【スウェーデン世界遺産】ヴァールベリのグリメトン無線局|今も送信可能!

【スウェーデン世界遺産】ヴァールベリのグリメトン無線局|今も送信可能!

スウェーデンの南西部の町ヴァールベリには、世界で唯一稼動可能な高周波発電機式の超長波送信機があります。この「ヴァールベリのグリメトン無線局」は通信技術の発展を支えた通信の歴史の生き証人であり、これまでの業績や希少性が評価され、2004年に世界遺産に登録されました。

6本のアンテナから成るヴァールベリの無線は、一見するとただの鉄塔に見えます。しかしそこには、世界の通信技術を牽引してきたという格式と誇りが詰まっています。この記事では、スウェーデンの世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」について解説します。

目次

【スウェーデン世界遺産】ヴァールベリのグリメトン無線局|今も送信可能!

「ヴァールベリのグリメトン無線局」とは?

ヴァールベリのグリメトン無線局(スウェーデンの世界遺産)

世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」は、アレキサンダーソン式とも呼ばれる高周波発電機式によって、17.2kHzという超長波の電波を発信することができます。超長波の波長は10~100kmにも及び、水中も通過可能!しかし、発信装置が非常に大規模になってしまうという欠点があります。

ヴァ―ルベリ郊外のグリメトンに無線局が建設されたのは、1924年のこと。主にアメリカ・ニューヨークのロングアイランド島にある無線局との間で、大西洋横断無線電信が行なわれていました。当時多額の設備投資が必要な超長波無線は、短波技術の発展によりすでに時代遅れになりつつありました。ですが、スウェーデンとしても一度建設してしまった巨大施設を放棄するのは忍びなく、後に第二次世界大戦が勃発すると、水中を透過できるという特性を利用して潜水艦との交信に活用されたのです。

1966年には超長波ではなく、長波に属するおよそ40kHzの2代目送信機を建設。1996年に超長波の旧式送信機は運用を停止しましたが、その産業遺産としての価値が認められて国の史跡となりました。

さらに運用停止後も、使用すること自体は可能であったことから、世界で唯一の希少なアレキサンダーソン式送信機として2004年に世界遺産に登録されることとなったのです。

「ヴァールベリのグリメトン無線局」へのアクセス

Varberg Radio Station

出典: Chrumps - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=42754149による (CC BY-SA 4.0)

ヴァールベリ最寄りの大都市は、北へ60kmほど行ったヨーテボリです。スウェーデンの首都ストックホルムからは、鉄道で3時間弱ほどで着きます。ヨーテボリからヴァールベリまでは、さらに40分ほど列車に揺られます。また、デンマークの首都コペンハーゲンからマルメーを経由して鉄道でヴァールベリへ向かうルートもあり、こちらの所要時間は乗り換えなしの約3時間です。

無線局は、ヴァールベリ東の郊外のグリメトン地区にあります。ヴァールベリ中心部からは路線バスが通じていて、その名も「グリメトン無線局」バス停で下車すれば目指す世界遺産は目の前です。

「ヴァールベリのグリメトン無線局」おすすめポイント①:巨大な送信機

ヴァールベリのグリメトン無線局【スウェーデン世界遺産】

世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」観光での一番の見どころは、なんといってもその巨大な6本の送信機です。高さ127mの自立鉄塔が6本並び、1つずつワイヤーで結ばれています。そのため、外見からは通常の送電鉄塔にしか見えません。

ラジオ波を送るためにこれだけの施設が必要なことから、戦時に攻撃対象となりやすいリスクがありました。そのため、実用可能な旧式はすでに世界でここだけという状態になっているのです。日本にも鉄塔ファンを自認する人は数多くいますが、そうしたコアな人でなくてもこの巨大建築には驚かされるでしょう。

ラジオ局の建物自体も、新古典派様式で建てられた立派な観光スポットです。敷地内にはアンテナについての詳しい説明板などもあるので、世界遺産を見学しながらアレキサンダーソン式超長波送信機について学ぶことができます。

「ヴァールベリのグリメトン無線局」おすすめポイント②:アレキサンダーソン・デイ

世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」

アーンスト・アレキサンダーソンは、スウェーデン生まれの電気工学者。アレキサンダーソン式にその名を残す、ヴァールベリの無線局の設計者その人です。スウェーデンでは、6月最後か7月最初の日曜日に「アレキサンダーソン・デイ」と呼ばれる祭典が開かれます。

この日には特別記念局が開局され、実際に世界遺産の送信機を稼働してモールス信号が発信されます。あまりに低い周波数のため、通常の無線機では受信できませんが、世界遺産のラジオ波が実際に飛んでいると思うとワクワクしますね!

またアレキサンダーソン・デイ以外でも、夏場には無線局内の送信装置を見学したり、無線や電報の仕組みを実際に体験できる実験室もあります。無線ファンならずとも楽しめるので、ぜひ気軽に世界遺産のラジオ局に足を運んでみてください。

◎スウェーデンの世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」まとめ

スウェーデンの世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」

スウェーデンの世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」についてご紹介しました。スマホをはじめ通信技術がものすごいスピードで発展している21世紀。その中にあって異彩を放つこの巨大な無線送信施設は、今日に至る通信の歴史の重要な1ページです。

スウェーデン南西岸を観光される際は、時間が合えばぜひヴァールベリのグリメトン無線局にも足を延ばしてみてください。

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