海外旅行において、パスポート(旅券)は現金やクレジットカードと並ぶ重要品です。世界共通の身分証明書というだけでなく、パスポートをなくしてしまうと自国や滞在国による人身の保護が受けられなくなる可能性があります。そもそもパスポートが無ければ、日本からの出国が許可されません。逆にいえば、日本人なら日本国内にいる限り基本的に必要のないものなので、初めての海外旅行で初めてパスポートを申請したという人も少なくないでしょう。パスポートの初申請や更新、あるいは海外で紛失してしまった際の対応など、この記事ではパスポートに関するお役立ち情報について説明します。
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海外旅行の便利&お得情報!パスポートの申請・更新・紛失時の対応は?
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初めて申請する際の手続き

日本のパスポートは、住民票のある各都道府県のパスポートセンターで申請します。市町村役場で受付けている都道府県もありますが、たとえば東京都なら新宿・有楽町・池袋・立川にあるパスポートセンターが窓口です。
申請書は、基本的に最寄りの自治体の役所で入手できます。新規発給申請書には5年用と10年用の2種類があり、申請日現在で20歳以上の人は、好きな方を選択できます。しかし、未成年の場合は5年用のみとなります。これは、成長によって顔つきや体格が変わってしまうからです。また未成年の申請に際しては、保護者の同意が必要です。
申請書以外に必要なものは以下の通りです。
◆身分証明書
パスポート申請に必要な身分証明書の種類は、「旅券法施行規則別表第二」によって細かく規定されています。1点で良いものと、2点必要なものがあるので注意が必要です。
1点で大丈夫なものには、運転免許証や写真付きのマイナンバーカード、写真付きの住基カード、身体障害者手帳などがあります。
他方で2点要るものは、さらに書類Aと書類Bという2つのグループに分けられます。Aに該当するのは健康保険証や国民年金手帳、年金証書、印鑑登録証明書付きの実印などです。Bには学生証や社員証、公の機関が発行した資格証明書などが含まれ、いずれも顔写真付きが条件です。このうち、A群から2点ないしA群とB群から1点ずつを提示して証明となります。
◆戸籍謄本・戸籍抄本
戸籍謄本か戸籍抄本のどちらか1つが必要です。戸籍が電子データ化されている自治体では、代わりに戸籍全部事項証明書または戸籍個人事項証明書が発行されます。
家族旅行などで同一戸籍に在籍する人が複数申請する場合は、戸籍謄本1通で全員分のパスポート申請ができます。申請日から遡って6か月以内に発行されたもののみ有効です。
◆証明写真 1枚
パスポート用の写真はカラーでも白黒でも構いませんが、6か月以内に撮影されたものでなければなりません。縦45mm・横35mmで、2006年からIC旅券の導入により規格が変更されています。余白の大きさなど細かい決まりがあるので、専門の写真屋さんに頼むか、街角の証明写真ボックスで撮影・印刷するのが無難でしょう。
またメガネを使用している人は、レンズに光が反射して目が隠れてしまっていたり、フレームが顔の大部分を覆ってしまうほど大きなものだったりすると、不可となってしまうこともあるので注意してください。パスポートは外国人が本人確認をする際にも使うものなので、できるだけ不要な装飾は避け、自然体に近い状態で撮影するようにしてください。
パスポートの受取り
申請は本人以外の代理人でも可能ですが、受取りについては、たとえ乳幼児であったとしても本人が窓口に来る必要があります。受取り時には申請受理時に交付される一般旅券受領書と身分証明書のほか、所定の手数料分の収入印紙および2,000円分の都道府県収入証紙を持参します。収入印紙と収入証紙については、申請窓口で購入でき、手数料は5年用が9,000円、10年用が14,000円です。
パスポートは、発行の日から6か月以内に受け取らないと失効するので注意してください。万が一6か月が過ぎてしまった場合は、最初から申請し直すことになります。
パスポートの更新

