王朝の都とカルスト地形が形成した静かな美!世界遺産チャンアン複合景観

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王朝の都とカルスト地形が形成した静かな美!世界遺産チャンアン複合景観

近年経済成長の進む国ベトナム。中国・ラオス・カンボジアと国境を接し、さまざまな国の影響を受けてきました。日本からは飛行機で約6時間と手軽に訪れることができ、物価も安いことから、海外旅行先として人気上昇中です。世界遺産登録数が2016年末時点で8つと多いところもベトナムの魅力!しかもその多くが、ハノイから日帰りで行ける範囲にあるんですよ。

今回ご紹介するのは、そのなかの1つ「チャンアン複合景観」。ハノイ南方の都市ニンビン郊外にある世界遺産です。古都ホアルーという文化遺産と、チャンアン=タムコック=ビックドン景勝地という自然遺産の両方をもつ複合遺産であることが特徴!つまり、貴重な自然とベトナムの歴史をまとめて味わうことのできる世界遺産です。

目次

王朝の都とカルスト地形が形成した静かな美!世界遺産チャンアン複合景観

チャンアン複合景観とは?

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世界遺産「チャンアン複合景観」は、文化遺産「古都ホアルー」と自然遺産「チャンアン=タムコック=ビックドン景勝地」の2つから成る複合遺産です。ホアルーは、ベトナム初の完全独立王朝とも言われる丁朝(ディンちょう)の都として建設されたもの。丁朝はわずか12年で滅亡し、後継となった前黎朝(ぜんレちょう)も22年と短命の王朝でした。続く李朝は都をタンロン(現在のハノイ)に移し、以後ホアルーが首都となることはありませんでした。

他方のチャンアン=タムコック=ビックドン景勝地は、ニンビン省紅河デルタの南岸に見られる景観です。ここは、水に溶けやすい石灰岩などから成る大地が、年月とともに侵食されることによってできたいわゆるカルスト地形。鍾乳洞や石灰岩の山が大小無数に散らばっているほか、周囲には水田もあります。水に囲まれた景色と、奇岩の山と渓谷が織りなす珍しい景観は一見の価値あり!同じくベトナムの有名な世界遺産「ハロン湾」と並び称される観光名所で、「陸のハロン湾」ないし「ベトナムの桂林」等とも呼ばれています。

チャンアン複合景観へのアクセス

チャンアン複合景観は、人口13万人ほどの都市ニンビンの郊外にあります。ニンビンへは、首都ハノイから鉄道かバスで行くことになりますが、ベトナムは鉄道が発達していないので、バスがオススメです。バスはハノイのザップバット・バスターミナルから、日中10~15分間隔で運行されていて、所要時間は2時間ほどです。ニンビンからは、タクシーやバイタク(バイク・タクシー)を利用して、チャンアン観光のボート乗り場へと向かいましょう。

また、ハノイから旅行会社の現地ツアーに申し込めば、迷うことなく日帰りで行けるのでおすすめです。

チャンアン複合景観のおすすめスポット

1. チャンアン=タムコック=ビックドン景勝地

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チャンアンの奇勝は日本の秋吉台や中国の桂林などと同じく石灰岩が浸食されてできた典型的なカルスト地形。世界のカルストのなかでは最も新しく形成されたものの1つとされていますが、それでもでき始めたのは約2億4千万年前からというから驚きです。かつては海中にあったものが隆起して現在の姿になっていったと考えられています。

チャンアンの渡し場から小さな手漕ぎボートに乗って川を遡ると、両側に奇岩が迫り、川辺には青々とした水田の広がる独特の風景が楽しめます。チャンアンの奥にはビックドン(碧峝)と呼ばれる洞窟寺院があり、こちらも世界遺産の景観に含まれています。石灰岩の台地の上に建立されているビックドンからは、世界遺産チャンアンの風景をじっくりと眺めることができますよ。

2. 古都ホアルー

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チャンアン複合景観の文化遺産部分を成す古都ホアルー。ここは、丁朝が924年に建都してから1010年に李朝がタンロン(現在のハノイ)へ還都するまで、都が置かれていた場所です。

ホアルーには、丁朝初代皇帝の墓や城壁跡、チャン神殿や数々の寺院が残っています。現在のホアルーは小さな街ですが、周囲のカルストの風景とあいまって、世界遺産に相応しい景観を生み出しています。独立を果たすまでは長らく中国の支配下にあったため、城跡も寺院もどこか中国のような雰囲気です。

のどかなホアルーの街は、散策しているだけでベトナムらしさを満喫できます。エコツアーを推奨していることからレンタルサイクルもあるので、自転車でチャンアンの田園風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。

3. 洞窟巡り

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チャンアン複合景観として世界遺産に登録されている一帯は、海水面の上昇によって何度も水没を繰り返して形成されていきました。そうしてできた洞窟群には、3万年前の人類の生活痕が見つかっています。水没を繰り返す地で、当時の人々はどのように生活していたのでしょう?

チャンアンに数ある洞窟のなかに、新しく発見されたモイ洞窟があります。この洞窟の特徴は、2層構造(2階建)になっていること。当時の人々は、下の生活拠点が水没すると上層階に移り住んでいたと考えられています。チャンアンの渡し場から洞窟巡りのボートに乗ると、トイ洞窟やサン洞窟といったさまざまな洞窟を見学することができます。

そもそもタムコックとは、「3つの洞窟」という意味。実際にはもちろんもっとたくさんの洞窟があります。鍾乳石に頭をぶつけそうなくらい天井スレスレの狭い洞窟を、手漕ぎのボートで巡るのはスリル満点ですよ!

チャンアン複合景観を観光する際の注意点

チャンアン複合景観を観光するには、小さな手漕ぎボートに乗って見学する方法が一般的です。4〜8人乗りの手漕ぎボートは定員になるまで待つこともあるので、時間に余裕をもって出かけましょう。

◎まとめ

ベトナムのチャンアン複合景観を紹介しました。都市部の発展著しいベトナムですが、美しい自然観光スポットも数多く残されています。

長い年月をかけて形成された素晴らしい景色と、ハノイ以前の歴史を感じることのできるチャンアン複合景観。ハノイからのアクセスも良好で、ベトナム北部を訪れる際にはおすすめのスポットですよ。

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