名称:カパック・ニャン アンデスの道(Qhapaq Ñan, Andean Road System)
住所:コロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビア・チリ・アルゼンチン
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1459
インカ帝国の首都、ペルーのクスコ。そのクスコからインカ帝国の端から端までををつないだ長い道が、2014年に世界遺産認定された「カパック・ニャン アンデスの道」です。広大な道はペルーをはじめ現在の南米6国をも結ぶ、インカ帝国の重要な道路網でした。
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マチュピチュへの道 世界遺産カパック・ニャン アンデスの道(ペルー)
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「カパック・ニャン アンデスの道」とは
世界遺産「カパック・ニャン アンデスの道」は、かつてのインカ帝国をつないでいた道。その長さは現在の南米コロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビア・チリ・アルゼンチンを縦に結ぶ約4000km、道の全長は約23000kmにも及びます。さらに特記すべきは、今回の世界遺産認定は、ユネスコ世界遺産の中で初めて6か国共同申請によって認定された世界遺産だということです。
インカ帝国の首都、現在のペルーのクスコを中心に、インカ帝国の端から端を結ぶこのアンデスの道は、海抜0mの灼熱の海岸砂漠地帯から標高約6000mの雪山アンデス高山地帯までの広範囲をカバー。「チャスキス」と呼ばれる飛脚たちや、労働者や建築材料の運び入れなどの幅広い用途に用いられていました。
この道路がインカ帝国の首都クスコから、帝国内の流通や統治の管理を可能にしたのです。道はクスコ中央広場の十字路の4本から出発。カパック・ニャンはインカ・トレイルとも呼ばれ、インカ帝国の町や砦、宗教建築物を結びました。このインカ帝国の主要道路であるカパック・ニャンには橋や階段、側溝などが今でも残っています。
「カパック・ニャン アンデスの道」へのアクセス
「カパック・ニャン アンデスの道」の中心、クスコの町へは日本からの空路はありません。まず日本からダラスやヒューストンを経由して、ペルーの首都リマへ行きます。リマから国内線に乗り換えてクスコ空港(アレハンドロ・ベラスコ・アステテ国際空港)まで約1時間のフライト。クスコ空港は標高約3400mの山間部にあるため、飛行機の発着は霧の少ない朝に集中しています。
リマからクスコへ飛行機で移動すると早くて便利なのですが、高山病に注意!クスコの標高は富士山よりも高いため、急激な標高差で高山病になる確立が高いのです。高山病対策の薬を服用したり、空港でもらえるコカの葉を食べるのも一般的な対策ですが、体調を整えておき、到着してからは深呼吸したりゆっくり行動するようにしましょう。
スケジュールに余裕があるならリマからパラカス、ワカチナ、ナスカ、アレキパ、ウルバンバなど、徐々に高所順応しながら観光すると安心です。
「カパック・ニャン アンデスの道」おすすめポイント①:マチュピチュへの道
皆さんもご存じの世界遺産、マチュピチュ。「インカの失われた都市」とも言われるインカ帝国の遺跡です。マチュピチュについての情報は多いので、ここではマチュピチュへ続く「カパック・ニャン(インカ・トレイル)」の魅力的なポイントをお伝えします。
この世界遺産マチュピチュへ続く道は、素晴らしいアンデスの自然を体験できるトレイル。雲霧林や高山ツンドラを抜けて、巨大なインカの都市を目指します。道中にはいくつかの遺跡もあり、インカ文明の力も感じることができます。
マチュピチュへ続く、カパック・ニャンは美しい自然とインカの文明を堪能することができるおすすめの散策ルート。世界遺産マチュピチュへは列車でも行くことができますが、行きか帰りはぜひこのカパック・ニャンをトレッキングしてみてくださいね。
「カパック・ニャン アンデスの道」おすすめポイント②:ケスワカチャ橋
世界遺産、カパック・ニャン アンデスの道を阻む谷間や川。そこを渡るために、インカの人々は石を使った本格的な橋や、ロープを結んで作った橋など、地形に合わせて様々なタイプの橋を作りました。
この「ケスワカチャ橋(Queshuachaca)」は標高約3700mにある地域を結ぶ重要な橋の1つで、この種の橋としては唯一現存している橋。橋はインカの言葉で「Ichu」というプナの草を編み込んで作った太い6つのロープをもとにできています。この橋のおかげでアプリマック川を渡ることができるのです。
橋は毎年点検・補修されているとはいえ、深い谷底の上にかかる橋を渡るのは相当なスリル!しかしこのような橋のおかげで、世界遺産カパック・ニャン アンデスの道は続いているのです。ペルーの世界遺産、カパック・ニャンを旅するならぜひこの橋もわたってみてくださいね。
「カパック・ニャン アンデスの道」おすすめポイント③:ワヌコパンパ遺跡
「ワヌコパンパ遺跡(Huánuco Pampa/Wanuku Pampa)」は世界遺産カパック・ニャンにあるインカの遺跡で、カパック・ニャンにいくつかある行政の中心地のひとつ。その土地は複数のエスニック・グループによって治められていたと考えられており、重要な貿易拠点でもありました。
世界遺産カパック・ニャンにある遺跡の中で形が残っているもののひとつで、儀式の場所、住居、倉庫などを見ることができます。世界遺産マチュピチュには及びませんが、インカ独自の石を積み上げて造られた建物が残っていて感慨深いものがありますね。
カパック・ニャンのトレッキング注意点
世界遺産に登録されたこともあり、カパック・ニャンのトレッキングは大人気。しかしカパック・ニャンには人数規制があるほか、公認ガイドが必須になっています。今やカパック・ニャンのトレッキングは、なかなか予約が取れない注目の観光アクティビティ。ガイド・ポーター・調理人などが同行するツアーを利用するのがおすすめです。道はアップダウンがかなりあるので、高山病の対策とともに、事前にトレーニングしておきましょう。
◎まとめ
いかがでしたか?世界遺産「カパック・ニャン アンデスの道」には数々のインカ帝国の遺産が残っており、特にペルーではマチュピチュをはじめ、重要で見ごたえのある遺産を見ることができます。カパック・ニャンではアンデスの様々な自然環境が楽しめて、トレッキングに最適。ペルーに来た際は電車やバスだけでなく、アンデスの道を歩いてインカの文化を体感してくださいね。