古代カルタゴ時代の最も良好な遺跡!チュニジアの世界遺産ケルクアン

画像出典:WitR/Shutterstock

古代カルタゴ時代の最も良好な遺跡!チュニジアの世界遺産ケルクアン

海洋交易により大きな富と強力な海軍を有していた古代カルタゴ。当時同じく勢力拡大を図っていたローマ帝国と対立し、三度にわたる熾烈な戦いの末に滅ぼされてしまいました。

チュニジアの首都チュニス近郊にあるカルタゴも世界遺産に登録されていますが、現在の遺跡はほとんどがローマ時代のもの。カルタゴ時代の都市のようすはわずかにしか推し量ることができません。

そのようななか、破壊も再建もされることなくカルタゴの文化を今に伝えている遺跡が、世界遺産のケルクアンです。海辺に佇む町にはローマとは違った建築様式の住居跡があり、カルタゴ独自の神を祀っていた跡も見つかっています。良好な形で残っているカルタゴ時代の都市遺跡としては、ほぼ唯一とされているケルクアン。その貴重な世界遺産の見どころをご紹介しましょう。

目次

古代カルタゴ時代の最も良好な遺跡!チュニジアの世界遺産ケルクアン

ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡とは?

出典: zenpaku / PIXTA(ピクスタ)

ケルクアンに関する記録はほとんど残っていませんが、紀元前6世紀ごろに建設されたとみられています。ただし、現在残っている遺跡は紀元前4世紀に造られたと推定されています。

その後、紀元前264~紀元前241年の第一次ポエニ戦争の間に放棄されたと考えられ、その存続期間は400年ほどでした。カルタゴ市と異なりローマによって再建されることもなく、1950年代に発掘調査が始まるまで、埋もれた遺跡となっていました。

海沿いの町には神殿や城壁、住民の住居跡などが残っていて、カルタゴ時代の文化や生活を知るうえでとても貴重なものとなっています。また共同墓地からは、200もの棺が見つかっています。チュニジア国内にはカルタゴやケルクアンのほかにも、スースやウティカといったカルタゴ時代に端を発する遺跡がいくつかあります。なかでもカルタゴ当時の建物が良好に残っている貴重な例として、ケルクアンは1986年に世界遺産に登録されました。

ケルクアンの古代カルタゴの町とその墓地遺跡へのアクセス方法

ケルクアンはチュニスの東のボン岬半島先端近くに位置しています。鉄道は通じておらず、チュニスから車で2時間ほどかかります。

公共交通機関を利用する場合、チュニスからケルクアンの南のケリビアという町までバスに乗り、そこからタクシーで行く方法もあります。

チュニスから日帰りでチュニジアの主要観光スポットを周るツアーもあり、ケルクアンを含めたツアーに参加するのもおすすめです。

ケルクアンのおすすめポイント①:カルタゴ時代の町並み

出典: zenpaku / PIXTA(ピクスタ)

海洋交易民族フェニキア人らしく、ケルクアンは海に面した丘の上にあります。立地だけでなく、世界遺産のケルクアンの都市遺跡ではカルタゴ独特の文化を垣間見ることができます。

城壁の石は斜めに積まれ、明らかにローマ文化とは異なった建築方法です。城壁内には建物跡が計画的にきれいに配置され、水道も整備されています。それぞれの住居には個別に浴室や浴槽があり、床にはモザイクタイルが敷かれているなど、高度な文化をもっていたことがうかがえます。

他にも柱列の残る神殿跡や、フェニキアの豊穣の神タニトの美しいモザイク画など、当時の宗教や風習にかんする貴重な遺構も見られます。カルタゴ遺跡以上に、カルタゴ時代の暮らしを偲ぶことのできる世界遺産の遺跡です。

ケルクアンのおすすめポイント②:共同墓地遺跡

出典: commons.wikimedia.org

世界遺産ケルクアンの共同墓地遺跡は、1950年代に都市遺跡が発見された10年後に、1km程離れた岩山から見つかりました。現在その墓地遺跡を一般の観光客が訪ねることはできませんが、発掘された貴重な品々は、ケルクアンの都市遺跡近くの博物館で見ることができます。

ケルクアンの博物館は、小さいながら展示品が豊富で見応えがあります。とくに共同墓地遺跡から発掘されたという女性の形の木製棺は必見!「ケルクアンの婦人」とも呼ばれる棺は、古代から高級木材として知られるレバノン杉製で、フェニキアの愛と豊穣の女神アシュタルテを模ったものとされています。このような木製棺が現存しているのは世界でも稀だとか。棺のほかにも、博物館には副葬品や日用品など興味深い品々が展示されています。

共同墓地遺跡では、発見以来盗掘の被害が絶えなかったため、現在その場所は秘密とされています。いつの日か、世界遺産の墓地遺跡も見学できるようになると良いですね。

◎まとめ

世界遺産ケルクアンのカルタゴの町と墓地遺跡はいかがでしたか?
このケルクアンのカルタゴ遺跡が20世紀に発掘されるまで、カルタゴという国に関するものは殆ど地上からなくなっていたと考えられていただけにとても貴重な遺跡だというのがわかりますね。にもかかわらず、発掘があまり進まず海による浸食もあまり考慮されていない遺跡です。
唯一無二のカルタゴ遺跡をぜひ、後世まで残していく努力をしないといけないと思いませんか?

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

チュニジアでおすすめの記事

チュニジアのアクセスランキング