日本初の女子修道院「トラピスチヌ修道院」で祈りとミサの世界観を感じよう

日本初の女子修道院「トラピスチヌ修道院」で祈りとミサの世界観を感じよう

数々の観光名所がある北海道函館市に、日本初の女子修道院があることをご存知でしょうか?函館市の郊外にある「トラピスチヌ修道院」は、別名「天使園」とも呼ばれる女子修道院です。

厳しい戒律の中で修道女たちが共同生活を送るトラピスチヌ修道院では、敷地内の美しい庭園を観光客に向けて一般公開し、ミサの体験も受け入れています。知っているようで知らない修道院の世界。その特徴や見どころ、修道女たちの日常、お土産品などについてご紹介します。

目次

日本初の女子修道院「トラピスチヌ修道院」で祈りとミサの世界観を感じよう

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1.厳律シトー会とは

厳律シトー会 箱館トラピスチヌ修道院

「トラピスチヌ修道院」は、カトリックの修道会の中でも戒律の厳しい「厳律シトー会」に属しています。

厳律シトー会とは、中世のキリスト教の修道院長で「西欧修道士の父」とも呼ばれるヌルシアのベネディクトゥスが作った戒律を遵守するカトリックの修道会のこと。教区を監督する司教の干渉を受けない「免属修道会」の特権も得ています。

厳律シトー会

出典: Jean-Christophe BENOIST (CC BY 2.5)

シトー修道会の母体は、カトリック教会最古の修道会である「ベネディクト会」です。そのルーツは1098年のフランスブルゴーニュ地方、シトーの荒れ地に創立された「シトー修道会」にあります。

シトー修道会は12世紀から13世紀にかけて大きく発展し、ヨーロッパ全土に1800もの修道院を持つ大修道会となりました。17世紀の動乱のなか、フランスのラ・トラップ修道院で大改革が行われ、合併再編されて「トラップの聖母改革修道会」を形成。現在も厳しい修道規律を守っているこの修道会は、「厳律シトー修道会」と呼ばれています。

厳律シトー会 ラ・トラップ修道院

出典: PY. Stucki (CC BY-SA 2.0)

ラ・トラップ修道院で改革が形成されたことから、厳律シトー会の修道士はトラピスト、修道女はトラピスチヌと呼ばれるようになりました。

2.トラピスチヌ修道院

函館 トラピスチヌ修道院

1898年(明治31年)、日本で初めての女子修道院として、函館に「トラピスチヌ修道院」が創立されました。正式名は「天使の聖母トラピスチヌ修道院」。修道女たちは厳しい戒律を守りながら自給自足の共同生活を行い、神と人々に生涯奉仕し、献身し続けています。

8人のフランス人修道女によって設立されたトラピスチヌ修道院では、現在も60人ほどの修道女たちが、神の価値観、神の愛を学んでいます。

函館 トラピスチヌ修道院

トラピスチヌ修道院の内部は見学できませんが、重厚なレンガ造りの外観や美しい庭園が一般公開されており、函館の観光名所としても知られています。日常生活ではあまり感じることのない厳粛な雰囲気が漂い、心が洗われるような感覚を味わえるでしょう。

3.修道女たちの生活・日課

修道女たちの一日は、早朝3:30の起床から始まります。空気が最も冷える早朝の時間帯、それも北海道地方ということを考えると、それだけでも厳しいと感じてしまいますね。

函館 トラピスチヌ修道院

起床後、祈りや30分間の黙とうの時間を経て、レクチオ・ディヴィナ(聖なる読書)の時間を過ごします。朝6:00から、再び祈りと黙とう。そのあとに朝食です。

朝食を済ませたあとは三時課(祈り)、午前の仕事と続き、11:45から六時課(祈り)、昼食となります。昼食をとったあとには九時課(祈り)、16:30まで午後の仕事、夕方17:00になると晩の祈りと黙とう、夕食。そして19:05に終課(眠る前の祈り)、19:45には就寝という厳格なタイムスケジュール。修道女たちはこの厳しい戒律を一日も乱すことなく守り、生活しています。

4.トラピスチヌ修道院の庭園・資料室を見学

トラピスチヌ修道院は、開館時間を設けて敷地内の庭園や資料室を一般開放しています。ただし、一般的な観光スポットではなく厳粛な”祈りの場”であることを忘れずに、静かに見学させてもらいましょう。

函館 トラピスチヌ修道院

門を入ると、「大天使聖ミカエル像」が迎えてくれます。ミカエル像右奥の建物「天使園」は、売店と資料館。ここには修道院の歴史や修道女たちの生活の様子を伝える資料が展示してあり、修道女たちが手作りしたお菓子などを販売しています。

