名称:マプングブエの文化的景観(Mapungubwe Caltural Landscape)
住所:Mapungubwe, Limpopo, South Africa
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1099
南アフリカ共和国の北端、ボツワナやジンバブエとの国境沿いにある世界遺産「マプングブエの文化的景観」は、10~14世紀にインド洋を中心とした交易で栄えた都市の遺跡。現在マプングブエ一帯は国立公園に指定されていて、アフリカの世界遺産のなかでは比較的アクセスしやすい世界遺産といえます。
パッと見はただの大きな岩山という印象ですが、実はそこには南アフリカの歴史上とても重要な遺跡が眠っています。マプングブエが、南アフリカを代表する世界遺産「グレート・ジンバブエ」の起源になったことを示唆する出土品も見つかっていて、世界中の研究者の注目をますます集めています。今回は、そんな交易で栄えた世界遺産マプングブエをご紹介します。
目次
世界遺産「マプングブエの文化的景観」交易で栄えた南アフリカ最古の王国
南アフリカ共和国の世界遺産「マプングブエの文化的景観」とは?
世界遺産マプングブエに人が定住し始めたのは西暦1000年ごろのことと考えられています。当初は岩山の西麓に村がつくられ、1220年ごろに山上に都市が建設されました。この山上都市がマプングブエの首都とみられ、最盛期には3000~5000人ほどが暮らしていたと推定されています。
マプングブエの丘の上に住んでいたのは王族や貴族階級で、一般の国民は麓に居を構えていました。象牙や骨を加工した製品や黄金の装飾品などの工芸品が見つかっていることから、高度な技術を有していたことがうかがえる反面、中国産の青磁なども発見されているので交易も盛んに行ったとみられています。
しかし、マプングブエの繁栄は100年も続きませんでした。西暦1300年ごろには滅んでいたと推測されますが、記録が一切存在しないため、栄枯盛衰の経緯については謎に包まれています。ですが、アフリカの王国史にとって重要な都市遺跡であることに疑いの余地はなく、2003年に世界遺産に登録されました。
マプングブエの文化的景観へのアクセス
世界遺産「マプングブエの文化的景観」を含むマプングブエ国立公園は、南アフリカの3つの首都の1つプレトリア(ヨハネスブルグ)から約500km。ジンバブエとボツワナの国境付近に位置しています。ヨハネスブルグからは車で約7時間、観光客であればチャーター車で向かうのが一般的です。
飛行機でリンポポ州の州都ポロクワネまで行く方法もありますが、その場合もポロクワネからの所要時間はチャーター車で4時間ほど。バスや鉄道はないので注意してください。
マプングブエのおすすめポイント①:忘れ去られた王国マプングブエ
世界遺産に登録されているマプングブエですが、少し前までは日本ではおろか近隣国でも、その存在を覚えている人は住民だけというような状態でした。そんな忘れ去られた王国が再び注目されることとなったのは1932年のこと。
幾度となく謳われた「この地に金が埋もれている」という疑わしい噂話を聞いた1人のトレジャーハンターが名乗りを上げ、金よりももっと価値のある世紀の大発見をしたのです。遺跡からは明らかに中国から輸入されたと思われる金やガラスが次々と発見され、当時の南アフリカがアジア諸国と交易関係にあったことを決定づける証拠となりました。彼の発見が、のちにこの地が世界遺産に登録されるきっかけになったと言っても過言ではありません。
現在はマプングブエ国立公園に含まれ、宮殿や集落の跡を目にすることができます。ただし、研究や調査は現在進行形なので、多くの出土品を生んだ地層がそのままで保存されています。史跡公園と観光するというよりは、当時のアフリカで最強の国といわれるマプングブエからの景色を楽しみましょう。
マプングブエのおすすめポイント②:マプングブエ国立公園の野生動物
現在のマプングブエ国立公園は、世界遺産の史跡公園というだけでなく、アフリカの野生動物を観察できるサファリパークとしての面ももちあわせています。公園内には遊歩道が至るところに整備され、キャンプエリアも設けられているので、何日も泊まり込んで野生動物の貴重なショットを狙うカメラマンも数多く滞在しています。
リンポポ川沿いのツリー・トップ・ウォークを歩けば、運が良ければ象と並んで歩いたり、川を横断する草食動物の群れを観察することもできますよ。ウォッチング用の小屋も整備されているので、野鳥観察にもピッタリです。
◎南アフリカ共和国の世界遺産「マプングブエの文化的景観」まとめ
南アフリカ共和国の世界遺産マプングブエの文化的景観をご紹介しました。日本では紫式部が十二単を着て生活していたような時代に、南アフリカでも貿易が盛んに行われていたなんて驚きです!
マプングブエ国立公園には、テレビでしか観ることのできないような美しいサバンナが広がっています。今も多くの動物たちが暮らすマプングブエの地、その深い歴史を肌で感じられる旅に出てみませんか。