名称:City of Cuzco
住所:Cuzco, Peru
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/273
インカ帝国の遺跡というとマチュピチュが有名ですが、その都は300年以上にわたってペルーのクスコにありました。アンデス山脈の標高3400mという高地にあり、マチュピチュへの玄関口でもあります。
現在の街並みは、スペインに征服された後に建設されたもの。ですが、その下地となっているのは、スペインの征服者たちが破壊したインカの都の街並みです。南米史において欠かせない存在といえる世界遺産クスコの見どころについてご紹介しましょう。
目次
ペルーの世界遺産クスコ市街!インカ帝国の都だった街の魅力を知る旅
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クスコ市街とは?
クスコとは、現地ケチュア語で「へそ」の意味。その名の通りインカ帝国の首都であり、南米の土着文化の中心であったクスコは、1200年代にインカ人によって制圧されました。それ以前にはキルケ人が住んでいて、クスコ郊外のサクサイワマン遺跡は、彼らの要塞跡と推定されています。
1534年、インカ帝国はピサロ率いるスペインのコンキスタドール(征服者)によって滅ぼされ、クスコも陥落します。ヨーロッパからの入植者はインカ時代のクスコの街を徹底的に破壊し、その基壇の上に新しい建造物を建てました。そのとき、石と石の間にカミソリの刃一枚通さないと言われるほどのインカ人の建築技術に驚いたといわれています。
その後もクスコはアンデス地方の中心都市として栄えましたが、19世紀にペルーが独立してリマが首都となると、次第に衰退。現在は人口30万人ほどの観光都市となっています。
クスコ市街へのアクセス
世界遺産都市クスコには、市街地に隣接してアレハンドロ・ベラスコ・アステテ国際空港があります。まずはペルーの首都リマに入り、そこから飛行機を乗り継いでクスコに向かうのが一般的です。
リマのホルヘ・チャベス国際空港への日本からの直行便はないので、メキシコシティやアトランタ、ロサンゼルスなどを経由する必要があります。
クスコ市街のおすすめポイント①:アルマス広場
世界遺産クスコ市街の中心的なスポットがアルマス広場です。「アルマス」とはスペイン語で「武器」という意味で、インカ帝国時代には「戦士の広場」とされていました。インカの重要な儀式「インティライミ(太陽の祭り)」も、この場所で行われていたといわれています。現在も、インティライミの一部がアルマス広場で披露されています。
多くの観光客やクスコ市民が集まるアルマス広場の周囲には、教会などの美しい歴史的建築物が立ち並んでいます。世界遺産クスコ市街の観光に訪れたら、まずはこの広くて爽やかなアルマス広場を目指しましょう。
クスコ市街のおすすめポイント②:2つの教会
世界遺産クスコ市街の中心アルマス広場に面して、2つの重要な教会が建っています。1つは大聖堂で、インカ時代のキスワルカンチャという神殿の跡に建立されました。1559年に建設が始まり、完成したのはおよそ100年後の1654年です。
スペイン征服時代に典型的なゴシックとルネサンスの折衷様式の外観ですが、ところどころにインカの意匠も見られるのが特徴。もっとも分かりやすいのは入り口の扉に施されたジャガーの装飾で、ジャガーはインカにおける聖なる動物でした。
もう1つは、広場の南にあるラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会。こちらはインカ皇帝ワイナ・カパックの宮殿跡に建てられたもので、コロニアル・バロック建築の代表作といわれています。
こちらは美しい装飾が見どころで、ファサードの彫刻の豪華さは大聖堂をしのいでいます。教会内の祭壇は金箔が施された彫刻で飾られ、こちらも見事。白亜の丸天井に、金色の祭壇が良く映えます。
クスコ市街のおすすめポイント③:太陽神殿
インカ帝国には、太陽信仰に基づく太陽神殿が各地に祀られていました。神殿は黄金の板で飾られ、数多くの黄金の宗教関連製品が収められていましたが、スペインのコンキスタドールによってことごとく持ち去られてしまいました。
世界遺産クスコ市街のアルマス広場南方には、コリカンチャと呼ばれる太陽神殿の一部が、サント・ドミンゴ修道院の土台として残されています。その石壁には、カミソリの刃一枚通らないと称されたインカの高度な建築技術がはっきり見て取れますよ。上に乗っている修道院の壁よりも、太陽神殿の石壁の方が立派に思えるくらいです。
かつてここに金色に輝く神殿があったと想像すると、世界遺産クスコ市街の歴史がより深く感じられるでしょう。
◎まとめ
さて、どうでしたか?ペルーの世界遺産クスコ市街については知っていただけましたか。
かつてインカ帝国の首都として栄え、その後スペインの文化が入ってきた街並みは実に興味深い魅力であふれています。
それぞれの文明が融合した美しい街並みは一見の価値ありですので、マチュピチュへの通過点とは考えずに、じっくりとその姿を堪能してみるのも楽しい観光ができるかもしれませんよ。