名称:ロベン島(Robben Island)
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/916
南アフリカ共和国には、人類が犯した過ちを二度と繰り返さないように残された"負の遺産"があることをご存知でしょうか?それがロベン島であり、別名「監獄島」とも呼ばれています。
現在は収監の大きな要因であったアパルトヘイトも撤廃され、博物館として一般公開されているロベン島ですが、今でもその刑務所など負の遺産を感じることができるスポットは存在しています。そんな南アフリカの世界遺産、ロベン島について紹介いていきます。
目次
「ロベン島」南アフリカ世界遺産|監獄島と呼ばれる人類の負の遺産
南アフリカ共和国の世界遺産「ロベン島」とは?
ロベン島とは南アフリカ共和国西ケープ州ケープタウンから約12㎞沖合のテーブル湾にある島で、ハンセン病患者の隔離や政治犯の強制収容所が設置され「監獄島」と呼ばれているスポットです。現在は島内にあるロベン島教会をのぞいたすべてを政府が所管しており、島全体を博物館として整備しています。
この島の歴史は17世紀末から始まりました。周囲の海流の強さから脱出が困難と見出されて以来、ロベン島はその大部分が刑務所として使用されることになりました。当時はオランダの植民地の様々な政治的指導者が収監されていましたが、その後1836年から1931年まではハンセン病患者の隔離のために使用され、1959年以降は政治犯の強制収容所として利用されることとなったのです。
また有色人種隔離政策であるアパルトヘイトの政策が行われてきた際は、ネルソン・マンデラ氏やウォルター・シスル氏なども収監されていました。1996年に刑務所は閉鎖。1997年には政府の管理下で博物館として一般公開、1999年には世界遺産に登録され、現在に至ります。
このロベン島は過去の人類が犯した過ちを二度と繰り返さないために残された重要な"負の遺産"として、世界中から注目を集めています。
ロベン島へのアクセス
ロベン島は、南アフリカのケープタウン沖合に浮かぶ小さな島です、アクセス方法は、フェリー。ケープタウンのウォーターフロント地区から約30分ほどで到着しますが、フェリーはよく揺れるため、船酔いが心配な方は事前に対策しておくことをおすすめします。
この揺れは、ロベン島が「監獄島」として利用された一つの要因である強い海流によって引き起こされているもの。またロベン島では自由行動が許されておらず、刑務所内の見学などをのぞいて大型バスでの移動となります。
ケープタウンは日本からの直行便が運航しておらず、ロンドンなどで乗り継ぎが必要となりますのでご注意ください。
ロベン島のおすすめポイント①:刑務所
「監獄島」と呼ばれるロベン島の最大の見所としては、まず刑務所が挙げられます。当時どのような過酷な環境で生活していたかを肌で感じることができますよ。
この刑務所ではアパルトヘイトを撤廃へ導いた指導者であり、元南アフリカ8代大統領のネルソン・マンデラも1964年から約18年間収監されていたことでも有名です。実際にネルソン・マンデラが収容されていた部屋も見ることができますので、じっくり見学してみてください。わずか2畳ほどの広さに1枚の毛布とトイレ用のバケツしか置いていない独房で、差別開放への情熱を燃やし続けながら18年間収監されていた事実を目の当たりにすると、いろいろ考えさせられます。
またこの刑務所では、収容されていた人からも話を聞くことができます。当時の過酷な環境などを直接本人から聞くことができるのは、いくら写真や文献で勉強していても及ぶことのない貴重な体験。ロベン島の刑務所を訪れた際は、どのような過酷な環境で耐え抜いてきたかを知り、人類の犯した罪を再認識してみてください。
ロベン島のおすすめポイント②:サッカー場
意外と思われるかもしれませんが、ロベン島の刑務所にはサッカー場が併設されていました。このサッカー場は、1967年頃に囚人たちが交渉の末に建設を勝ち取ったもの。サッカーによってストレスを解消させていた娯楽施設、という位置づけとなっています。
サッカーリーグ「マカナ・サッカー協会」を設立し、サッカーのリーグ戦を毎週開催。ストレスを解消するだけでなく、サッカーを通じて差別に抵抗していました。
アパルトヘイトが撤廃され、2010年に南アフリカが開催国となって盛り上がりを見せた南アフリカワールドカップでは、開催式にネルソン・マンデラ氏も出席。世界中から注目を集めました。人類の負の遺産であるロベン島に唯一存在した娯楽であるサッカーの世界大会が南アフリカで開催されたことは、非常に重要な意味を持つのです。
ロベン島に訪れた際はこのような背景を理解し、刑務所だけでなく併設されたサッカー場にも注目してみてください。
◎南アフリカの世界遺産「ロベン島」まとめ
南アフリカの世界遺産、ロベン島についてご紹介いたしました。「監獄島」と呼ばれ、人類の負の遺産として世界中から注目を集めているロベン島では、過去犯してきた人類の罪や、人種差別について深く考えさせられますよ。是非南アフリカ観光の際には、そんなロベン島に足を運んでみてはいかがでしょうか?