厳密にはパスポートに「更新」という手続きはなく、「切替申請」をしてその都度新しい旅券を発行してもらうことになります。切替済みのパスポートは、無効(VOID)のスタンプを押されて返却されます。切替申請は、手数料も申請窓口も新規申請と同じです。
基本的に手持ちのパスポートの有効期限が1年を切ると、切替申請が可能になります。その場合、残存有効期限が新しいパスポートに加算される、ということはありません。また、パスポート番号も切替の度に新しくなります。会員登録などにパスポート番号を使用している際は注意が必要です。
◆パスポートの切替申請ができる条件
パスポートの切替申請は、以下の4つのいずれかに当てはまる場合に可能となります。
1. パスポートの残存有効期限が1年未満か、期限が切れている
2. パスポートの査証欄が残りわずか
ただし、1冊につき1回だけ、査証頁を40ページ増やすこともできます(手数料2,500円がかかります)。
3. パスポートが大きく損傷している
4. 本籍の都道府県名や住所氏名変更など
この場合は切替申請のほかに、変更申請によって残存有効期間が同一のパスポートを作成する方法があります(手数料6,000円)。
◆申請に必要なもの
パスポートの切替申請では、新規申請と同じ申請書と証明写真のほか、有効なパスポートが手元にあるかどうかで必要なものがいくぶん異なります。
1. 有効なパスポートを所持している
・パスポート
・戸籍謄本または戸籍抄本(記載事項に変更があるか、手持ちのパスポートが損傷している場合)
2. 有効なパスポートを所持していない
・期限切れのパスポートまたは帰国のための渡航書
・戸籍謄本または戸籍抄本
・身分証明書(内容は初申請時と同じ)
もしパスポートを紛失してしまったら

◆国内で紛失した場合
もし日本国内でなくしてしまったら、旅券窓口でパスポートの紛失届を提出することで、紛失したパスポートを失効させることができます。未成年者の場合は法定代理人が窓口で署名するか、旅券紛失届同意書を合わせて提出する必要があります。たとえ乳幼児であっても、申請時と同じく名義人本人が窓口に直接来なければなりません。
紛失届の提出に必要なものは以下の通りです。
1. 紛失一般旅券等届出書(窓口にあります)
2. 証明写真
3. 身分証明書(内容は初申請時と同じ)
4. 紛失又は焼失を証明する書類
◆海外で紛失した場合
海外で紛失してしまうと、日本に帰国できないばかりか公的な身分保証がなくなるのでより問題です。海外旅行中などは滞在時間が限られているので何かと慌ててしまいます。
まずは最寄りの日本大使館または総領事館を探し、パスポートの紛失届を提出してください。国によってはその場で新しいパスポートを発行してもらえることもありますが、たいていはひとまず「帰国のための渡航書」を受け取ることになります。帰国のための渡航書は日本への帰国の片道でしか使えず、通常は有効期限も数日しかありません。
◆紛失届の提出後
紛失届の提出または帰国のための渡航書の発行をもって、紛失したパスポートは失効となります。たとえその後に見つかったとしても、使用することはできません。
パスポートをお得に申請することはできるの?

パスポートは国が発行する公的な証明書なので、それ自体に割引などはありません。
ですが旅行会社のプランなどには、海外旅行客向けに旅券申請費用を一部キャッシュバックしてくれるものもあります。プランの内容には、初めての申請や学生限定だったり、有効期限切れによる切替申請までは含まれていたりとそれぞれ条件があります。
パスポートの申請費用は安いものではないので、少しでもお得に海外旅行をしたいと思っている人は、こうしたツアープランを探してみてください。
◎まとめ
パスポートの申請や更新、紛失時の対応などについてまとめました。また、パスポートの申請費用自体は安くならないものの、旅行会社によっては申請費用を一部負担してくれるプランがあることも説明しました。海外旅行の必携品、といより所持していないと日本を出ることができないパスポート。即日発行されるものではないので、いざという時にないと困ってしまうこともあるかもしれません。年割で考えれば決して高すぎるということはないので、公的な身分証明書としてできれば常に手元に用意しておくと良いでしょう。