名称:ファールンの大銅山地域(Mining Area of the Great Copper Mountain in Falun)
住所:Gruvplatsen 1, 791 61 Falun
公式・関連サイトURL:https://www.falugruva.se/
スウェーデンには、かつて世界の約3分の2もの銅を生産していた大鉱山があり、「ファールンの大銅山地域」として世界遺産に登録されています。
首都ストックホルム北西内陸のファールン市は、銅山とともに興り、銅山とともに栄え、閉山した後も、産業の中心地として続いている都市。ファールンで産出された鉱物からの抽出副産品は建築塗装などに使われる赤の顔料として古くから重宝され、「ファールー・レッド」とまで呼ばれています。今回は、そんな世界を支えた「ファールンの大銅山地域」をご紹介します。
目次
【スウェーデン世界遺産】ファールンの大銅山地域|銅生産量世界一の遺産
「ファールンの大銅山地域」とは?
ファールンの銅鉱がいつごろ開かれたのか明らかではありませんが、考古学的調査によれば西暦850年~1080年ごろには採掘が行われていたと考えられています。当初の銅採掘はあくまで周辺農家の副業でしたが、12世紀ごろからファールンの町に人々が集まるようになり、14世紀までには市街地も形成されました。
17世紀には全世界の銅生産量のなんと約3分の2を占め、「スウェーデン王国の運命はファールンの大銅山と共にある」と謳われるほどでした。当時、ファールンに比肩しうる産銅国は世界全体で見ても日本のみだったといわれています。この時代のヨーロッパの宮殿や城、貴族の館の屋根などに使用されていた銅は、そのほとんどがファールン産だったといわれています。
しかし、無計画な露天掘りは1687年6月に大規模な崩落を引きおこし、ファールンの天下にも翳りが見え始めるようになりました。このときの崩壊によってできた直径400m、深さ100mを超す巨大な大穴は、今もその姿を見ることができます。
その後、ファールンの銅山は1992年に閉鉱となり、2001年に世界遺産に登録されました。
「ファールンの大銅山地域」へのアクセス
ファールンはスウェーデンの首都ストックホルムの北西約300kmに位置しています。ストックホルムから電車で移動する場合は約2時間、車なら約3時間弱かかります。また主要都市であるムーラからの移動時間は、電車・車ともに1時間半ほどです。
ファールン駅からは、住宅街をまっすぐ歩いて20分ほどでいくことができます。
「ファールンの大銅山地域」のおすすめポイント①:鉱山ツアー
閉山後の銅山で、鉱山ツアーが開催されています。地下銅鉱の内部見学ツアーは、所要時間1時間ほど。実際に坑道に入り、どのような環境で仕事をしていたかを直接感じることができるのでおすすめ。1687年の崩壊でできた巨大な大穴を、間近で見ることもできますよ。
鉱山内には訪れた有名人の記念サインが彫られています。かつてのスウェーデン国王などのサインもあるので、探してみてくださいね。鉱夫たちの安全を祈願したお守りなども、当時の状態のまま保存されていて一見の価値ありです。
鉱山ツアーの参加には予約が必要です。事前にホームページなどでスケジュールなどを確認して予約します。当日は、動きやすく汚れてもいい服装や靴で参加しましょう。鉱山の周囲を一周できる観覧列車もありますよ。
「ファールンの大銅山地域」のおすすめポイント②:ファールン旧市街
ファールンの町は、大銅山地域の存在によって発展した都市です。2つの湖を結ぶ川沿いに、ファールンの旧市街があります。
ここには鉱山博物館があり、ファールンの大銅山地域の栄枯盛衰にまつわるさまざまな展示を目にすることができます。鉱山ツアーで内部を見学した後にこの博物館に訪れれば、より深く理解することができるでしょう。また、17世紀に建設された大聖堂や実際にファールー・ブルーを使用した赤い外観の中央邸宅(Centralpalatset)など、歴史的建造物の観光スポットもいろいろあります。
かつて首都ストックホルムに次ぐ大都市として繁栄していたファールンの雰囲気を、ぜひ実際に歩いて感じとってみてください。
◎世界遺産「ファールンの大銅山地域」まとめ
スウェーデンの世界遺産「ファールンの大銅山地域」について紹介しました。かつて生産量で他の追随を許さないほど圧倒的に世界の頂点に立ち、スウェーデン王国の繁栄を支えていたファールンの大銅山地域。当時の歴史や環境などを感じることができる鉱山ツアーや博物館、また当時の雰囲気を楽しめる市街地の街並みなど、今も観光の魅力がいっぱい詰まっていますよ!