名称:Medina of Tunis
住所:Tourbet El Bey, Tunis
公式・関連サイトURL:https://worldheritagesite.xyz/medina-of-tunis/
北アフリカにあるチュニジア。日の沈む国、つまり西の国という意味で、モロッコやアルジェリアと合わせてマグレブ三国と呼ばれています。チュニジアの首都チュニスは、地中海に面した国内最大の都市。チュニス湾には高級リゾートホテルが立ち並び、イタリアに近いことからヨーロッパからのバカンス客に人気があります。
チュニスの街はイスラム統治時代に発展した旧市街と、フランス植民地時代に急成長した新市街があり、それぞれ異なる雰囲気をもっているのが特徴です。メディナと呼ばれるチュニス旧市街は、1979年世界遺産に登録されました。
目次
アラブとフランスの交差点!チュニジアの世界遺産「チュニス旧市街」
目次を閉じる
チュニス旧市街とは?
チュニスはもともと古代フェニキア人によって、カルタゴの衛星都市として建設されました。カルタゴが滅ぼされたのちも、ローマの支配下で町は続きましたが、本格的に発展するのは8世紀初頭にイスラーム国家のウマイヤ朝が進出して以降のことです。
ウマイヤ朝はカルタゴを放棄して当時チェニェスと呼ばれていたこの地に都市を建設。城壁や港、モスクなどを整備してチュニスと改名します。現在メディナ(旧市街)として世界遺産に登録されている街区は、この時に造られたものです。
時は流れ、1881年のフランス侵攻により、チュニジアは1956年の独立まで植民地となりました。この時代に新市街が拡張され、白いコロニアル風の建物や、碁盤目状の区画がつくられました。しかし、チュニスのメディナはそのまま存続し、今日に至っています。
チュニス旧市街へのアクセス
日本からチュニジアへの直行便はないので、中東やヨーロッパでの乗り継ぎとなります。チュニス・カルタゴ国際空港には鉄道は乗り入れていないので、タクシーか路線バスで市街中心部まで移動するのが一般的です。
世界遺産チュニス旧市街は、チュニス駅のすぐ目の前にあります。なので、空港から最も近いエル・フェル駅までタクシーで行き、そこから地下鉄でチュニス駅に向かう方法もあります。
チュニス旧市街のおすすめポイント①:旧市街を歩く
ヨーロッパには中世の城壁に囲まれた町がいくつも現存しますが、チュニスの旧市街にはところどころに城門や城壁の一部が残っている程度で、残念ながら完全な形ではありません。
新市街側からやってきて目に留まるのは、凱旋門を小さくしたようなバブ・バハルです。アラビア語でバブは門、バハルは海という意味ですが、通称はずばりフランス門です。当時この門が海への玄関口だったことが想像できますね。
フランス門をくぐって旧市街に入りましょう。正面に見えるのはグランドモスクまで続くメインストリートのジャーミア・ザイトゥーナで、オリーブ通りという意味です。通りには土産物屋やカフェが並び、観光客で賑わいを見せています。
片側は地元の人向けの生活雑貨などの露店が多く、もう片方は衣類を扱う店が並ぶカスバ通りです。グランドモスク周辺にはそれぞれ扱う品目が違う専門のスーク(市場)があり、これらは17世紀のオスマン帝国時代の名残です。
チュニス旧市街のおすすめポイント②:専門店が並ぶスーク
出典: Andrew Moore /flickr(フリッカー)
グランドモスクの近くには、いくつかの専門スークがあります。同じ品物ばかりが並んでいて商売になるの?と不思議に思いますが、アラブの国ではよく見かけるスタイルなんです。金銀細工のスーク、民族衣装のスーク、香水のスークなどは、見ているだけでも楽しいところ。高価な物になればなるほど交渉の余地が大きいので、頑張って値切ってみて下さい。
観光客と見るとふっかけてくる店もあるので、いくつかの店をまわって相場の価格を知るのも大切です。そう考えると、専門スークは便利なのかもしれません。
お土産にはスパイスも人気!すべてグラム単位で買えるので、必要な分だけそろえられるのが便利ですね。チュニジア料理に欠かせない唐辛子ペーストのハリッサは、缶・瓶詰・チューブの3タイプがあり、小さなチューブ入りならかさばらず、お土産にもピッタリです。
チュニス旧市街のおすすめポイント③:グランドモスク
チュニジアではカイルアンのモスクに次いで古く、9世紀半ばのアグラブ王朝時代に建てられました。建設当時、周辺にオリーブの木が多かったことから、オリーブモスクという愛称で親しまれています。5000平方メートルという規模の大きなモスクで、柱はカルタゴから運んできたものだとか。
イスラム教徒以外は建物内部に入ることはできませんが、テラス部分だけなら有料で見学できます。女性は頭髪を隠すスカーフが必要なので、訪れる際は1枚用意しておきましょう。
周辺にある土産物屋さんが2階から見ないか?と声をかけてくることもあるので、違った角度からモスクや旧市街全体を眺めたい人にはおすすめです。料金が決まっているわけではなく、お礼のチップを渡すか、何かお土産を買えば丸く収まります。
◎まとめ
チュニス旧市街は街歩きが楽しい場所ですが、旧市街の夜は意外にも早くに静かになってしまいます。とくに冬場は、8時を過ぎると店も軒並み閉まってしーんとなってしまうので、気を付けてください。
細い道が続き、横道に入ると迷子になりそうですが、フランス門からグランドモスク方面へは緩やかな登り坂になっています。道に迷ったら坂を下るように歩いていけば、フランス門に戻れますよ。
また、グランドモスクのミナレットも良い目印になります。旧市街が一番賑わうのはお昼前後なので、活気あふれる雰囲気を楽しむには、ランチタイムを目安に出かけましょう。レストランでチュニジア名物のクスクスを味わうか、美味しいフランスパンを使ったサンドイッチをかじりながら散策するか、迷うところですね。