ミャンマー初の世界遺産!城壁に囲まれて栄えたピュー族の古代都市群

画像出典:Jakub Hałun (CC BY-SA 4.0)

ミャンマー初の世界遺産!城壁に囲まれて栄えたピュー族の古代都市群

ミャンマーのエーヤワディー川流域には、かつて「ピュー」と呼ばれる民族の都市が点在していました。それぞれの都市は長い城壁にすっぽり囲まれ、お互いに交易をおこなって栄えていたと考えられています。

9つの城塞都市から成っていたというピューの国家は9世紀に滅んでしまい、以後は現在までビルマ族が主体となっています。しかし、ピュー族が築いた寺院や仏塔は、その後のパゴダの建築様式の元となったといわれています。

ミャンマーの歴史と文化の源ともいえる世界遺産ピュー古代都市群。その見どころについてご紹介しましょう。

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ミャンマー初の世界遺産!城壁に囲まれて栄えたピュー族の古代都市群

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ピュー古代都市群とは?

出典: Jakub Hałun (CC BY-SA 4.0)

ピュー族が築いたとみられるもっとも古い都市は、紀元後1~2世紀ごろのものと推定されています。史料上は、3世紀の中国の文献に「驃」国として初めて登場します。「ピュー」という呼称もこれに由来するもので、ピューの人々が自分たちを何と呼んでいたのかは定かでありません。

7世紀に入るころには、ピュー族の城塞都市のなかでもシュリークシェートラが有力となり、国として振る舞っていました。しかし、9世紀前半に現在の中国雲南地方にあった王国「南詔」に攻撃され、ピューの諸都市は破壊されてしまいました。以後、ピュー族が歴史の表舞台に出ることはなく、やがてチベット方面から南下してきたビルマ族が王朝を開くことになります。

歴史に埋もれたピュー族の古代都市遺跡は、エーヤワディー川沿いにこれまで7つ発見されています。ミャンマーにはまだまだピューの都市遺跡が眠っているとみられていて、これからの調査と研究が待たれます。これらの都市遺跡のうち、ハリン・ベイッタノー・シュリークシェートラーの3か所が、2014年にミャンマー初の世界遺産として登録されました。

ピュー古代都市群へのアクセス

最もアクセスが容易なシュリークシェートラーは、ミャンマーの中心都市ヤンゴンから北西へ約300km、ピエという比較的大きな都市の郊外にあります。車ならヤンゴンから約5時間、鉄道ならは8時間30分ほどかかります。

ベイッタノーはピエとバガンの中間あたり、ミャンマーの首都ネピドーの北西70kmほどのところにあります。最後のハリンは、ミャンマー北部の中核都市マンダレーの北に位置しています。

ミャンマーはつい最近民主制に移行したばかりで、観光業もインフラも発展途上。公共交通機関を利用して個人で3ヶ所の世界遺産すべてを一度に回るのは難しいでしょう。ツアーなどがあれば、そちらを利用するのが確実ですよ。ちなみに、ヤンゴンへは成田からANAの直行便が就航しています。

ピュー古代都市群のおすすめポイント①:シュリークシェートラー

出典: Jakub Hałun (CC BY-SA 4.0)

5~7世紀ごろに建設されたとされるシュリークシェートラーは、世界遺産の3つの都市遺跡のなかでも最大規模を誇ります。他のハリン やベイッタノーと比較して観光のアクセスも難しくないので、世界遺産ピュー古代都市群を訪ねるなら、まずはここがおすすめです。

最寄りのピエの町から約8km。南北約4km・東西約3kmという広大なシュリークシェートラーは、周囲の城壁も部分的に残っています。城内の中心には王宮跡があり、建物が現存しませんが、敷地の大きさに充分かつての繁栄を偲ぶことができます。タイェーキッタヤーとも呼ばれるシュリークシェートラーの城内には、考古学研究所の拠点や博物館もあり、観光スポットとしての整備も進められています。

もう1つの見どころは、南の城壁外にある「ボーボージーパゴダ」。この地域で最も古い仏塔の1つとされ、高さは46mあります。巨大な釣り鐘のような独特の形をしていて、レンガ作りの巨大なパゴダは近くで見ると迫力満点ですよ!ところどころ苔むしているようすも、歴史の長さを感じさせます。

ピュー古代都市群のおすすめポイント②:ベイッタノー

シュリークシェートラーのあるピイの町からさらに北へ進むこと3時間で到着するのがベイッタノーです。多くの川が交わる原野に造られていて、ピュー族の都市のなかでは最古のものと目されています。3ヶ所のなかでアクセスが最も不便なこともあり、観光地化はあまり進んでいません。そのため、逆に埋もれたままの遺跡が好きな人にはおすすめの世界遺産スポットといえます。

ベイッタノーの特徴の1つは、他のピュー族の都市に比べてはっきりとした要塞化の痕跡が見られないこと。そのためベイッタノーを城塞都市には含めないとする意見もあるそうですが、裏を返せばピュー族最古の都市だからこその構造といえるでしょう。学術的にも、シュリークシェートラーが栄える前にピューの拠点があったところとされ、王宮や王族の邸宅跡が残る考古学的に貴重なスポットでもあります。博物館も建設されているので、ベイッタノーを訪ねた際には必ず立ち寄りましょう。

ピュー古代都市群のおすすめポイント③:ハリン

最後の3か所目のハリンは、ミャンマー北部の古都マンダレーの北北西50kmほどのところにあります。最寄りの町ウェットレットまでは、マンダレーから鉄道で行くことができます。

ここはピューの古代都市のなかでも最北に近く、そのため南詔による焼き討ちを示す遺物が見つかっています。地表で見られる遺跡はあまり多くありませんが、併設されているハリン博物館では、発掘された墓地遺構などを見ることができますよ。

ハリンには全部で16もの城門があり、その都市設計は後のビルマ王朝にも受け継がれたと考えられています。現在のミャンマーと古代のピューをつなぐ貴重な世界遺産の遺跡といえるでしょう。

◎まとめ

2014年にミャンマー初の世界遺産として登録されたばかりの「ピュー古代都市群」についてご紹介しました。観光地として充分整備されているとはいいがたいですが、東南アジアでも有数の古代遺跡として、これから注目を集めることでしょう。

機会があればぜひ、ミャンマーを訪れて、その唯一の世界遺産に触れてみてください。

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