名称:アイールとテネレの自然保護区群(Air and Ténéré Natural Reserves)
住所:Agadez Niger
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/573
ニジェール共和国は、アフリカ内陸のサハラ砂漠南部に位置する共和制国家。国土の北側はサハラ砂漠、南側には比較的湿潤な半乾燥草原である「サヘル」が広がっています。
「サハラの宝石」と呼ばれ、サンテクジュペリの小説『星の王子様』の舞台としても知られるニジェールには、世界遺産が3つあります。その中で今回は、世界遺産「アイールとテネレの自然保護区群」をご紹介。アイール山地とテネレ砂漠という2つの異なる特徴をあわせ持つ自然保護区の特徴と魅力に迫りたいと思います。
目次
サハラの宝石!ニジェールの世界遺産「アイールとテネレの自然保護区群」
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アイールとテネレの自然保護区群とは?
「アイールとテネレの自然保護区群」は、ニジェール初の世界遺産。1991年に、アイール山地とテネレ砂漠の一部が自然遺産として登録されました。
アイール山地は、乾季でも水源が絶たない標高2000m級の山岳を含んでいます。厳しい自然環境の乾燥地帯でありながら、アイル山地のおかげでこの地域特有の植物が生育し、アダックスやダマガゼル、パタスモンキーなど希少な動物が生息できているのです。
ニジェールの北東から、東の隣国であるチャド西部に広がるのは「テネレ砂漠」。サハラ砂漠の中南部一帯にあたるテネレ砂漠は、まさに砂漠の中の砂漠。この地の遊牧民である「トゥアレグ族」の言葉で「何もないところ」という意味のテネレですが、ここではサハラで最も美しいと言われる砂丘の絶景が見られます。
これらの自然保護区群は遊牧民の内戦の舞台となったため、1992年に危険遺産リストに加えられました。独立のための内戦自体は終息しているものの、危機遺産の登録は2018年現在でもまだ抹消されていません。
アイールとテネレの自然保護区群へのアクセス
出典: Holger Reineccius (CC BY-SA 3.0)
ニジェールの観光の起点は、首都ニアメです。日本からニジェールへは直行便がありません。イスタンブール、パリ、ドーハとカサブランカ、ヨーロッパなどを経由して、ニジェールの首都ニアメのディオリ・アマニ国際空港まで行きましょう。ニアメから、空路でアガデスのマノ・ダヤク国際空港にアクセスします。
テネレ砂漠の中でも最も美しい砂丘地帯とされるアラカウは、アガデスから約260km北東に位置しています。
※2018年4月現在、外務省の海外安全情報において「アイールとテネレの自然保護区群」が位置するニジェールのアガデス県全土には、危険度「レベル4」が発令されています。危険度「レベル4」は退避勧告ですので、現在は残念ながら渡航できません。旅行を計画している方は、最新の危険情報を確認してください。
「アイールとテネレの自然保護区群」おすすめポイント①:大砂丘の絶景
大砂丘の絶景を見るのに最もおすすめなのは「アラカウ(Arakao)」。周囲が岩山に囲まれていることによって、吹き溜まった砂がつくり出した巨大な砂丘地帯です。
砂丘の上からは自然が創った壮大な景色を見渡すことができるので、体力は消耗しますがぜひ登ってみてください。砂丘は時間によって光と影、色が変わり、感動の美しさで迎えてくれます。
アラカウの北にある「アドラール・シリエット(Adrar Chiriet)」も、岩山と大砂丘の美しいコラボレーションが見られるおすすめの場所。ここには、固有種の薬草アガラシムが生息しています。
「アイールとテネレの自然保護区群」おすすめポイント②:テネレの木
出典: Michel Mazeau (CC BY-SA 2.0)
テネレはトゥアレグ族の言葉で「何も無いところ」を意味するように、酷暑と乾燥の不毛の大地。テネレ砂漠には植物が生息していません。
しかし、かつて画像のように、唯一のアカシアの木が生えていたことがあります。その木は「テネレの木」としてテネレ砂漠では有名でしたが、1973年に酔っ払いが運転する車に倒されてしまいました。
現在、このテネレの木はニアメのニジェール国立博物館に展示されており、生えていた場所には金属製の木が建てられています。
「アイールとテネレの自然保護区群」おすすめポイント③:トゥアレグ族のキャラバン
テネレ砂漠の中心都市は、アイル山地に近いアガデス(Agadez)です。アガデスは、岩塩鉱脈の上にあるオアシス都市でもあるため、昔から塩のキャラバンが砂漠を行き交っていました。
トゥアレグ族によって営まれる塩のキャラバンを「アザライ」と呼び、20世紀初頭には2つのアザライが存在していました。しかし世界遺産に登録されたことによって、1000年近くこの地を重要な通商路としてきたトゥアレグのアザライに大きな制約が加えられ、キャラバンルートの変更が余儀なくされました。さらに塩の輸送方法の変化によりキャラバン隊を見かけることは少なくなりましたが、冬場ならラクダの背に塩を積んだキャラバン隊が砂漠を行く光景に出会えるかもしれませんよ。
◎まとめ
アイル山地の動植物が生息する豊かな山間の景観と、不毛の大地・テネレ砂漠の砂丘の眺めには心を打たれます。一帯からは動物や人間が描かれた多くの岩壁画や4000年以上前の住居跡も発見されています。ニジェールを代表する世界遺産「アイールとテネレの自然保護区群」へ、安全に旅行で訪れることができる日が1日でも早く来ることを願ってやみません。