名称:Dougga/Thugga
住所:Dougga, Tunisia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/794/
地中海に面した北アフリカの国チュニジアには、多くの古代遺跡が残っています。そのうちの1つドゥッガ(Dougga)は、もともとチュニジア西部に勢力をもったベルベル人の王国ヌミディアの都市。古くはトゥッガ(Thugga)と呼ばれていたため、世界遺産としては両方の名称が併記されています。
かつては広大な丘全体が城壁に囲まれていて、神殿や劇場、浴場など多くの建物跡が残っています。とくに、ローマ遺跡の床に施された美しいモザイクは必見ですよ!
目次
丘の上のローマ遺跡!モザイクの美しいチュニジアの世界遺産ドゥッガ
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ドゥッガ(トゥッガ)とは?
出典: Leonid Andronov / PIXTA(ピクスタ)
ベルベル人の言葉で「牧場」という意味のドゥッガの丘に、最初に都市を建設したのはヌミディア王マシニッサといわれています。マシニッサはベルベル人の諸部族を統合し、ローマの支援を受けながらカルタゴと戦って勢力を拡大しました。
しかし、マシニッサの孫の代にヌミディア王国は内紛を起こし、ローマの介入を招きます。ローマの属国化したヌミディアは、紀元前46年にユリウス・カエサルによってついに属州として組み入れられました。
その後はローマの都市として存続しましたが、5世紀前半にヴァンダル族が北アフリカに侵入し、カルタゴを都とするヴァンダル王国を建設します。ドゥッガもヴァンダル人に占領され、6世紀前半にヴァンダル王国が滅びると、以後は廃れていったと考えられています。
ドゥッガ(トゥッガ)へのアクセス
世界遺産ドゥッガは、チュニジアの首都チュニス南西の町トゥブルースクの郊外にあります。トゥブルスークへは、チュニスの北バスステーションからバスが出ています。トゥブルスークからは、バス停近くの広場から、ルアージュと呼ばれる乗り合いタクシーを利用すると良いでしょう。
トゥブルスークでルアージュを探すときは、広場で「ドゥッガに行きたい」と声をかけると、その方面のルアージュを教えてくれます。ルアージュは白の車体に赤の線が入ったワンボックスカーで、最大8人乗り。人数が集まると出発するので、場合によってはしばらく待つことになります。時間には余裕をもちましょう。
また、トゥブルスークの先のヌーヴェル・ドゥッガまでバスで行き、そこから2kmほど歩いて行くこともできます。ただし、バスの本数は1時間に1本程度と少ないので、帰りに便の時刻には気を付けてください。チュニスから日帰りのツアーも出ているので、これに参加するのもおすすめです。
ドゥッガ(トゥッガ)のおすすめポイント①:リキニア浴場
チュニジアの世界遺産ドゥッガ(トゥッガ)にはローマらしくいくつかの大衆浴場がありました。そのうちの1つリキニア浴場は、3世紀後半の皇帝リキニウス・ガッリエヌスのころに建てられたもの。3階建てで温水風呂や水風呂、サウナ、談話室などたくさんの部屋を備えていました。
規模自体は他のドゥッガの浴場と比べて大きいという訳ではありませんが、リキニア浴場には保存状態の良いモザイクや彫刻が残っています。円柱もすらりと立っているので、当時の社交場のようすを知るのにちょうどよい遺跡といえるでしょう。
ドゥッガ(トゥッガ)のおすすめポイント②:古代劇場
世界遺産ドゥッガの遺跡の目玉スポットともいえるのが、チケット売り場から入ってすぐのところに現れる古代劇場です。168年に建てられたローマ劇場で、現在も毎年夏にはこの舞台を客席を利用して音楽フェスティバルが開催されています。
ドゥッガ自体が丘の上にあるので、劇場からの眺めは格別!19段の観客席の一番上まで登れば、ドゥッガの遺跡全体を見渡すこともできますよ。劇場の前には売店もあるので、ちょっと歩き疲れたり、待ち合わせなどにも便利なスポットです。
ドゥッガ(トゥッガ)のおすすめポイント③:ベルベル人の廟
世界遺産ドゥッガを最初に建設したのはベルベル人のヌミディア王国ですが、当時の遺構は残念ながらあまり残っていません。そのなかの貴重な遺物の1つが、「ベルベル人の廟」です。リビコ・プュニック廟とも呼ばれ、紀元前3世紀の指導者を奉じて建てられたものといわれています。
オリーブの木に囲まれた高さ21mの石塔は、どことなく現代にも通じるデザインをしています。ローマの都市遺跡のなかにひっそりと建つベルベル人の建築は、世界遺産ドゥッガのシンボルともなっています。
ちなみにオリジナルの墓碑は、1842年にイギリス領事が大英博物館に持ち出そうとした際に破壊されてしまいました。現在の廟は、後にフランス政府が修復したものです。
◎まとめ
チュニジアに残るベルベル人が築いたローマの都市ドゥッガ。チュニジアには古代都市の遺跡が少なくありませんが、ドゥッガはそれらのなかでもとくに保存状態が良いといわれています。
アクセスにやや難のある世界遺産ですが、チュニジアでチュニスやカルタゴを訪れたら、ぜひドゥッガにも足を延ばしてみてください。