【世界遺産】ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレとは？｜シチリア島の美麗なモザイク

地中海に浮かぶ最大の島であるシチリア島は古代ギリシャの遺跡や温暖な気候が伴って、たくさんの観光スポットがあるイタリアの島です。

世界中からたくさんの人が訪れるシチリア島のほぼ中央、ピアッツァ・アルメリーナの郊外には世界遺産ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレが位置しています。のどかな風景が広がる集落に建てられたこの豪邸は、ローマ時代の権力者の別荘でした。

今もなお美しく残るモザイクは、3世紀から4世紀にかけて作られたもの。そんな世界遺産であるヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレを詳しく紹介しましょう。

ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレとは？

シチリア島にあるこの世界遺産は、19世紀に柱が発見されて以来発掘調査が始まり、本格的な発掘は1950年代から始まりました。現在は60以上もある部屋の修復作業が終わり、その一部を一般公開しています。

とはいっても、元々は2000年近く前の物。公開後に新たに修復が必要な個所が見つかったり、敷地内から別の部屋が発掘されたりと、見学中にも修復している様子が伺えます。

この広大な敷地にある豪邸の持ち主は、実はまだ特定されていません。イタリアのみならず、ローマ帝国植民地の各地から運ばせたと思われる色付き大理石や屋敷の規模、そして装飾の豪華さなどから、ローマ皇帝の持ち物だったという説が有力視されています。屋敷内に残る床モザイクは総面積3500平方メートル。これらのモザイクは土砂崩れで長い間埋まっており、それによってモザイクが綺麗に保存されました。

中にはアフリカ芸術を取り入れた図柄もあり、とても興味深い世界遺産です。

ヴィッラ・ロマ―ナ・デル・カサーレへのアクセス

最寄りの街ピアッツァ・アルメリーナまで
　カターニアからバスで約1時間40分。
　パレルモからバスで約2時間15分。

ヴィッラ・ロマ―ナ・デル・カサーレがある場所は、ピアッツァ・アルメリーナ市街地から約5㎞離れています。移動にはタクシーが便利。通常5月1日から9月30日の間は、通称Villabusが運行。市街地からのアクセスが可能で、1日約7往復。

おすすめポイント①浴場周辺、廊下、体育室など

まずヴィッラ・ロマ―ナ・デル・カサーレで最初の見所は浴場施設です。焚きだし口が見える熱浴室、それに続く温浴室や冷浴室。これらの床のモザイクには奴隷がオイルを塗ってくれる様子や海の精のモザイクがあります。その先に続く運動場には馬車競技の様子、玄関には客人を迎える主人など、その場に合わせたモザイクが興味深いです。

他にもアフリカでの狩猟場面やシチリアでは見られない動物のモザイクは、アフリカ大陸からモザイク職人を呼んで作らせたといわれています。そして壮大な狩猟場面の廊下を進むと、10人娘の広間に出ます。

この世界遺産で最も有名といってもいいこのモザイクは、10人の乙女が体育競技をする様子をモザイクで描いています。活き活きとしている乙女たちの姿は、1000年以上経っても色あせていません。

おすすめポイント②食堂、子供部屋、寝室など

一度屋敷の外に出て南側の食堂に入りましょう。屋敷の主と来客が宴会をした場所で、この辺りのモザイクのテーマはヘラクレスとその功績。このモザイクから、屋敷の持ち主がマクシミリアン皇帝だったのではないか、という説もあるんですよ。

台所の床にはザクロなどの果物が描かれています。そして次に向かう子供部屋には、鳥が車を引く様子が可愛らしいモザイク画は娘の寝室、子供たちが元気いっぱいに遊ぶモザイク画は息子の寝室。そしてさらにすすむと愛の寝室があり、なんとも艶めかしい様子が見学できます。

モザイクには人物や動物だけではなく、幾何学模様なども見応え抜群。その緻密な作業は、一目見れば世界遺産の名に恥じない質と規模なのが分かるでしょう。

◎まとめ

ヴィッラ・ロマ―ナ・デル・カサーレがあるピアッツァ・アルメリーナは小さな町なので、パレルモからタオルミーナへの移動途中などに立ち寄るのがおすすめです。

カターニャからの日帰りも可能ですが、バスの便が減る冬期は少し不便。シチリア島はイタリア本土に比べると日本人観光客が少ないのですが、一度訪れると虜になってしまう人が多いんですよ。ぜひバカンスに世界遺産巡りをしてみませんか？