チンギス=ハンが眠る世界遺産?大ボルハン・ハルドゥン山と聖なる景観!

画像出典:Ganzorig Gavaa (CC BY-SA 2.0)

チンギス=ハンが眠る世界遺産?大ボルハン・ハルドゥン山と聖なる景観!

2015年に登録されたばかりの世界遺産「大ボルハン・ハルドゥン山とその周辺の聖なる景観」はモンゴルにあるヘンティー山脈の一部です。ここは英雄チンギス=ハンの生まれ故郷であり、墓所があると言われていますよ。「ボルハン」とはモンゴル語で神や仏という意味を持ち、昔からモンゴル人にとって崇める対象であった土地であることを意味しています。つまり古来から神聖な場所とされていた場所です。また、山と川を信仰対象にした、古代シャーマニズムと仏教の融合が為されたことも世界遺産登録の評価のひとつとなっていますよ。

今回はそんな、新しく登録された世界遺産であるものの古くからモンゴル人にとって崇拝されてきた「大ボルハン・ハルドゥン山」を紹介します!

目次

チンギス=ハンが眠る世界遺産?大ボルハン・ハルドゥン山と聖なる景観!

大ボルハン・ハルドゥン山とは?

「ボルハン」とはもともと仏陀のことを指し、ウイグル語やテュルク語から時の流れを経てモンゴル語へと変化した言葉です。モンゴル語では仏や神のことを指していますよ。また「ハルドゥン」はモンゴル語で「孤嶺」という意味を持つので、「ボルハン・ハルドゥン」とはそのまま神の山という意味です。日本で言うところの富士山でしょうか。この言葉から想像すれば、モンゴル人にとってこの世界遺産をいかに神聖視しているかがわかることでしょう。

そしてチンギス=ハンに馴染みの深い土地ではありますが、先祖がこの地で生活を始めたということが「元朝秘史」冒頭に記されています。内容は当時敵対していたメルキト族の兵士に追いかけられ、逃げ込んだのが大ボルハン・ハルドゥン山であったというもの。さらに山中をくねくねと走り、追っ手を振り切ることに成功したチンギス=ハンが、感謝の意を込めて、昼夜祈るようになったとも言われています。またチンギス=ハンは自らの死後、この山を埋葬地として指示したと伝えられています。彼の信仰の深さを伺い知ることが出来ますね。世界史に残る巨大帝国を築いたチンギス=ハンに非常に関連の深い山として、世界遺産に仲間入りしたこともうなずけることでしょう。モンゴルが世界に誇る世界遺産ですね!

大ボルハン・ハルドゥン山へのアクセス

大ボルハン・ハルドゥン山はモンゴルのウランバートルの北東およそ300km弱のところにあるヘンティー山脈の中に位置しています。標高2,362mの山の周囲には砂漠や草原、針葉樹林が広がっていますよ。

モンゴルでの国内移動は、乗り合いバンや飛行機という手段があります。馬にも乗れますが、とても辿り着くことはできません。

大ボルハン・ハルドゥン山のおすすめポイント①:チンギスカンの軌跡

チンギスカンの死後、埋葬場所は世界遺産「大ボルハン・ハルドゥン山」と指定されましたが、その具体的な場所は国家の最重要機密事項に指定されました。また埋葬を担当した兵士が仕事を終えた後、自害をしたとも言われるほどの厳戒態勢でした。チンギスカンの墓所特定は歴史的には重要事項とされていますが、チンギス=ハンの意思を汲むモンゴル人の反対に合っており、発掘調査は開始されていません。しかし世界遺産登録前に、1990年代と2000年代の2度にわたり日本とモンゴルの合同チームが空撮による地形調査や地中レーダーなどを用いて探査が行なわれました。その結果、チンギスカンが即位式を挙げ、後に霊廟として使用された大オルドは発見されています。

いつか発掘調査が実際に行なわれ、藪の中であった事実が明るみに出るのか、それともモンゴル人の信仰を重んじて発掘をしないのかはわかりませんが、いずれにしても地球の歴史において重要な意味を持つ世界遺産であることには変わりありませんね!

大ボルハン・ハルドゥン山のおすすめポイント②:モンゴル人にとっての宗教的聖地

「大ボルハン・ハルドゥン山」は周辺に住んでいた人々にとって自然崇拝の対象として、崇められてきました。古代シャーマニズムが息づく場所と言ってもいいでしょう。大ボルハン・ハルドゥン山はオノン川・ヘルレン川・ツール川の水源としても知られていますが、現地の人々にとって山・川ともに信仰の中心でありました。さらにはアニミズムと仏教が入り混じった儀式なども浸透しており、特異な文化が育まれてきたと言えます。

「大ボルハン・ハルドゥン山」の世界遺産に登録されたエリア周辺はシベリアの永久凍土から草原へと環境が変わる境界でもあり、豊かな生態系が確認されている土地でもあります。あたりには絶滅危惧種が多く生息していることでも知られていて、自然環境の豊かさと厳しさを併せ持った世界遺産と言えるでしょう。世界遺産として魅力がたっぷりとありますね!

◎まとめ

モンゴル人にとって長らく信仰の対象となってきた聖地「大ボルハン・ハルドゥン山」。チンギスカンの存在でその信仰心はより強固なものとなりました。発掘調査を許可していないことからもモンゴル人の心情を読み取ることが出来ますね。

歴史的な価値はもちろんのこと、「聖なる景観」というようにその景色の美しさも魅力のひとつです。観光地として整ってはないものの、原初的な風景を楽しみたい方にはおすすめの世界遺産です!

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