登山口】は、宮之浦岳への日帰り登山が可能で、最も手軽なルートです。路線バスは、登山口の少し手前にある紀元杉が終点なので、そこから淀川登山口までは徒歩。淀川登山口は車でもアクセスできますが、駐車場が狭いためすぐ満車になってしまいます。

【荒川登山口】は3月〜11月にマイカー規制を実施しているため、屋久杉自然館から登山バスでアクセスします。また、【白谷雲水峡】からでも、荒川登山口から縄文杉方面に行く途中に合流することができます。

①宮之浦港・屋久島空港から【淀川登山口】へ行く場合

種子島屋久島交通の「大川の滝」「いわさきホテル」「栗尾橋」方面行きの路線バスに乗車し、合庁前で降車してください。合庁前バス停からは「紀元杉」行きの路線バスに乗車し、終点の紀元杉で降車します。紀元杉バス停から20分あまり歩くと淀川登山口があります。

②宮之浦港・屋久島空港から【荒川登山口】へ行く場合

宮之浦地区からは、まつばんだ交通、または、種子島屋久島交通の「屋久杉自然館」行きの路線バスに乗車し、終点の「屋久杉自然館」で降車してください。屋久杉自然館バス停からは種子島屋久島交通の荒川登山バスに乗車し、終点の荒川登山口まで行きます。

12月から2月の冬季の間は、屋久杉自然館と荒川登山口を結ぶ路線バスは運行されていません。この期間はマイカー規制がありませんので、車でアクセス可能です。バスなら、宮之浦地区から、まつばんだ交通の荒川登山口行き路線バスを利用しましょう。

③宮之浦港から【白谷雲水峡】へ行く場合

出典: K / PIXTA(ピクスタ)

白谷雲水峡は屋久島の人気観光スポットなので、アクセス良好なのがメリット。路線バスは、宮之浦港発が朝の8時台から、白谷雲水峡発の最終便は16時過ぎまで運行されています。

白谷雲水峡から入った場合も【荒川登山口】からと同じく、高塚小屋か新高塚小屋、またはテントで宿泊し、2日がかりでアタックします。

白谷雲水峡や荒川登山口から宮之浦岳に登山するなら、全ルート異なる登山道を歩ける淀川登山口へ向かうコースはいかがでしょう?または逆のパターンもOKです。

山岳部環境保全協力金の納入・登山バスについて

世界自然遺産に登録された屋久島の美しい自然環境の保全と、登山者の安全な自然体験を提供するため、入山にあたって「山岳部環境保全協力金」を納めましょう。登山バスなど、最新の情報の協力金です。

「屋久島山岳部保全利用協議会」の公式サイトには、登山バス、山岳ガイド、マナーやルールなどについてわかりやすく記載されているので、事前にしっかり確認!最新情報もチェックして、楽しい登山をしてくださいね!

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