ロサンゼルスはハリウッドの隣にあるリトルアルメニアの見どころをご紹介！

アルメニアは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方にある国。世界で最初にキリスト教を国教と定めたとされる由緒ある国ですが、中世以降は侵略と征服の苦難の歴史を歩んできました。

そのため、アルメニア人はユダヤ人と並んで、ディアスポラと呼ばれる移民コミュニティを世界中にもつ民族として知られています。アメリカへの移住は、1890年代と1915年に起きたオスマン帝国による虐殺を逃れて数千人が渡米したのが始まりとされています。現在では米国内に40万人近くのアルメニア系アメリカ人が存在し、そのうちの実に4割以上がロサンゼルス都市圏に住んでいるといわれています。

そうした歴史的背景をもつロサンゼルスのリトルアルメニア。あのハリウッドのすぐ隣にあるという位置関係からも、ちょっと気になるエリアですよね。それでは、リトルアルメニアの見どころについてご紹介しましょう。

1. バーンズドール・アートパーク

リトルアルメニアの東にあるバーンズドール・アートパークは、ロサンゼルスの歴史を語るうえでも重要な観光名所です。

石油で財を成したテオドール・N・バーンズダールの娘アリーンは、受け継いだ莫大な財産を投じて演劇の画期的な一大中心地を作ろうと計画しました。設計は東京の帝国ホテルを手掛けたフランク・ロイド・ライトが担当し、1921年までにホリーホックハウスなどが建てられましたが、その後2人は対立して計画は頓挫します。アリーンは1926年に建物と敷地をロサンゼルス市に寄贈し、公立公園として現在に至っています。

今では、ロサンゼルスっ子がのどかな休日を過ごす緑の丘として親しまれています。園内には市立美術館やアートセンター、ギャラリーシアターなどがあり、アリーンが望んだのとはまた違った形で、ロサンゼルスの芸術の中心となっています。

夏季には毎週金曜日にサマーワインテイスティングも開催されています。緑の野外で聖林に沈む夕日を眺めながらワイングラスを傾けるというのも、優雅で格別ですよ。

2. 聖ガラベッド・アルメニア教会

アルメニア人は、アルメニア教会という独自のキリスト教の宗派をもっています。そのため、世界各地のアルメニア人コミュニティはそれぞれ自分たちのアルメニア教会を立てて寄るべとしています。

ロサンゼルスのリトルアルメニアにも、「聖ガラベッド・アルメニア教会」があり、多くのアルメニア系アメリカ人が礼拝に訪れています。礼拝は毎週日曜日の午前中に執り行われます。

1978年築なのでそれほど歴史ある建物とはいえませんが、やや平べったい印象で石造風の外観は、アルメニア教会の特徴をよく表しています。教会の中はステンドグラスや天井からの陽光が美しく、厳かな雰囲気に満ちています。

また、アルメニアは旧ソビエト連邦に属していたことから、リトルアルメニアにはロシア教会もあります。こちらはアルメニア教会とはまた違ったユニークな屋根が特徴。ロサンゼルスでアルメニアや東欧の歴史に触れてみるのもよい観光の思い出になるでしょう。

3. ドルージバ・デリ

実は現在では、リトルアルメニアに住んでいるアルメニア系アメリカ人はほとんどいません。彼らの拠点は、ロサンゼルス郊外のグレンデール市に移っています。そのため、残念ながらリトルアルメニアでアルメニアらしいものに出会う機会は少なくなっています。

そのようななかで、今もリトルアルメニアでアルメニア料理に触れられる貴重な場となっているのが、ドルージバ・デリ（Druzhba Deli）です。

メインはロシア料理ですが、「ハッシ（khash）」と呼ばれるアルメニアの伝統的な鍋料理や、アルメニアのパン「ラバッシュ（Lavash）」、アルメニアの紐状チーズ（ストリング・チーズ）なども店頭に並んでいます。

とくにハッシは、日本の鍋のように複数人で囲んで、ラバッシュを浸しながら食べるのがアルメニア流！リトルアルメニアを訪ねたら、ぜひアルメニア料理にもチャレンジしてみてください。

◎まとめ

ロサンゼルスのリトルアルメニアをご紹介しました。「人種のるつぼ」や「人種のサラダボウル」と呼ばれるアメリカには、実に多くの民族が集まり、それぞれのコミュニティを築いています。

アルメニア系コミュニティは、そのような多民族国家のなかでもとくに複雑な事情をもつディアスポラです。ロサンゼルスでハリウッドやビヴァリーヒルスを観光するなら、ぜひそのすぐ近くのリトルアルメニアにも足を運んでみてください。

ロサンゼルスはハリウッドの隣にあるリトルアルメニアの見どころをご紹介！