名称:モンゴル・アルタイ山系の岩絵群
住所:Mongol,Bayan Ulgii
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1382/
モンゴル・アルタイ山脈の岩絵群は、モンゴル最西部に位置するバヤンウルギー県のアルタイ山脈に描かれた岩絵群です。考古学的に貴重な史料であるとして、2011年に世界遺産へ登録されました。モンゴルの世界遺産では、オルホン渓谷の文化的景観に続き2件目の登録となります。
この岩絵群は12,000年以上にわたり、モンゴルでどのように文明が発達、変遷してきたかを示す証拠となりました。バヤンウルギー県周辺で居住していた人々が狩猟生活から放牧生活へと移り変わる様子や、馬による遊牧生活を営んでいたスキタイ族やトルコ族の歴史を見て取ることが出来ます。今回はこちらの世界遺産「モンゴル・アルタイ山系の岩絵群」を詳しくご紹介しましょう。
目次
一万二千年の歴史を物語る!世界遺産「モンゴル・アルタイ山系の岩絵群」
モンゴル・アルタイ山系の岩絵群とは?
出典: Altaihunters (CC BY-SA 3.0)
アルタイ山脈はシベリア南部の最高峰として知られ、モンゴル、中国、ロシア、カザフスタンと4つの国境にまたがって連なる山脈です。その中でモンゴル・アルタイ山脈はモンゴル北西部から中南部にあり、バヤンウルギー県に属しています。
世界遺産に登録された岩絵群のある遺跡は3ヶ所ありますが、それぞれ35kmから40kmほど離れた場所にあります。3つの遺跡すべてを併せると、岩絵の総数はなんと数千点に!さらに葬祭文化があったことを示す塚も数百ヶ所発見され、当時の文化を類推できると評価された世界遺産です。最古の壁画は紀元前1万1000年から紀元前6000年ほど。マンモスやヘラジカ、ダチョウなどを狩る人間の絵が描かれ、狩猟生活を営んでいたことがうかがい知れます。乾燥した土地から森林地帯へと気候や環境が変化した様子も見て取ることができ、先史時代の東アジアの文化を読み解く貴重な遺産であるとして世界遺産の仲間入りを果たしました。
世界遺産モンゴル・アルタイ山系の岩絵群へのアクセス
世界遺産があるモンゴル・アルタイ山はモンゴル最西部のバヤンウルギー県に属していて、ウルギーの町からはおよそ130km南西にあります。3つの岩絵があるツァガーン・サラー=バガ・オイゴルと上ツァガーン・ゴル、アラル・トルゴイの距離はそれぞれ30kmから40kmほど離れています。
おすすめポイント:岩絵群
この世界遺産のおすすめポイントは、もちろん数千点にも上る岩絵の数々でしょう。紀元前1万1000年から紀元前6000年ほどの最も古い壁画からは、当時この一帯が森林に覆われていたことや渓谷で狩猟生活を営んでいたことなどを読み取ることができます。また時代を経るにつれ、徐々に獲物だけではなく狩人の姿も描かれるようになり、認識方法が変化していくことがわかります。人の進化を目の当たりにする世界遺産ではないでしょうか?
さらに紀元前6000年頃〜紀元前4000年には草原が深まっていき、牧畜が定着していったことを示しています。そして紀元前1000年から紀元7,8世紀の岩絵は、スキタイ人が支配をしていたことやトルコ民族が馬を用いた遊牧生活を始めたことがわかります。12,000年以上にも及ぶバヤンウルギー周辺の歴史を岩絵によって読み取ることができるというのは本当に貴重なもの。さらに気候変動の事実を整理するひとつの手がかりにもなっています。モンゴル・アルタイ山系の岩絵群が世界遺産へ登録されたのも当然と言えるでしょう。
◎まとめ
2016年、モンゴル・アルタイ山脈内で死後約1,500年経過したミイラが発見されました。標高3,000mほどの地点にあった墓を掘り返したところ手足が見つかり、テュルク系民族の女性の墓であることが類推されたそうです。履物が現代風のスニーカーであったことが謎を呼んでいるこのミイラ。今回紹介してきた世界遺産である岩絵群と併せて当時の生活などの解明がより進むのが待ち遠しいですね。