ミカエル像の奥に見える純白の像は、両手を広げすべての人を優しく迎え入れてくれる「慈しみの聖母マリア像」。そして、庭園の向こうに鐘楼がそびえるレンガ造りの建物が、トラピスチヌ修道院の中心部。左側は司祭館、右側が修道女たちが日々生活をし、祈りを捧げている聖堂です。

函館 トラピスチヌ修道院

天使園の向かい側にある12角形の屋根が特徴的な聖堂は「旅人の聖堂」と呼ばれ、瞑想したり、巡礼に訪れた人がお祈りを捧げたりすることができます。

5.美しい庭園と景色

函館 トラピスチヌ修道院

出典: Ippukucho (CC BY 3.0)

トラピスチヌ修道院を見学する上で注目したいのが、手入れの行き届いた美しい庭園です。

函館 トラピスチヌ修道院 ルルド

緑の多い庭園には、南フランス・ルルドの洞窟を模して造られた「ルルド」や、純白の聖母像「慈しみの聖母マリア」、フランスから贈られた「大天使聖ミカエルの像」「聖テレジアの像」「ジャンヌ・ダルクの像」などが点在。とても神聖な雰囲気に包まれています。

春には桜の花が庭園を美しく彩り、夏には豊かな緑があふれ、冬には白い雪景色で一層凛とした雰囲気となり、四季を通して景色を楽しめます。

6.売店:おすすめのお土産

クッキー・マダレナ(トラピスチヌ修道院の売店「天使園」)

売店「天使園」では、修道女たち手作りのマダレナ(マドレーヌ)やガレット、クッキーなどフランス風のお菓子をお土産に購入することができます。昔ながらの製法で手作りされたお菓子は添加物等を一切使用しない身体に優しいおやつ。他のお土産店には売っていないトラピスチヌ修道院限定のお土産なので、訪れた際にはぜひゲットしてくださいね。

7.ミサや聖務日課を体験

箱館トラピスチヌ修道院

トラピスチヌ修道院では、信者・未信者を問わず、女性なら誰でもミサや聖務日課に参加することができます。修道女たちと一緒に心穏やかな時間を過ごしてみたい方は問い合わせてみてください。

8.クリスマス「ご降誕のミサ」を体験

トラピスチヌ修道院は女子修道院なので、ミサや聖務日課に参加できるのは女性のみです。しかし年に2日、クリスマス限定で男性でも参加できるミサがあるのでご紹介しましょう。

毎年12月24日と12月25日に、トラピスチヌ修道院では市民や観光客が参加することのできるクリスマスのミサを実施しています。24日は夜20:00から、翌25日は朝9:30から、それぞれ1時間半ほどのクリスマス「ご降誕のミサ」が行われます。普段は入ることのできない聖堂で開催されるミサに参加し、キリストの誕生を祝う儀式であるクリスマスを体験してみるのも素敵ではないでしょうか。

例年、ホームページや新聞などで案内されるので、参加を希望される方は早めに電話で予約してくださいね。

9.アクセス・駐車場情報

◆「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」

五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス

トラピスチヌ修道院へのアクセスは、「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」が便利です。所要時間は、函館空港から約10分、JR函館駅からなら30分あまり。

函館市電は「湯の川」電停が最寄りとなりますが、修道院へはそこから3kmあまりの距離があります。五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバスは、「湯の川温泉電停前」と「湯倉神社前」のバス停があるので、市電の場合は「湯の川温泉」電停で乗り継ぐのが近くて便利。「湯の川」電停の場合は、「湯倉神社前」バス停で乗降できます。

◆駐車場情報

函館市 市民の森

修道院には専用の駐車場がありませんので、自家用車やレンタカーで行く場合は、修道院の西に隣接する「函館市 市民の森」の有料駐車場を利用するのがおすすめ。駐車料は1回200円とお手頃です。

「市民の森売店」では、北海道ソフトクリームや数量限定のプレミアムエスプレッソコーヒーソフトクリームが好評!ぜひ味わってみてくださいね。

◎函館市 市民の森にも寄ってみよう

函館市 市民の森

駐車場情報でご案内した「函館市 市民の森」は、車を停めて、ソフトクリームを食べて帰るだけではもったいない魅力的な公園です。なかでも、20種以上のアジサイが咲く道内最大規模のアジサイ園が有名。遊歩道や木道を散策しながらアジサイやツツジを愛でることができます。

「ミズバショウと木の道」では、ミズバショウの花の季節以外でもアップダウンが激しい木道をアスレチック気分で歩いて森林浴を楽しめます。広場やブーメラングライダーなど遊具もあり、子供連れにも最適。冬には、歩くスキーコースで遊びましょう。

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