古代信仰と環境保全活動のナイジェリア世界遺産、オスン・オソボ聖林

画像出典:Jurema Oliveira (CC BY-SA 3.0)

古代信仰と環境保全活動のナイジェリア世界遺産、オスン・オソボ聖林

ナイジェリアには、古代からの信仰と環境保全活動が融合した神聖な原生林があることをご存知でしょうか?それは「オスン・オソボ聖林」であり、2005年には世界遺産にも登録された観光スポットです。この世界遺産は、この土地の豊穣の女神を祀っていた数々の社と神聖な原生林や野生の動植物が見事に共存しています。また、一度は信仰が衰退に向かい狩猟や森林伐採などの危機に瀕していた原生林を、芸術家たちによる環境保全活動によって再興した歴史などさまざまな魅力が詰まっていますよ!今回はそんなナイジェリアの世界遺産、オスン・オソボ聖林についてご紹介いたします。

目次

古代信仰と環境保全活動のナイジェリア世界遺産、オスン・オソボ聖林

オスン・オソボ聖林とは?

出典: Oloyedejuwonlo (CC BY-SA 4.0)

オスン・オソボ聖林とはナイジェリアのオスン州の州都であるオショグボにある原生林のことで、西アフリカ最大の民族集団の一つであるヨルバ人にとって宗教的な意味を持つスポットとなっています。1965年にナイジェリアの史跡となりましたが、その後範囲を拡大し保護区域に指定され、2005年にはオスン・オソボ聖林としてユネスコの世界遺産にも登録されました。

この森には豊穣の女神「オスン」がは女神オスンが棲んでいるとされており、社を建てて祀れば恵みを受け取れるという言い伝えが信じられていました。しかし、長い時間が経ち女神オスンへの信仰は、一度衰退に向かってしまいます。そこで立ち上がったのがオーストリア人の女性芸術家、ズザンネ・ヴェンガー。オスン・オソボ聖林の荒廃を目にした彼女は、地元の芸術家たちと協力して社の再建や森林保護に踏み切りました。そのかいあって、20世紀半ば以降には森への信仰が再興されたという歴史を持っています。現在残っている40基の社のうち15基はヴェンガーの手が加えられたものであり、毎年夏には祭りも開催されています。

オスン・オソボ聖林の特徴としては、オスン川流域で見られる多種多様な動植物やそれを育む木立ち、また一体化している数々の社などが挙げられます。また同じような祭祀場が他ではほとんど見られなくなったことも、この原生林が評価される要因です。

オスン・オソボ聖林へのアクセス

オスン・オソボ聖林はナイジェリアの南西部にあるオスン州の州都オショグボ内に位置している世界遺産です。ナイジェリアの首都であるアブジャや、最大の都市であるラゴスからは少し離れていますが、インフラは整備されていますので観光はしやすい場所だと言えるでしょう。オショグボの中心であるオショグボ駅からオスン・オソボ聖林は約3kmほどしか離れていませんので、タクシーで向かうか街の雰囲気を楽しみながら歩いて向かうことが可能です。

オスン・オソボ聖林のおすすめポイント

芸術家たちの活動によって保護された森林

出典: ChuksToluObu

オスン・オソボ聖林の最大の特徴は、女神オスンを信仰していたヨルバ人ではなく、芸術家たちによって森林を保護する活動が行われたことです。当時、森林の伐採をはじめ遺跡の盗撮や狩猟などが横行しておりオスン・オソボ聖林の存在が危機に瀕していたのですが、オーストリア人の女性芸術家であるズザンネ・ヴェンガーらによって森林を保護する活動が開始されました。

そして森林の伐採や狩猟などを禁止することによって、20世紀後半には信仰が再興されました。現在ではオスン・オソボ聖林は崇拝の対象としての存在を取り戻しており、毎日宗教的な儀式が執り行われるようになっています。自然と人間との関わり方についても考えさせられる世界遺産です。

野生動物と共存した社

出典: Jurema Oliveira (CC BY-SA 3.0)

オスン・オソボ聖林には、女神オスンを祀る目的で建設された社が現在40基残っています。それらはヨルバ人の持っていた伝統的な世界観をよく示していると評価され、世界遺産登録の大きな理由となりました。

オスン・オソボ聖林は、オスン川流域に広がっているためさまざまな種類の動物や植物が生息していますが、その野生動植物たちと共存している数々の社は一見の価値ありですよ!社の建築年代はバラバラで、なかには比較的新しいものもあります。昔からあった社は、この原生林と一体化した雰囲気を持っています。さらには社だけでなく20世紀に作られた彫刻も原生林内に点在しているので、あわせて鑑賞することが可能です。

注意点

現在、ナイジェリアのオスン・オソボ聖林付近の地域に外務省の危険情報レベル2が発令されています。これは、不要不急の渡航を中止するようにといった警報です。

安全が確保されるまで、ナイジェリアへの観光はお控えください。

◎まとめ

ナイジェリアの世界遺産、オスン・オソボ聖林についてご紹介いたしました。神聖な原生林や多種多様な野生動植物たちと一体化した豊穣の女神を祀る数々の社や、森林の危機を救った芸術家たちによる森林保護活動が行われた歴史など、オスン・オソボ聖林には観光客を魅了する数多くの見所が揃っています。自然と芸術、そしてそれらを守ろうとした人々の熱い思いが融合した世界遺産と言えるでしょう。

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