【世界遺産】古代及び原生ブナ林とは?|ドイツ国内15ヶ所ある大自然!

【世界遺産】古代及び原生ブナ林とは?|ドイツ国内15ヶ所ある大自然!

「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」は、2017年の拡大登録により最多の全12か国にまたがる世界遺産となりました。ドイツ国内では中部および北西部の15ヶ所が古代ブナ林として登録されています。

大きく5つのエリアの森林で構成されている古代ブナ林群は、陸上の生態系における進化の過程を知るうえで重要な存在。今回は、広範囲にわたる世界遺産のうち、ドイツの古代ブナ林に焦点を当ててご紹介します。

目次

【世界遺産】古代及び原生ブナ林とは?|ドイツ国内15ヶ所ある大自然!

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林とは?

ブナ林といいますが、ヨーロッパブナは日本の白神山地などのブナとは別種です。幹は木材や燃料、紙の材料となり、実は豚など家畜のエサとなることからヨーロッパでは古くから親しまれてきました。ブナ原生林には、実際にはブナの他にもナラ、カエデ、モミなどの木も生えていて、多種多様な動物や昆虫、菌類などのすみかにもなっています。

そんな森の母ともいわれるブナ林も、近代化とともに縮小していきました。2007年にウクライナとスロバキアの共同申請で「カルパティア山脈のブナ原生林」として登録されたのが始まりで、その後2011年にドイツの15ヶ所のブナ林が追加され、名称も「カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」に変更。2017年にはさらに9か国が加えられ、現在の「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」という登録名になったのです。

低地に天然のブナ林が生息しているのは、今ではドイツだけ。ドイツの古代ブナ林は、原始のころのヨーロッパを現代の私たちに伝えるように存在しています。その風景はとても神秘的。後氷期からのブナ林の進化の様子をたどることができるのが大きな特徴です。

ドイツ国内の15ヶ所は、5つのエリアにまとまっています。エリアはそれぞれメクレンブルク=フォアポンメルン州に2つ、ブランデンブルク州・ヘッセン州・テューリンゲン州に1つずつに分かれています。

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林へのアクセス

世界遺産古代ブナ林を見ることができるのはドイツで5箇所。その中でもおすすめは、ヤスムント国立公園とハイニッヒ国立公園です。リューゲン島にあるヤスムント国立公園へは、最寄りの世界遺産都市シュトラールズントから鉄道でザスニッツという町へ向かい、そこからバスに乗ります。およそ20分で、ビジターセンターのあるケーニヒスシュトゥールというところに着きます。

ハイニヒ国立公園へは、やはり世界遺産のヴァルトブルク城があるアイゼナハが最寄りです。アイゼナハからは周辺の観光名所を巡る「ヴァンダーブス(Wanderbus)」というバスが出ているので、それに乗ればハイニヒ国立公園の入口にも止まります。

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林おすすめポイント

1. ヤスムント国立公園

ドイツの北東、バルト海に浮かぶドイツ最大の島リューゲンに、「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」の1つヤスムント国立公園があります。ここではだいたい13世紀以降に形成されたヨーロッパブナ林が見られます。ブナ林の中ではブナより低い木は育ちにくく、奥行きの感じられる空間が広がります。遊歩道もあちこちに整備されているので、迷わないようにお好きなルートを散策しましょう。

また、ヤスムント国立公園ではブナ林のほかにも海岸沿いの白亜岩が有名です。氷河期にできたチョークの崖は、かつてロマン主義の画家たちが好んだ風景でもありました。とくにカスパー・ダーヴィト・フリードリヒが1818年に描いた『リューゲン島の白亜岩』は、哲学を感じさせる幻想的な景色で知られています。全長10km、高さ約117mにもなる白亜の崖「ケーニヒシュトゥール(王座の意)」は迫力満点!緑のブナ林とバルト海の青、そして白亜の地層という3色の組み合わせは、島に残るヤスムント国立公園のブナ林ならでは魅力です。

リューゲン島はドイツのリゾート地としても人気で、国立公園内にもペンションなどの宿泊施設が多数あります。自然遺産がお好きな方は、世界遺産のブナ林に囲まれての一夜を過ごしてみてはいかがでしょう。

2. ハイニヒ国立公園

ハイニヒ国立公園はドイツ国内の5つのエリアで最大の面積をもっています。冷戦期の東ドイツ時代には軍事的な理由で立ち入りが禁止されていたこともあり、今でも巨大なブナの木々が広範囲にわたって生い茂っているのです。

絶滅危惧種の動物を含め、園内には約7000種の動植物が生息。もちろん遊歩道が整備されているほか、ここには世界遺産のブナ林を上から一望することのできる展望台もあります。とくに秋の紅葉シーズンには、一面が黄色の絨毯となって息を呑むほどの美しさですよ!

ルターが聖書の翻訳を行ったヴァルトブルク城や、ルターの生まれたアイスレーベンなど他の世界遺産に近いのもハイニヒ国立公園の観光の利点です。

3. グルムジンの森

自然保護区グルムジンの森は、ドイツの首都ベルリンの北東60kmほどのところに広がっています。ドイツ最大の都市の郊外ともいえる距離に、世界遺産の原生林が残っているなんて驚きですね。

最終氷期の氷河の影響でつくられた窪地や独特の連山は、他のブナ林とはまた違った雰囲気を作り出しています。湖沼が点在する平野のブナの森林には、石器時代や青銅器時代に人類が暮らしていた痕跡も見つかっています。

こちらの世界遺産のブナ林を観光する際は、アルトキュンケンドルフ(Altkünkendorf)という町を拠点にすると良いでしょう。小さな町ですが宿泊施設が整っていて、自転車もレンタルできます。

◎まとめ

ドイツのみならず12か国にまたがる世界遺産「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」をご紹介しました。ブナ林はドイツの自然や歴史にとってとても大切なものです。

森やそこに生きる動物たちの暮らしを知ることによって、私たちはただ美しいというだけでない観光の魅力を感じ取ることができます。

ドイツを旅行される際は、古城やビールだけでなく、世界遺産の自然にもぜひ触れてみてください。

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