名称:Amphitheatre of El Jem
住所:El-Jem, Tunisia
公式・関連サイトURL:http://www.tunisia.com/tunisia-travel-guides/el-jem
映画『ベン・ハー』や『グラディエーター』など、ローマ時代のイメージを構成する重要な建造物の1つが円形闘技場です。ローマのコロッセウムが有名ですが、北アフリカのチュニジアにも巨大な世界遺産の円形競技場跡があります。スースとスファックスの間、エル・ジェムという地方都市にある円形競技場は、なんと収容人数は3万5千人!これより大きなものは、現在知られているものではローマとカプアにしかありません。
しかも、エルジェムの円形競技場はローマのコロッセウムより保存状態が良いといわれています。そのため、ローマ時代の遺跡では珍しく、円形闘技場だけが単独で世界遺産に登録されました。それでは、意外と知られていないエル・ジェムの巨大なローマ遺跡の魅力に迫ってみましょう。
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ローマに比肩するチュニジアの巨大遺跡!世界遺産エル・ジェムの円形闘技場
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エル・ジェムの円形闘技場とは?
エル・ジェムにはもともとカルタゴが建設した居留地がありました。カルタゴがローマに滅ぼされると、ローマ風の街に作り変えられます。その後、エル・ジェムはスースとカルタゴに次ぐ北アフリカ第2の都市の座を争うほどに発展したといわれています。
238年、職業軍人のマクシミヌス・トラクスがローマ皇帝セプティミウス・セウェルスを殺害して帝位を簒奪。しかし、元老院や民衆はこれを認めず、アフリカ総督だったゴルディアヌス1世を皇帝に推戴します。カルタゴに入ったゴルディアヌス1世は、市民に歓喜の声で迎えられたものの、在位わずか36日でマクシミヌス派のヌミディア軍に敗れて戦死しました。
エル・ジェムの円形闘技場は、このゴルディアヌス1世の命により建設されました。ただし、前述の通り彼の治世は短く、また突然に終わったため、闘技場は未完成だったともいわれています。ゴルディアヌス1世の死によってエル・ジェムの街も廃れ、砂に埋もれた遺跡として、今日まで保存されることになったのです。
エル・ジェムの円形闘技場へのアクセス
日本からチュニジアへの直行便はありませんので、ヨーロッパ主要都市またはドバイやアジア諸国空港で乗り継ぐ必要があります。
チュニジアの首都チュニスからエル・ジェムまでは200kmほど。車なら有料道路を利用して、約2時間半で到着します。鉄道も、チュニスから1日に7本運行していて、所要時間は2時間半~3時間くらいです。エル・ジェムの駅から世界遺産の円形闘技場までは、一本道を歩いて5~6分程度です。
また同じく世界遺産の旧市街をもつスースや、チュニジア第2の都市スファックスなどからバスに乗れば、1時間ほどで行けます。
エル・ジェムのおすすめポイント①:円形競技場
縦149m・横124m・高さ36m、そして舞台の直系65mという北アフリカ最大の闘技場。ローマのコロッセウムの収容人数が約4万5千人のところ、エル・ジェムの円形闘技場は3万5千人もの人々を収容することができたとか。当時この地域の人口は3万人だったといわれているから驚きの数字です。人々の娯楽場として愛された世界遺産の円形競技場では、死刑囚同士の戦いや、猛獣と人との闘い、馬で引く戦車の競争などさまざまな催しが開かれていました。
世界遺産エル・ジェムの円形競技場の石材は、なんと30kmも離れた場所から運んできたそうです。他方で保存状態の良い世界遺産でありあがら、ローマの遺跡にありがちな豪華な石の装飾がほとんど見られません。これは、使用した石の材質が柔らかくもろかったため、彫って装飾をするのに向いていなかったからと考えられています。
エル・ジェムのおすすめポイント②:円形競技場の内部
3層の壁からなるエル・ジェムの円形競技場の内部には、長さ65m・幅39mのアリーナがあります。周囲の階段席には一般民衆が座り、上部の席にはVIPの人々が座ったとか。なぜなら上部には、チュニジアの暑い太陽を遮るための屋根があったからなのです。
地下には通路があり、出番を待つ剣闘士の控室や、猛獣を入れておくための部屋なども残っています。この地下通路を歩いてアリーナへと進むと、今でも外から人々の歓声が聞こえてきそう。暗いトンネルを抜けて明るい光と自由を求めた剣闘士達の思いも伝わってきます。
現在の荒涼とした大地からは想像がつきにくいですが、円形闘技場が建設されたころは、エル・ジェムはイタリア料理に欠かせないオリーブオイルの産地として栄えていました。そんな当時のようすを思い浮かべながら、世界遺産の巨大な円形闘技場を観光してみてください。
エル・ジェムの円形闘技場を訪れる際の注意点
地中海性気候のチュニジアは、朝夕の気温差がとても激しい国です。昼間は暑くても、出歩く際は羽織物などを1枚持って行くと良いでしょう。
◎まとめ
チュニジアの世界遺産エル・ジェム円形闘技場をご紹介しました。後にイスラームの国に占領されると、石が建材に持ち去れたりしたそうですが、1800年以上経った今も、その壮大な姿を残しています。
とくに客席やアリーナはまだ使用に耐えるため、現在も夏の音楽フェスタなどの会場となっています。1800年も前の遺跡で聞く音楽は、きっと格別ですよ。