地中海沿岸にある渡り鳥の貴重な越冬地!世界遺産イシュケル国立公園

画像出典:Elarbi alaeddin (CC BY-SA 3.0)

地中海沿岸にある渡り鳥の貴重な越冬地!世界遺産イシュケル国立公園

古くから王家の狩猟地として保護されていたイシュケル国立公園は、昔からの自然環境や生態系をそのままに残した貴重な地域です。イシュケル山やイシュケル湖、そして湖の周辺には、北アフリカでは貴重な大湿原が広がります。

緑豊かな大自然をもつイシュケル国立公園には、さまざまな動物たちが生息しており、約25万羽の渡り鳥たちの重要な中継地。今回は、チュニジアの自然遺産に登録されたイシュケル国立公園の魅力をたっぷりとご紹介していきましょう。

目次

地中海沿岸にある渡り鳥の貴重な越冬地!世界遺産イシュケル国立公園

イシュケル国立公園とは?

出典: Pierre Henri GIRAUD (CC BY-SA 3.0)

チュニジア最北端に位置するイシュケル国立公園は、山と湖と大湿原が広がる変化に富んだ自然豊かな国立公園です。地中海の沿岸近くにあり、総面積は約126平方kmで大分県別府市と同じ位。かつてここは、チュニジアのフサイン朝王家の狩猟地であったため、手つかずの自然が残されていました。約200種類の野鳥やさまざまな動物が暮らし、500種類以上の植物が生い茂っています。太古から素晴らしい自然環境を作り出し、貴重な生態系を残すイシュケル国立公園は、1980年にユネスコの世界遺産に登録されました。

イシュケル国立公園は、1996年に危機遺産リストに登録された過去をもちます。2006年に解除されましたが、すでに生態系が変わりすぎて、回復が不可能ともいわれました。その原因となったのが、イシュケル湖の水源となる川の上流にダムが建てられたこと。その結果、湿地帯の乾燥が始まり、イシュケル湖に流れ込む真水が急激に減少したため、ヨシやスゲなどの真水を好む植物は減少し、替わって好塩性の植物に生態系が入れ替わってしまいました。それにより生態系のバランスが崩れ、さらに周辺の干拓地や採士場から汚水が流入し、環境が悪化しています。

イシュケル国立公園へのアクセス

日本からチュニジアへは、直行便はありません。アラブ首長国連邦やカタール、フランスなどを経由してチュニジアに入国します。チュニジアの首都チュニスからイシュケル国立公園へは車の場合、約2時間かかります。

イシュケル国立公園のおすすめポイント3

イシュケル湖とイシュケル山

出典: Mokdad.nysrine (CC BY-SA 3.0)

地中海沿いには、総面積約85平方kmのイシュケル湖があります。北東隣にあるビゼルト湖が地中海とつながっているため、淡水と海水が混じりあった汽水湖。そのためイシュケル湖には、独自の生態系があり、貴重な動植物を見ることができます。

この一帯は冬でも温暖な気候のため、秋になるとハイイロガンをはじめ、カオジロオタテガモやメジロガモ、ナベコウやコウノトリ、フラミンゴなどヨーロッパやアフリカ北部を結ぶおよそ25万羽の渡り鳥の越冬地。イシュケル湖周辺には、北アフリカでは珍しい大湿地帯が広がります。

またイシュケル山では、1800万年前の動物の化石や石器時代の石器などが発見されました。イシュケル山もかつては野生動物の宝庫でしが、周辺の環境破壊が進んだことにより減少傾向にあります。1996年に危機世界遺産リストに登録されると、チュニジア政府は密猟の取り締まりを強化し、環境汚染からの保護対策を打ち出しましたが、今でも回復には至っておらず、深刻な問題となっています。

バードウォッチング

出典: El Golli Mohamed (CC BY-SA 4.0)

イシュケル国立公園の最大の見どころは、やはりバードウォッチングでしょう。中でも絶滅危惧種のカオジロオタテガモが生息する貴重なエリア。冬を暖かい地域の湖などで過ごす渡り鳥で、20世紀はじめに世界中で10万羽以上いたカオジロオタテガモは、干拓や汚染により絶滅の危機にあります。

他にもフラミンゴやコウノトリ、ハイイロガンやメジロガモ、ナベコウなどを見ることができますよ。イシュケル国立公園でのバードウォッチングは、渡り鳥が飛来する11月から4月頃までがベストシーズンです。

博物館

出典: Kalechnizar (CC BY-SA 3.0)

イシュケル国立公園内の小高い丘の上には、小さな博物館があります。きれいに整備された道を歩き、頂上まで登ると、そこからはイシュケル湖が見渡せるビューポイントになっていますよ。

イシュケル国立公園の見どころの1つで、イシュケル湖の先には地中海も見えます。博物館では、イシュケル国立公園に生息する植物や動物、魚類などの紹介がされている貴重なスポットです。

◎まとめ

かつて北アフリカにあった多くの湿地帯は、干拓や開発でほとんどが失われてしまいましたが、マーテル平地に広がるイシュケル国立公園には、まだ貴重な大湿地帯が残っています。過去に危機世界遺産リストに登録されるなど、環境問題が深刻化していますが、フラミンゴをはじめとする「野鳥の楽園」です。2018年4月現在、イシュケル国立公園は外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。不要不急の渡航は控え、必ず外務省の海外安全情報をご確認ください。

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