名称:ピコ島のブドウ畑文化の景観(Landscape of the Pico Island Vineyard Culture)
住所:Paisagem da Cultura da Vinha da Ilha do Pico
公式・関連サイトURL:https://whc.unesco.org/en/list/1117
ポルトガル西岸から1000kmほど大西洋の沖合に浮かぶアゾレス諸島。火山性の9つの島々からなるこの群島で第2の面積をもつのが、ピコ島です。アゾレス諸島はすべて火山由来の島で、特にピコ島のピコ山はポルトガルの最高峰でもあります。
ピコ島の主要産品である「ピコ・ワイン」は、ポルトガル政府お墨付きの良質なワインとして知られています。ワイン製造の歴史は15世紀に遡り、そのころのから続く伝統的なブドウ栽培の風景が、2004年に世界遺産に登録されました。溶岩の石垣で囲まれた長方形の区画が小さく密集している様子はとても印象的!今回はそんな世界遺産「ピコ島のブドウ園文化の景観」のおすすめポイントを3つご紹介します。
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「ピコ島のブドウ畑文化の景観」黒い石垣の調和が美しいポルトガル世界遺産
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「ピコ島のブドウ畑文化の景観」とは
アゾレス諸島は紀元前にはカルタゴ人によって発見されていたとされています。その後ヨーロッパの歴史からは一旦忘れられていましたが、15世紀前半にポルトガル人が「再発見」しました。以降、ヨーロッパ人の入植が進むとともに、アメリカ方面への航海の中継基地として発展します。
アゾレス諸島でもっとも高い火山をもつピコ島では、入植当初から栄養価の高い溶岩を砕いて割れ目に苗木を植えるという特殊なブドウの栽培法がとられてきました。また、風よけのために畑の周りには溶岩を積んだ石垣を巡らしています。収穫は手摘み、圧搾は足踏みで行われ、手間ひまをかけたピコ・ワインはポルトガル政府の原産地統制(VLQPRD)を受けています。
希少かつ特有の文化的伝統をもつ地域として、ピコ島の面積の987万kmにおよぶエリアが世界遺産に登録されました。ピコ島の世界遺産には領主邸やワイン貯蔵室、教会なども含まれ、のどかな田園風景に心が温まります。ブドウ畑のほかにも伝統家屋や領主邸、教会など、19世紀の農村の足跡も残っていて、世界遺産の風景をつくりだしています。
「ピコ島のブドウ畑文化の景観」へのアクセス
ピコ島にはピコ空港があり、ポルトガルの首都リスボンからの飛行機があります。ただし本数が限られているので、アゾレス諸島最大のサンミゲル島のポンタ・デルガダ空港を経由するルートも一般的です。
リスボンから所要時間は、ポンタ・デルガダ空港経由でも7時間ほどです。空港の周囲には何もないので、西のマダレナか東のサンロッケ・ド・ピコなどへはタクシーで移動します。
「ピコ島のブドウ畑文化の景観」おすすめポイント①:ブドウ畑を守る石垣
ピコ島の世界遺産エリアでまず目につくのは、何本も平行に並んで海岸線まで続いている長く黒い石垣でしょう。溶岩を積み上げた石の壁は、近くにでみるとその迫力により圧倒されます。この石垣が、ピコ島の強い潮風からブドウを守ってきたのです。石垣沿いの道には、ブドウ園からブドウを運ぶ牛が歩いていました。
火山島の厳しい環境で良質のブドウを作るため、島民が築き上げた智恵と努力がつまった石垣。どこまでも続く何本もの石垣が、機械もない時代に人の手によってつくられたものだと思うと、心底感心させられます。世界遺産ピコ島のブドウ畑の風景は、まず遠目から楽しんでみてください。それからブドウ園のなかを散策すると、より深くピコ島の世界遺産の景色を味わうことができますよ。
「ピコ島のブドウ畑文化の景観」おすすめポイント②:ワインセラーなど伝統的な建物
世界遺産ピコ島のブドウ園の周辺には、風車や倉庫、蒸留器など、19世紀初期の伝統的なワイン造りに関わる建物が今もそのままの形で残っています。なかでも、玄武岩の壁と瓦葺きの屋根でできたワインセラーは必見!
ワインセラーは収穫期の一時的な宿舎としても使われ、2階が住居、1階が貯蔵室となっていました。こうしたワインセラーはピコ島のブドウ園に30ほどあるので、ぜひ見学してみてくださいね。
「ピコ島のブドウ畑文化の景観」おすすめポイント③:伝統的な家や教会
世界遺産ピコ島には今も伝統的な家や教会なども点在していて、観光の見どころとなっています。ピコ島の溶岩などを使った伝統的な家屋は、どこか可愛らしいだけでなくひなびた趣があり、当時ののどかな暮らしが目に浮かぶようです。
ピコ島の伝統的な建造物の多くは今も現役!ピコ山の周りをぐるっと一周して、ブドウ畑や町々を見て回るだけで、世界遺産ピコ島の観光をばっちり楽しむことができますよ。
◎ポルトガル世界遺産「ピコ島のブドウ畑文化の景観」まとめ
世界遺産「ピコ島のブドウ圏文化の景観」は、黒い石垣と伝統的な建物の調和が美しい観光スポット。遠くでみると特に夕暮れ時には、緑と黒のハーモニーがいっそう映えます。遠くからの景観を楽しんだ後は近くまで寄って、1つ1つの建物をじっくり見学してください。
アゾレス諸島にはもう1つ、テルセイラ島のアングラ・ド・エロイズモも世界遺産に登録されているので、あわせて観光すると良いでしょう。